20代の薬剤師が未経験の仕事に転職するには?メリットやおすすめの仕事


どんなに新卒で就職するときに考えたつもりでも、実際に働き始めると、この仕事を一生続けるのは不安、もっと自分に合った仕事があるのではないか、と思うことは出てくるものです。
ただ、もう新卒カードは切ってしまいました。「新卒だから」とすべて教えてもらえたときと違って、未経験の分野へ飛び込むことには不安を感じるかもしれません。
しかし、20代という若い時期は、キャリアチェンジにおいて大きな可能性を秘めています。
この記事では、20代の薬剤師が未経験の仕事へ転職するメリットや、成功させるためのポイントについて解説していきます。
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20代で未経験の仕事に転職できる?

20代で未経験の仕事に転職することは、決して特別なことではありません。
むしろ、20代は未経験の仕事にも挑戦できる、多くのチャンスに恵まれた時期だといえるでしょう。
20代で転職する人は意外と多い
まず知っておきたいのは、20代で転職を経験する人は決して珍しくないということです。
薬剤師に限定したデータではありませんが、厚生労働省が公表している「令和5年 雇用動向調査結果の概要」をみても、他の年代と比較して20代の離職率は高い傾向にあります。
下のグラフは、新規の就職ではなく、転職によって新しく仕事を始めた人の割合を、年齢別に示したものです。

引用元:令和5年 雇用動向調査結果の概要 /厚生労働省
特に20代後半の女性の割合が全年齢のなかで最も高いことが目を引きます。
このグラフは、多くの20代が、自分のキャリアを模索し、より良い環境を求めて積極的に行動していることの表れです。
薬剤師業界も例外ではなく、最初の就職先で経験を積んだあとに、新たな可能性を求めて転職するケースは数多く見られます。
第二新卒に対してマイナスイメージはない
新卒で入社後、3年以内に転職する人材を指す「第二新卒」という言葉があります。
かつては「石の上にも3年」ということわざのように、すぐに仕事を辞めるのはよくないことで、最初に入った職場では最低3年は働くべきだという風潮がありました。
しかし、現在では、企業側がこの層に対してマイナスのイメージを持つことはほとんどありません。
むしろ、基本的なビジネスマナーを身につけて、社会人としての基礎ができている人材と評価されるようになっています。
新卒と同様に、若さゆえの柔軟性や吸収力の高さに期待が寄せられるため、未経験であっても前向きに採用を検討する企業は多いのです。
20代では未経験の仕事となることは多い
薬剤師の働くフィールドは、調剤薬局や病院だけでなく、ドラッグストア、製薬会社、行政など多岐にわたります。
そのため、たとえば病院からドラッグストアへ、調剤薬局から企業というように転職する場合、業務内容が大きく変わるため実質的には「未経験の仕事」にチャレンジすることになります。
薬剤師としての基本的な知識は共通していても、職場によって求められるスキルや役割は異なるため、20代での転職は未経験分野への挑戦となることが自然なのです。
未経験の仕事だからといって、転職をためらう必要はありません。
20代で転職するメリット

20代での転職には、他の年代にはない特有のメリットが存在します。
これらを理解しておくことで、自信を持って転職活動に臨むことができるでしょう。
ポテンシャル転職として扱ってもらえる
20代の転職では、これまでの経験やスキル以上に、将来性や潜在能力、いわゆる「ポテンシャル」が重視される傾向にあります。
採用する側は、現時点での完成度よりも、入社後の成長に期待しています。
そのため、未経験の分野であっても、「これから学び、成長してくれるだろう」という期待感を込めて採用してもらいやすいのが20代の大きなメリットです。
未経験でも当たり前と扱ってもらえる
社会人経験がまだ浅い20代であれば、経験したことのない業務があるのは当然と捉えられます。
30代以降になると即戦力としてのスキルや経験が求められることが多くなりますが、20代であれば未経験なのは当たり前として採用してもらえるのです。
入社後も、新卒と同様に手厚い教育やサポートを受けることができます。
職場にとっても年下のほうが受け入れやすい
一般的に職場の組織は年功序列の傾向があり、薬剤師の職場も例外ではありません。
上司より年上の新人が入るよりは、年下の新人が入るほうが、上司側は指導を行いやすく、新人も素直に教えを受け入ることができます。
職場のほかのスタッフも変に気を遣うことがなく、スムーズに受け入れてもらえるでしょう。
もちろん、短期的にみると経験豊富なほうが即戦力にはなります。
しかし、たとえスキルの面では未熟だとしても、スキルについては教えれば問題なくなると上司の側も考えています。
若いということは、職場全体にとってもメリットとなるのです。
20代なら年齢制限のある公務員にもチャレンジできる
安定して働ける公務員にも、薬剤師の資格を活かせる仕事があります。
ただ、公務員の求人には、多くの場合、年齢制限が設けられています。
自治体によって異なりますが、一般的に「30歳未満」といった条件があります。
20代でなければ公務員にチャレンジすることはできません。
安定した身分や地域貢献といった魅力のある公務員薬剤師への道は、20代だからこそ開かれているキャリアの一つと言えるでしょう。
20代が未経験でチャレンジしやすい職種とは

