調剤後フォローアップが評価される、外来の薬学管理料の見直し
「ぺんぎん薬剤師が解説する2024(令和6)年度調剤報酬改定のポイント」では、3つの記事に分けてまとめています。
目的とする内容に応じた記事を読んでいただければと思います。
2024(令和6)年度調剤報酬改定において、外来における薬剤師の役割を評価する点数の中で注目したいのは、加算から指導料に格上げされた「調剤後薬剤管理指導料」です。薬局の重要な機能の一つとして、調剤後フォローアップが評価される形になっています。
また、かかりつけ薬剤師の推進や、薬局における丁寧な服薬指導に対する評価の見直しも行われており、薬局薬剤師の役割がより具体的に示された形になっています。
調剤後薬剤管理指導料
調剤後のフォローアップを評価する、薬学管理料である調剤後薬剤管理指導加算が廃止され、新たに調剤後薬剤管理指導料が新設されます。
2022(令和4)年 | 2024(令和6)年 |
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調剤後薬剤管理指導加算 (服薬管理指導料) |
調剤後薬剤管理指導料1 調剤後薬剤管理指導料2 |
60点(月に1回) | 60点(月に1回) |
点数は変わりませんが、算定対象が大きく拡大されます。
調剤後薬剤管理指導料1は、調剤後薬剤管理指導加算と同じく、糖尿病患者の調剤後フォローアップを評価する点数です。
糖尿病患者と言っても、調剤後薬剤管理指導加算は、「新たにインスリン製剤又はスルフォニル尿素系製剤が処方された患者」、「インスリン製剤又はスルフォニル尿素系製剤に係る投与内容の変更が行われた患者」のみが対象でしたが、調剤後薬剤管理指導料1は、「新たに糖尿病用剤が処方された患者」、「糖尿病用剤に係る投与内容の変更が行われた患者」に対象が拡大されています。
調剤後薬剤管理指導料2は、慢性心不全患者の調剤後フォローアップを評価する点数として新たに設定されています。対象となるのは「心疾患による入院歴のある作用機序が異なる複数の治療薬の処方を受けている慢性心不全患者」です。
対象患者が拡大されたことで算定しやすくなりましたが、地域支援体制加算の届出を行なっている薬局でしか算定できない点は変更なしなので注意が必要です。
調剤後薬剤管理指導加算は服薬管理指導料の加算だったため、かかりつけ薬剤師指導料を算定している場合は併算定することができませんでしたが、調剤後薬剤管理指導料という独立した薬学管理料になったことで、かかりつけ薬剤師指導料と併算定が可能になったこともポイントです。
かかりつけ薬剤師に関する見直し
今回の改定では「かかりつけ薬剤師指導料(包括管理料)」の点数自体は変更ありませんが、施設基準や併算定可能な点数の見直しが行われています。
その中の一つが、上に書いた、かかりつけ薬剤師指導料を算定する場合でも「調剤後薬剤管理指導料」を算定できるようになったことです。
かかりつけ薬剤師指導料(包括管理料)の施設基準見直し
かかりつけ薬剤師の施設基準のうち、時間外対応に関する部分の見直しが行われています。まず、「勤務表を作成して患者に渡す」の部分が削除され、「当該薬局における勤務日等の必要な情報を伝えること」という表現に変更されています。また、「24時間相談に応じる体制」は「休日、夜間を含む時間帯の相談に応じる体制」という表現に変わっています。
吸入指導加算の見直し
改定前は、吸入薬に係る服薬指導や情報提供を評価する「吸入指導加算(服薬管理指導料)」は「服薬管理指導料」の加算であり、かかりつけ薬剤師指導料と併算定することはできませんでした。今回新たに、かかりつけ薬剤師指導料の加算として「吸入指導加算(かかりつけ薬剤師指導料)」が新設されたことで、かかりつけ薬剤師指導料を算定する場合でも「吸入指導加算」を算定することが可能になりました。
服薬管理指導料の特例の見直し
改定前は、あらかじめ患者の同意を得ていれば、かかりつけ薬剤師がやむを得ず対応できない場合、1名に限って他の薬剤師が対応することで、服薬管理指導料の特例(59点)を算定できました。今回の改定では、1名の縛りがなくなり、かかりつけ薬剤師指導料の施設基準を満たす薬剤師であれば、複数人が対応可能となっています。ただし、あらかじめ患者の同意を得ておく必要があることに変わりません。
特定薬剤管理指導加算の見直し
特定薬剤管理指導加算1は、算定対象となる時点が限定・明確化されます。また、新たに特定薬剤管理指導加算3が新設されます。
特定薬剤管理指導加算1の見直し
ハイリスク薬の指導を行なった場合に算定可能な、特定薬剤管理指導加算1ですが、ハイリスク薬について、特に重点的な服薬指導が必要な場合にのみ、算定可能になります。