30代薬剤師の転職・年収コラム

更新日: 2025年5月4日 薬剤師コラム編集部

30代から未経験の挑戦!免許あり・なし別・薬剤師へのステップ

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薬剤師未経験の方は、薬剤師免許は持っていて、薬剤師として働いたことがないという方と、別の仕事をしていて、これから薬剤師免許をとって転職したいという方に分けられるかと思います。

薬剤師の国家試験に年齢制限はなく、30代から目指す人もいます。
薬剤師の平均年齢は46.4歳で、30~40代が約半数です。年齢を理由に諦める必要はありません。

本記事では、主に30代の方に向けて、未経験から薬剤師を目指す場合のポイントを、免許のあり・なし別に解説します。

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30代の未経験でも薬剤師になれる

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30代から薬剤師への転職を考えるとき「本当に今から薬剤師になれるのだろうか」と不安に思う方も多いでしょう。結論から言えば、30代・未経験からでも薬剤師になることは可能です。

実際、薬剤師として働くのには年齢制限がなく、社会人を経験した30代であっても挑戦できます。現在、現役薬剤師の平均年齢は46歳を超えており、30~40代の薬剤師が全体の約半数を占めています。

参照:薬剤師 /厚生労働省

そのため、30代で薬剤師を目指しても決して遅すぎることはなく、むしろ人手不足の業界で活躍を期待されるでしょう。
ただ、その難易度は薬剤師免許を保持しているかどうかによって大きな違いがあります。

薬剤師免許を持っているが活かしていない場合

すでに薬剤師国家資格を取得していながら現場で働いた経験がない、いわゆる「ペーパー薬剤師」を指します。この場合、資格を保持している分、比較的スムーズに薬剤師として転職できる可能性があります。

実際、求人には「未経験歓迎」「ブランクOK」といった募集も多く、調剤未経験の30代薬剤師でも積極的に採用したい職場は存在するのです。

薬剤師免許を持っていないので、これから取得したい場合

異業種から新たに薬剤師資格を取得するケースです。30代で薬学部に入学して国家資格を目指す必要があり、最短でも6年間の学習期間を要します。

容易な道ではありませんが、制度上年齢制限はなく、強い意志と十分な準備があれば30代からでも挑戦可能です。ただし、学業と並行して仕事を続けるのは現実的に難しく、時間や経済的な計画が欠かせません。

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薬剤師免許を持っている場合

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薬剤師免許は持っているものの実務未経験という場合、どんな職場(業種)で働きたいかによって転職の難易度や準備すべきポイントが異なります。

調剤薬局・ドラッグストア

慢性的な人手不足のため、調剤未経験でも30代薬剤師を歓迎する職場が多く見られます。

病院

人手不足の病院もありますが、大病院では30代未経験者の採用が厳しい場合があるでしょう。

企業

新卒や専門経験者の採用が中心で、30代未経験からの転職は極めて狭き門です。

どんな業種にチャレンジしたいのかによって、働き方や採用率は大きく変わります。

調剤薬局

調剤薬局は全国に多数存在し、門前薬局などでは慢性的に薬剤師が不足しています。そのため、30代であっても調剤未経験者を受け入れる薬局は珍しくありません。

調剤薬局での主な業務は医師の処方箋に基づく調剤と患者対応ですが、これまで別業界で培ったコミュニケーション能力や事務スキルが役立つ場面も多々あります。ただし、調剤薬局と一口に言っても大手チェーンか個人経営かによって雇用条件や教育体制はさまざまです。

大手調剤チェーンでは研修制度が充実している反面、若手を中心に採用する傾向もあります。
中小の薬局では30代以上の未経験者でも歓迎されることが多いでしょう。未経験から調剤薬局への転職を目指す場合、研修制度が整っている職場や30代以降も歓迎している求人を選ぶと、安心してスタートを切ることができます。

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ドラッグストア

ドラッグストアは調剤併設店が増え、業界全体で薬剤師の採用ニーズが高まっています。そのため、30代で調剤未経験でも大手ドラッグストアなら採用される可能性は十分にあります。

実務経験がない場合でも、新人研修や勉強会など教育プログラムが整備されている企業が多く、入社後に学びながら現場に慣れていけるでしょう。ドラッグストアでの業務は調剤だけでなく、OTC医薬品の説明販売や在庫管理、その他商品の接客・販売など多岐にわたります。

そのため、30代の社会人経験者であれば接客マナーや店舗運営の視点などを活かせる場面も多いです。給与水準も病院薬剤師や調剤薬局より高めと言われることがあり、収入アップを狙いたい30代にも魅力的な選択肢と言えます。
ただし、営業時間が長くシフト制勤務となる店舗も多いため、ワークライフバランスや勤務条件も併せて検討しましょう。

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病院

30代で病院薬剤師への転職を希望する場合、自身が調剤未経験かどうかでハードルが変わります。すでに調剤薬局などで経験を積んでいる薬剤師なら、病院側も即戦力として迎えてくれるでしょう。しかし、調剤未経験の30代となると、大規模な総合病院では採用が厳しい可能性があります。

人気の大学病院では若手の新卒や20代の経験者で求人が埋まってしまい、年齢だけで書類選考で不利になることも考えられます。それでも病院で働きたい場合は、比較的人手が不足しがちな地域の病院や慢性期病院を狙うのが現実的です。慢性期病院であれば急性期病院ほど業務が忙殺されることは少なく、研修制度もしっかりしている場合が多いです。

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企業

30代の薬剤師未経験者が、企業の研究・開発職やMR職などへ転職するのは、ハードルが極めて高いのが実情です。企業求人の多くは新卒か専門スキルを持った経験者に限られ、研究・開発職は大学院修了の若手が中心で30代からの参入は困難でしょう。