薬剤師が活躍できる職場はさまざまですが、未経験からでも挑戦しやすい職種と、そうでない職種が存在します。
20代でも未経験可と未経験では難しい職種がある
すべての職種が20代の未経験者に門戸を開いているわけではありません。
ポテンシャルが評価されるとはいえ、高度な専門性や特定の経験が必須となる職種では、未経験からの転職は難易度が高くなります。
一方で、薬剤師としての基礎知識を活かせたり、人材需要が高かったりする分野では、未経験でも問題なく働くことができます。
未経験でも転職しやすい職種の特徴
未経験からの転職を成功させるためには、どのような職種がねらい目なのか、その特徴を知っておくことが重要です。
調剤がベースとなっている
薬剤師としての最も基本的なスキルは調剤業務です。
たとえ職場が変わったとしても、この調剤スキルが業務の土台となっている職種であれば、これまでの経験を直接的に活かすことができます。
まったくのゼロからのスタートではないため、スムーズに仕事になじんでいくことができるでしょう。
専門性がそこまで高くない
たとえば、新卒時に大学院卒が対象となるような仕事は、転職では同等の学歴にプラスアルファした経験が求められます。
特定の分野で長年の経験を積んだり、特殊なスキルを習得していたりしなくても、入社後の研修や実務を通して必用なスキルを身につけられる職種は、未経験者にとって挑戦しやすいでしょう。
人手不足気味である
現状としては、薬剤師業界全体が人手不足というわけではありませんが、地域や職種によっては人材確保に苦戦しているケースがあります。
特に、需要に対して供給が追いついていない分野では、採用のハードルが下がり、未経験者であっても積極的に採用しようとする傾向が見られます。
募集の数が多い
同じ薬剤師の仕事であっても、調剤薬局のように全国どこでも多くの募集が出ている職種もあれば、一般企業のように求人が少ないものもあります。
当然のことながら、求人数が多い職種ほど選択肢が広がり、自分に合った職場を見つけやすくなります。
多くの企業や医療機関が募集を出しているということは、それだけ未経験者を受け入れる体制が整っているとも言えるでしょう。
20代が未経験でチャレンジしやすい職種

上記の特徴をふまえ、20代の薬剤師が未経験からでも挑戦しやすい具体的な職種を紹介します。
調剤薬局
病院薬剤師から調剤薬局へ、あるいはドラッグストアから調剤薬局へといった転職は、未経験の業務が含まれるものの、調剤という共通項があるため比較的スムーズだといえます。
また、調剤業務が未経験の一般企業からの転職であっても、20代であれば問題なく受け入れてもらえます。
教育システムが確立されている大手チェーンも多く、未経験者へのサポート体制が整っています。
ドラッグストア
全国各地に店舗のあるドラッグストアも、未経験者がチャレンジしやすい職場です。
調剤併設型のドラッグストアが増加しており、調剤経験を活かしながら、OTC医薬品のカウンセリングや店舗運営など、新たなスキルを身につけることができます。
未経験者を歓迎する求人も多く、多様なキャリアパスを描ける点が魅力です。
病院
次の項目で説明するように、大学病院や大規模な総合病院は経験者が求められる傾向にあります。
しかし、中小規模の病院であれば、未経験や経験の浅い薬剤師も積極的に採用している場合があります。
とくに、地方で人手不足が深刻な病院では、「未経験歓迎」といった求人も多くみられます。
病院での経験を積みたい、地域医療に貢献したいという思いがある人は、視野に入れてみるとよいでしょう。
CRA CRC
CRA(臨床開発モニター)やCRC(治験コーディネーター)は、医薬品開発の最前線である治験の現場で活躍する専門職です。
薬剤師としての知識が直接的に活かせるため、未経験から転職する薬剤師が多い分野です。
特にCRAは30代になると未経験での転職が難しくなるため、20代のうちにチャレンジすることをおすすめします。
20代が未経験でのチャレンジが難しい職種

