臨床情報まるわかり!ファーマスタイル!

更新日: 2023年7月25日 薬剤師コラム編集部

2023年最新版「心不全の診断と治療」とは?

2023年最新版「心不全の診断と治療」とは?のメイン画像

全国の薬剤師へ専門性の高い最新の医薬情報を提供している月刊誌ファーマスタイル。そのWEB版がm3.comで閲覧できるようになりました。薬剤師なら押さえておきたい医療記事を毎月ピックアップしてご紹介します。

2023年最新版 心不全の診断と治療

心不全の患者数は、毎年1万人ペースで増加していると推定されています。また団塊の世代が後期高齢者に突入する2025年以降は、さらに患者数が増加し「心不全パンデミック」が危惧されており、対策が喫緊の医療課題となっています。そこで今回は、日本の心不全医療をリードする研究者の一人である九州大学の井出友美氏に最新の心不全診療についてお話をうかがいました。

心不全は、心臓の機能が低下した状態と漠然と捉えられ、循環器専門でなければ医療者であっても十分に理解しているとはいえないのが現状です。心不全を理解するには、まず「心不全の病態の本体は循環不全であり、心臓から全身に必要な血液を送り出せない低心拍出と、血液が送り出せないために血液が停滞することによるうっ血により心不全の症状が引き起こされる」ということを理解することが重要です。また心不全の特徴的な症状として「労作時呼吸困難」がありますが、重症化すると日常生活動作でも息が切れるようになってきます。そして急性心不全を発症し心不全ステージに進行すると、その後再発する可能性が極めて高く、生命予後が悪い疾患とされています。

日本循環器学会が実施している「循環器疾患診療実態(JROAD)調査」で退院1年後の予後を予測したところ、退院時の日常生活ADLの指標が最も有意な予後予測因子であることが示されました。さらに近年、新しい作用機序の薬剤に関するエビデンスが大規模臨床試験で示されたことを受け、欧州心臓学会(ESC)とAHAでもガイドラインの改定が行われ、ACE阻害薬とアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)のどちらかを選択し、β遮断薬、MRA、SGLT2阻害薬を加えた4剤がHFrEF治療の基本薬として推奨されています。しかし、高齢者の心不全管理についてはエビデンスといえるデータが限られ、標準治療をそのまま当てはめることができないと考えられています。そのため併存疾患の多い高齢者は、できるだけ少ない薬で確実に効くものを優先させ、副作用が出ないよう注意して投与することが基本であり、個々の患者さんで個別化した対応が求められています。

「ファンタスティック4にプラスする薬剤」「HFpEF,HFmrEFに対する治療」「新しい心不全治療薬」については、本記事よりご確認ください。

2023年最新版 心不全の診断と治療の画像 記事を読む

関連記事

糖尿病と心不全の連関と糖尿病患者における心不全予防

日本だけでなく世界中で増加傾向にある心不全の話題。約100万人の若年成人のデータを用いて、心血管イベントのリスクや血糖との関連性について言及しています。

NSAIDsの短期使用で2型DM患者の心不全リスク増

短期間の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用と心不全の新規発症との関連に着目した論文が示されています。5年間の追跡期間で評価したNSAIDsの短期使用による心不全死のリスクが分かる内容です。

入院早期リハ介入、90歳以上急性心不全患者でも良好な予後と関連の可能性

東京大学は、超高齢心不全患者の早期リハビリテーションの介入に関する研究結果を公表。90歳以上の心不全患者4万1,896症例を対象とした検証結果が掲載されています。

まとめ

ご紹介した記事の他にも、ファーマスタイルでは最新の医療情報を豊富にそろえています。服薬指導や処方監査など、気になるテーマの記事はこちらからご確認ください。

すべてのコラムを読むにはm3.com に会員登録(無料)が必要です

こちらもおすすめ

薬剤師コラム編集部の画像

薬剤師コラム編集部

「m3.com」薬剤師コラム編集部です。
m3.com薬剤師会員への意識調査まとめや、日本・世界で活躍する薬剤師へのインタビュー、地域医療に取り組む医療機関紹介など、薬剤師の仕事やキャリアに役立つ情報をお届けしています。

キーワード一覧

臨床情報まるわかり!ファーマスタイル!

この記事の関連記事

この記事に関連するクイズ

アクセス数ランキング

新着一覧

26万人以上の薬剤師が登録する日本最大級の医療従事者専用サイト。会員登録は【無料】です。

薬剤師がm3.comに登録するメリットの画像

m3.com会員としてログインする

m3.comすべてのサービス・機能をご利用いただくには、m3.com会員登録が必要です。

注目のキーワード

医薬品情報・DI 調剤報酬改定 薬物療法・作用機序 服薬指導 派遣薬剤師 医療過誤・ヒヤリハット 業界動向 学習方法 薬局経営 年収・待遇