女性の更年期障害「治療の基本」とは?
女性の更年期障害を知る
更年期には様々な症状が出現し、日常生活に支障を来たすこともあります。そのため症状の改善を求めて医療機関の受診をする患者さんやOTC薬を購入するために来局する患者さんと接する機会もあるのではないでしょうか。そこで今回は、更年期診療に長年携わる東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 茨城県地域産科婦人科学講座教授の寺内公一氏に、女性の更年期障害を解説していただきました。
更年期症状の主な原因には、卵巣機能の低下によるエストロゲンの変動と減少、加齢に伴う身体的変化以外に、精神・心理的な要因、社会文化的な環境因子などが複合的に影響する「心身医学的な疾患」があると考えられています。また女性ホルモンの急激な変化は、閉経の前2年と後2年、合わせて4年間程度で起こり、この期間が更年期症状の出現するコアタイムとなります。
実際に外来を受診する患者さんを調査したところ5割くらいは、ほてりやのぼせ、発汗などの血管運動神経症状を感じ、気分の落ち込みや不安感、不眠の症状は血管運動神経症状と同程度、更年期症状のなかでとくに多いのは「肩こりと疲れやすさ」ということが分かりました。
更年期障害に対する治療には、閉経期ホルモン療法(ホルモン補充療法)、漢方薬、向精神薬を用いた治療があり、婦人科3大処方といわれる「当帰芍薬散」「加味逍遥散」「桂枝茯苓丸」が漢方治療の主軸です。近年の研究では60歳未満の閉経後間もない方を対象にホルモン補充療法を行うことで、更年期症状の改善や慢性疾患の予防にもなることが報告されています。
治療におけるゴールは完全に症状がなくなるということではなく、多少の症状が残っていても受け入れ、ともに生きていくと患者さんが思えるようサポートすることが必要です。そのためには、まず患者さんの訴えを傾聴し、詳細な問診を行うことで心理社会的要因を掘り下げ、食習慣や運動習慣を含めた生活習慣の改善を図っていくことも重要となります。
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