一方で、20代であっても未経験からの転職が難しいとされる職種も存在します。
製薬会社の研究・開発職
製薬会社の研究職や開発職は、非常に高い専門性が求められます。
多くの場合、採用は新卒が中心であり、薬学系の大学院で修士号や博士号を取得していることが応募の条件となるケースが多くなっています。
同業他社での経験がない限り、未経験での採用はほぼないと考えておいたほうがいいでしょう。
大学病院・総合病院
最先端医療を担う大学病院や地域の基幹病院では、がんや感染症、精神科などの領域で高度な専門知識と豊富な臨床経験を持つ薬剤師が求められます。
新卒に人気の職場のため、大学病院などはその大学の薬学部の卒業生でほぼ埋まってしまいます。
病院業務の未経験者が採用されるハードルは高いと言わざるを得ません。
MR
MR(医薬情報担当者)もかつては未経験からの転職者がいましたが、近年は製薬業界全体の変化に伴い、採用数が減少傾向にあります。
そのため、経験者が優遇されるケースが多く、未経験からの挑戦は以前よりも難しくなっています。
20代の薬剤師が未経験分野への転職活動を成功させるには

20代の薬剤師が未経験分野への転職を成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。
これらのポイントを意識して準備を進めていきましょう。
転職で何が得たいかを考える
転職にチャレンジするためには、新卒の就活と同じように、まずは自己分析が不可欠です。
「なぜ転職したいのか」「新しい職場で何を実現したいのか」を深く掘り下げて考えてみましょう。
給与や休日などの条件面だけでなく、どのようなスキルを身につけたいか、将来的にどのようなキャリアを築きたいかを明確にすることで、転職活動の軸が定まります。
自分のアピールポイントを洗い出す
未経験の分野に挑戦する場合でも、これまでの経験の中で培ってきた強みは必ずあります。
薬剤師としての知識はもちろん、患者さんや他職種のスタッフと円滑に連携してきたコミュニケーション能力、後輩を指導した経験、業務改善に取り組んだ経験など、ポータブルスキルを洗い出し、自信を持ってアピールできるように準備しましょう。
前向きに勉強する姿勢を示す
面接においては、未経験であることを素直に認めたうえで、新しいことを学ぶ意欲や熱意を伝えることが重要です。
応募する職種に関連する分野の情報を集めたり、関連書籍を読んだりするなど、自主的に学習している姿勢を示すことで、採用担当者に「この人なら入社後も成長してくれそうだ」という好印象を与えることができます。
薬剤師専門の転職エージェントに相談する
自分一人で転職活動を進めるのが不安な場合は、薬剤師専門の転職エージェントを活用することをお勧めします。
業界の動向に精通したコンサルタントから、未経験の職種に応募する際の注意点や、未経験者の採用に積極的な職場を教えてもらうことができます。
また、客観的なアドバイスを受けたり、非公開求人を紹介してもらえたりするメリットもあります。
履歴書や職務経歴書の添削、面接対策などもサポートしてくれるため、成功の確率を高めることができます。
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まとめ

20代という時期は、キャリアを見つめ直し、新たな一歩を踏み出すのに最適なタイミングです。
未経験の分野への挑戦は不安を伴うかもしれませんが、若さとポテンシャルを武器に、多くの可能性の扉を開くことができます。
転職を通じて何を得たいのかを明確にし、自身の強みを理解したうえで、前向きな姿勢で臨むことが成功の鍵となります。
この記事が、あなたの新たな挑戦を後押しする一助となれば幸いです。
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