2025年(令和7年)開始の電子カルテ情報共有サービスが薬局に与える影響
参考記事:電子カルテ情報共有モデル事業、2025年1月以降9地域で実施へ医療機関への補助、日医長島氏「上限額、現実的でない」
厚生労働省の健康・医療・介護情報利活用検討会医療等情報利活用ワーキンググループ(WG)は6月10日、電子カルテ情報を医療機関等の間で共有するための電子カルテ情報共有サービスについて、2025年1月以降に山形県の日本海総合病院を中心とした地域など、全国9地域を対象としたモデル事業を実施する予定であることを明らかにした。また、情報共有サービスの接続にあたって、中小規模病院で545万7000円を上限に補助する予定だが、日本医師会常任理事の長島公之氏は「上限額が現実的ではない」と引き上げを求めた(資料は同省のホームページ )。
2025年(令和7年)1月から、電子カルテ情報共有サービスのモデル事業が開始されます。2025年4月には正式運用が予定される電子カルテ情報共有サービスですが、どんな内容かあまり詳しくない方も多いと思います。
今回は、医療DXの中での電子カルテ情報共有サービスの位置付けと、その内容について簡単に解説します。
1.医療DXにおける位置付け
政府は、日本の医療分野の情報のあり方の見直しのために「医療DX令和ビジョン2030」を掲げ、①「全国医療情報プラットフォーム」の創設、②電子カルテ情報の標準化と全医療機関への普及、③「診療報酬改定DX」の3つの取り組みを同時並行で進めています。
全国医療情報プラットフォームとは、オンライン資格確認等システムのネットワークを発展させることで構築される情報共有システムのことです。レセプト・特例健診情報に加え、ワクチン等の予防接種、電子処方箋により得られる処方・調剤情報、電子カルテに保存された情報等の医療情報、さらには介護情報や自治体の持つ情報を共有可能な全国統一のプラットフォームです。
これらの情報は、薬局や医療機関、介護施設、各自治体で必要に応じて活用可能となっており、患者さん自身もマイナポータルを介して閲覧可能です。
引用:厚生労働省「第4回「医療DX令和ビジョン2030/全国医療情報プラットフォームの全体像」
このシステムは、感染症蔓延時や救急、災害時にも活用できるよう検討が進められており、民間のPHR(Personal Health Record)との連携も検討されています。
電子カルテは、ベンダーごとに独自のフォーマットを持つため、情報共有が困難なケースが存在します。そのため、厚生労働省が主導となり、共有すべき項目の標準コード化が進められています。これが実現することで、電子カルテに登録された情報を、異なるベンダー間で共有することが可能になります。
また、50%に満たないと言われている電子カルテの普及を進めるべく、標準コードを搭載したクラウド型の電子カルテの開発が進められています。その結果、電子カルテの普及が進めば、医療機関間で電子カルテに保存された情報を容易に共有することが可能となります。
診療報酬改定DXは、医療機関やベンダーの負担軽減を目指し、共通算定モジュールの開発を行い、改定時期の後ろ倒し等の施作と合わせて、医療保険制度の運営コストを削減、維持を目指すものです。
2.電子カルテ情報共有サービスの施行時期は?
医療DXの推進に関してはすでに工程表が公開されています。
引用:厚生労働省「第4回「医療DX令和ビジョン2030/医療DXの推進に関する工程表」
上記の図を見るとわかるように、電子カルテ情報共有サービスは2025年度(令和7年度)から運用開始される予定です。冒頭の記事で来年1月からモデル事業開始となっているので、少し遅れ気味なのかもしれませんね。
薬局として、電子カルテ情報共有サービスの開始について気になるのは、医療DX推進体制整備加算の算定についてです。