門前からの脱却〜調剤基本料の再設計による立地評価の明確化
令和8(2026)年度調剤報酬改定は、かなり大きな変更が行われることになりました。
近年の大きな改定といえば、対物業務から対人業務への移行を進めた令和4(2022)年度改定がありますが、令和8(2026)年度調剤報酬改定は、調剤業務について根本から見直すことが求められる改定となっています。
この記事では、主に調剤基本料と門前薬局等立地依存等減算について解説します。
令和8(2026)年度調剤報酬改定においては、調剤基本料の点数について引き上げが行われますが、それ以上に、施設基準の厳格化や新たな減算の追加の影響が大きくなりそうです。
特に都市部に所在する薬局と医療モール内に所在する薬局については、今後、新規開局は難しくなると考えられます。
また、処方箋集中率については85%というラインが明確に示された形になります。
調剤基本料の点数及び算定要件解説図/ぺんぎん薬剤師作成
1.調剤基本料の見直し
令和8(2026)年度改定では、物件費の高騰を踏まえた対応として調剤基本料1〜3について「1点」の引き上げが行われます。
また、面分業を推進する観点から、調剤基本料1・3ハについてはさらに「1点」の引き上げが行われます。
調剤基本料の点数の変化/ぺんぎん薬剤師作成
前回の改定と比べると引き上げ幅が小さいように思えますが、前回の改定では調剤基本料の引き上げに薬局職員の賃上げ分が含まれていたためです。
今回の改定でも、賃上げに関する対応が実施されますが、調剤基本料ではなく「調剤ベースアップ評価料」という形で設定されています。
2.調剤基本料2の見直し
調剤基本料2には処方箋集中率に基づく基準と特定医療機関の受付回数に基づく基準が存在しますが、処方箋集中率に関するものについて見直しが実施されます。
まず、処方箋受付回数が1ヶ月に1,800回超かつ2,000回以下に設定されていた集中率95%超の基準が見直しとなり、集中率85%超になります。
結果、処方箋受付回数が1ヶ月に1,800回超かつ4,000回以下の場合は集中率85%超で調剤基本料2の対象となります。
| 令和6年度改定 | 令和8(2026)年度改定 |
|---|---|
| 受付回数1,800回超かつ2,000回以下: 集中率95%超 |
受付回数1,800回超かつ4,000回以下: 集中率85%超 |
| 受付回数2,000回超かつ4,000回以下: 集中率85%超 |
さらに都市部(特別区と政令指定都市)に所在する場合の基準が新設されます。
都市部に所在し、かつ、水平距離500m以内に他の保険薬局がある場合、処方箋受付回数が1ヶ月に600回を超えると、集中率85%超で調剤基本料2の対象となります。
ただし、令和8(2026)年5月31日時点で処方箋受付回数が1ヶ月に1,800回以下であると届け出ている場合で、その後も継続的に受付回数が1ヶ月に1,800回以下である場合は対象外となっているため、現状の薬局で処方箋枚数に大きな変化がない限りは対象外となるようです。
1ヶ月の処方箋受付枚数が多い場合、都市部で近隣に薬局が所在する場合のいずれも処方箋集中率85%超で調剤基本料2の対象となります。
3.調剤基本料3の見直し
まず、調剤基本料3のイについて、同一グループの1ヶ月の処方箋受付回数の合計により、2段階に設定されていたものが1段階に集約されます。
| 令和6年度改定 | 令和8(2026)年度改定 |
|---|---|
| グループ受付回数3.5万回超かつ4万回以下:集中率95%超もしくは特定の保険医療機関との間で不動産の賃貸借取引があるもの | グループ受付回数3.5万回超かつ40万回以下:集中率85%超もしくは特定の保険医療機関と不動産の取引等その他特別な関係を有しているもの |
| グループ受付回数4万回超かつ40万回以下:集中率85%超もしくは特定の保険医療機関との間で不動産の賃貸借取引があるもの |
また、調剤基本料3のロとハに設定されていた同一グループの保険薬局の数が300以上である場合の基準が廃止されます。
| 令和6年度改定 | 令和8(2026)年度改定 |
|---|---|
| グループ受付回数40万回超 もしくはグループ薬局数300以上 |
グループ受付回数40万回超 |
| 集中率85%超:調剤基本料3ロ | 集中率85%超:調剤基本料3ロ |
| 集中率85%以下:調剤基本料3ハ | 集中率85%以下:調剤基本料3ハ |
調剤基本料3のイが見直されたことにより、ある程度の規模のチェーン薬局に所属する場合、集中率85%超で調剤基本料3の対象となります。
4.処方箋集中率の計算方法の見直し
調剤基本料の施設基準における集中率の計算方法について見直しが行われます。