また、学術職やMR職など資格不問の職種でも「経験者優遇」や「35歳まで」といった条件が多く、未経験で30代後半からの転職は厳しいのが現状です。

なお、30代前半までであればポテンシャル採用の可能性がゼロではありません。どうしても企業で働きたい場合は、薬剤師向け転職エージェントなどで非公開求人を探すなど工夫が必要です。また、企業の色々な職種の中でも、品質管理職は薬剤師未経験でも応募が可能な場合があります。職種を限定せずに見てみるのも一つの手でしょう。

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薬剤師免許を持っていない場合

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30代から新たに薬剤師免許の取得を目指す場合について解説します。異業種から医療職へのチャレンジとなるため、覚悟と周到な準備が必要です。

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大学の薬学部に6年間通う必要がある

薬剤師になるには、まず薬学部(6年制課程)を卒業して、薬剤師国家試験の受験資格を取得する必要があります。30代から薬学部に入学するとなると、卒業までに最低6年間を要し、仮に30歳で入学できても卒業時は36歳になります。さらに、国家試験は年に1回しかチャンスがないため、一度不合格になると翌年まで待つことになってしまいます。令和6年の薬剤師資格の合格率は68.43%でした。

参照:第109回薬剤師国家試験 大学別合格者数 /厚生労働省

今の日本の薬科大学には、夜間課程や通信制はなく、基本的に日中の通学が必須です。
そのため、働きながら学位取得を目指すのは現実的に難しいため、退職して学生に戻る必要があるでしょう。社会人経験を経て再び学ぶことは貴重な体験ですが、長期間勉強に専念できるよう、生活を変える必要があるでしょう。

学費が6年間分かかる

薬学部の学費も大きなハードルです。国公立大学であれば6年間の授業料総額は約350万円前後(年間約54万円)ですが、私立大学の場合は、初年度だけで200万円以上、6年間の総額では、1,200万〜1,500万円程度になることもあります。
(国立大学は、年間授業料約54万円、入学金は28万円です。私立大学は、年間授業料は約120万円、入学金は約40万円です。)

※国立大学の費用は東北大学薬学部、私立大学は大阪医科薬科大学を参考にしています。

いずれにせよ、4年制学部より長い分、学費が増えるのは避けられません。加えて、在学中は基本的にフルタイムで学業に専念するため、6年間の収入機会を失うことにもなります。

30代という働き盛りの時期に、大きな収入が途絶えることや、長期間生活費を賄う必要がある点も考慮しなければなりません。奨学金の活用や貯蓄の切り崩しなど、入学前に必ず資金計画を立てておきましょう。経済面の不安をクリアにしておくことが、安心して勉強に集中できる環境作りにつながります。

30代の6年間を薬剤師資格取得に費やすことになる

30代から薬学部に通う場合、周囲の学生はほとんどが10代後半〜20代前半です。その中で30代の貴殿が6年間一緒に学ぶというのは、簡単ではないかもしれません。年齢のギャップによる戸惑いや、勉強のブランクから来る苦労も予想されます。ようやく卒業・資格取得できても、新人薬剤師としてスタートする時には自分より一回り以上若い同僚に囲まれる可能性があります。

また、同年代の友人たちは、結婚や出産といったライフイベントがあったり、仕事で管理職をまかされたり、公私ともにステージが進んでいく方もいるでしょう。

30代の貴重な時間を資格取得に費やすことになるため、本当に薬剤師になりたいという強い動機付けが必要です。途中で挫折しないためにも、なぜ薬剤師になりたいのか、どんなキャリアを築きたいのかを入学前に明確にしておきましょう。

年齢的なハンデや、同年代の友人との差を感じるときがあるかもしれませんが、社会人経験を積んだ30代だからこその強みが活かせる場面がきっとあります。
この先の長い人生を鑑みて、6年間という時間を費やして薬剤師になることに、自信を持って臨むことが大切です。

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薬剤師免許を30代で取得するには

30代からの資格取得は確かに容易ではありませんが、実際に成功させた人もいます。重要なのは、綿密な計画と強い意志です。働きながらの受験勉強が難しい以上、入学前に十分な資金を準備し、家族の理解を得ておきましょう。

また、学業に専念する6年間を通して、モチベーションを維持する工夫も必要です。友人にこの大きな挑戦を話して励ましてもらったり、勉強に対するブランクを事前に埋めたりなど、自分なりの対策を考えておくと良いでしょう。

社会人経験で培った責任感や自己管理能力は、きっとこの長い学びの過程でも役立つはずです。資格取得後のキャリアも描いておきましょう。
20代の新卒と比べ不利な点はありますが、薬剤師の需要自体は社会全体の高齢化によって増え続けています。

30代の新人でも「戦力」として受け入れてくれる職場は存在します。

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まとめ

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「30代で薬剤師未経験でも薬剤師になりたい」という思いは、決して実現不可能な夢ではありません。薬剤師免許を持っていなくても、制度上は何歳からでも挑戦できます。ただし、学費や生活費を含めた経済的負担、30代の大半を学業に費やす覚悟が必要です。

一方、すでに薬剤師免許を持っている30代の方で実務経験がない場合、高齢化社会で進む人材不足もあり、未経験からでも薬剤師として採用される可能性は十分にあります。いずれの場合も、重要なのは現状を正しく理解し、早めに行動を起こすことです。

「やってみたい」という気持ちがあるなら、年齢を理由に諦める必要はありません。適切な準備と熱意さえあれば、30代からの薬剤師への道はきっと拓けるでしょう。

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薬剤師コラム編集部

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