2024年度調剤報酬改定の背景や全体像、調剤基本料・各種加算の改定
「ぺんぎん薬剤師が解説する2024(令和6)年度調剤報酬改定のポイント」では、3つの記事に分けてまとめています。
目的とする内容に応じた記事を読んでいただければと思います。
2024(令和6)年度調剤報酬改定の背景と全体像
2024(令和6)年度の調剤報酬改定について考える上で、押さえておきたい今回の診療報酬改定の背景や全体像について、ポイントを整理します。
2024診療報酬改定の背景
2024年度の診療報酬改定は、様々な点で節目となっており、極めて重要な改定です。2024(令和6)年度 診療報酬改定
- 医療・介護・障害福祉サービスのトリプル改定
- ポスト2025年に向けた最後の改定
- 第8次医療計画の開始
- 医師の働き方改革の開始
- 医療DX/診療報酬改定DXの導入
- 物価高騰に伴う賃上げ対応
2024(令和6)年度の診療報酬改定は、これらのキーワードを取り入れたものになっており、調剤に関する部分にも大きく影響しています。
2024診療報酬改定の実施時期
診療報酬改定DXの一つとして、2024(令和6)年度診療報酬改定の実施時期が、従来の4月から6月に後ろ倒しされました。告示は例年通り3月に行われましたが、改定が実施されるのは6月となり、十分準備をもって臨むことが可能になっています。
2024診療報酬改定の全体像(改定率)
2024(令和6)年度診療報酬改定の改定率は、+0.88%と発表されています。この数字だけ見ると、過去10年で最大のプラス改定になりますが、そのまま評価するには難しい内容となっています。
まず、この+0.88%には、「看護職員、病院薬剤師その他の医療関係職種について、令和6年度にベア+2.5%、令和7年度にベア+2.0%を実施していくための特例的な対応(+0.61%)」、「入院時の食費基準額の引き上げ(1食当たり30円)の対応(うち、患者負担については、原則、1食当たり30円、低所得者については、所得区分等に応じて10~20円)(+0.06%)」、「生活習慣病を中心とした管理料、処方箋料等の再編等の効率化・適正化(▲0.25%)」が含まれており、これらを除くと+0.46%となります。
実際に、資料の中でも各科改定率(医科+0.52%、歯科+0.57%、調剤+0.16%)は+0.46%をベースに考えられています。
ですが、+0.46%の中には、「40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師・薬局の勤務薬剤師、事務職員、歯科技工所等で従事する者の賃上げに資する措置分(+0.28%程度)を含む」と記載されており、それを除くと、改定率は+0.18%となります。
賃上げ関連等を除いた改定率は+0.18%。大きく報じられた+0.88%とは大きく異なる数字になります。また、これら改定率とは別の部分で、「調剤基本料等の適正化」が行われることが明記されており、調剤に注目して考えると、かなり厳しい改定であることが予想されていました。
2024(令和6)年度の調剤基本料に関する改定のまとめ
最初に、2024(令和6)年度診療報酬改定で実施される、調剤基本料に関連する改定内容を簡単に整理します。
- 調剤基本料:+3点(特別調剤基本料を除く)
※調剤基本料2の施設基準見直し - 特別調剤基本料:AとBに2分化(マイナス改定)
- 地域支援体制加算:−7点
※調剤基本料1を算定する場合の施設基準強化 - 連携強化加算:+3点
※施設基準強化、地域支援体制加算なしで算定可能に - 後発医薬品調剤体制加算:変更なし
- 医療DX推進体制整備加算:新設
- 在宅薬学総合体制加算:新設
調剤基本料
今回の改定における点数の変化を表にまとめます。