RMPとは?法的位置づけや課題は?薬機法にRMPの明記追加を検討中
参考記事:【北里大 成川氏】薬機法でRMP明確化を‐市販後安全対策に活用促す
厚生労働行政推進調査事業費補助金「次期制度改正を見据えた医薬品市販後安全対策の再構築に関する研究」(研究代表者:北里大学薬学部成川衛教授)の研究班は、医薬品リスク管理計画(RMP)に関する規定を医薬品医療機器等法本体に設け、RMPに基づいた医薬品の市販後安全対策にかかる法令上の仕組みを構築することを提言した。条件付き承認制度の運用拡大などにより、安全性情報が限られる状況で承認される医薬品の増加が見込まれる中、薬機法本体にRMPの位置づけを明確にすることで製薬企業に市販後安全対策への取り組みを促す。一方、地域医療でも薬剤師から患者への指導にRMP資材の活用が期待される中、制度改正が大きな後押しになるとした。
令和6年度調剤報酬改定で新設された、特定薬剤管理指導加算3(のイ)の算定要件となったことで注目されている、医薬品リスク管理計画(RMP:Risk Management Plan)ですが、その位置付けについて、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)本体に明記されることが検討されています。
1.RMPとは、発売後の医薬品リスクを検証する仕組み
医薬品は、人体に対して作用することで、様々な効果を発現しますが、それらすべてが有益なものとは限らず、人体にとって好ましくない作用(副作用等)を引き起こすリスクを伴います。医薬品の開発では、非臨床試験、臨床試験を通じてデータを収集し、使用条件下で想定されるリスクについて抽出し、確定した情報は添付文書に記載され、適正使用に活用されます。
ただ、十分に検証を重ねて承認された医薬品であっても、そのデータはあくまでも限定された範囲のものであり、市販後はより広い範囲で使用されていくことになります。また、その範囲が想定外の部分にまで拡大する可能性もあります。そのため、医薬品のリスクは、開発段階のみで行われるものではなく、開発から販売後まで全ての期間を通じて検証される必要があります。
そこで導入されたのが、RMPです。RMPで扱うリスク(安全性検討事項)は、「重要な特定されたリスク」、「重要な潜在的リスク」、「重要な不足情報」の3つに分類されています。
引用:「3分でわかる!RMP講座」(PMDA)より
RMPには、安全性検討事項に加えて、情報収集の方法(医薬品安全性監視活動)と情報提供の方法(リスク最小化活動)が記載されています。
引用:「3分でわかる!RMP講座」(PMDA)より
RMPの必要性については、医薬品の承認審査の過程で判断され、必要と判断された場合は、承認条件としてRMPの策定・実施が行われることになります。また、すでに発売されている医薬品についても、緊急安全性情報(イエローレター)や安全性速報(ブルーレター)の発出等によりRMPの策定・実施が義務付けられることがあります。