薬剤師は30代新卒からでも入社できる?就職時の注意点、平均年収を解説


30代から薬剤師を目指すのは遅いのでしょうか?年下の同期に遅れをとる不安を抱えていませんか。
薬剤師の平均年齢は46歳で、約半数が30〜40代です。つまり、30代からの新卒薬剤師も問題なく働けます。
本記事では、30代の新卒でも薬剤師になれる理由と就職するときの注意点などについて詳しく解説します。
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卒業時には30代、新卒で入社できる?

30代で薬学部を卒業しても、新卒扱いで薬剤師に就職することは十分可能です。なぜなら、薬剤師は国家資格であり、受験や採用に年齢制限がないからです。
実際、現役薬剤師の平均年齢は46.8歳で、30〜40代の薬剤師が約15万人と全体の半数を占めています。※厚生労働省調べ
令和2年12月31日時点での薬剤師の数は321,982人です。※厚生労働省調べ
30代で薬剤師になるのは決して珍しくなく、社会からの需要も十分にあると言えるでしょう。
就職市場でも30代新卒を受け入れる求人は存在します。たとえば、薬キャリ では条件を30代に絞ると、8,803件の求人が出てきました。※2025年3月現在
ただし、勤務地や職場によっては20代より求人数が少ない場合もあります。
しかし、年齢だけで門前払いされることはなく、計画的に就職活動を進めれば30代からでも新卒薬剤師としての就職は十分に可能です。
このように、卒業時に30代であっても新卒薬剤師として入社するチャンスはあります。年齢を理由に夢を諦める必要はなく、むしろ人生経験や意欲をしっかり伝えると、採用担当者の心をつかめるでしょう。
30代で新卒薬剤師として就職するときの注意点

30代で新卒薬剤師として働き始めるにあたり、意識しておきたい注意点があります。若手の20代とは異なる強みや弱みがあり、雇用側から求められる役割も変わってくるためです。
以下では、「20代と30代の違い」「30代に求められること」「キャリアとワークライフバランス」という3つの観点から、30代新卒ならではの注意点を見ていきます。
20代と30代の違いを考える
20代と30代の新卒では、置かれた状況や強みが大きく異なります。
30代であれば社会人経験や人生経験がある分、コミュニケーション能力やビジネスマナーが身についている場合が多く、大きな武器になります。たとえば、以前の接客業で培った対人スキルは患者対応に役立つでしょう。このように、年齢相応の経験から生まれるスキルは30代新卒の強みと言えます。
一方で、30代新卒は周囲から即戦力に近い対応力を期待される場面がある点で20代とは異なります。入社後には自分より年下の先輩や上司から指導を受けることもありますし、年齢を理由に特別扱いされません。「年齢=キャリアではない」という意識を持ち、20代の同僚と同じスタートラインに立つ覚悟が必要です。
プライドにこだわらず柔軟に学ぶ姿勢を示せば、持ち前の社会人スキルと相まって職場に早く馴染むことができるでしょう。
30代に求められること
30代新卒の薬剤師にはどのような役割や姿勢が求められるかを考えてみましょう。
一般的に雇用側は、30代の人材に対して「これまで培った経験をどう活かせるか」を期待する傾向があります。薬剤師としては新人であっても、社会人としての基本的なマナーや仕事への取り組み方はできていて当然という目で見られます。そのため、挨拶や報連相など当たり前なことを確実にこなし、信頼を得ることが大切です。
また、30代ならではの落ち着きや責任感も周囲から期待されます。たとえば、同じ新人でも20代の同僚がミスをしたとき、年長者である30代のあなたが率先してフォローに回れば、チームから厚い信頼を得られるかもしれません。
逆に、自分の年齢を言い訳にして消極的な態度を取ってしまうと「せっかく30代を採用したのに期待外れ」と思われてしまう可能性もあります。
常に前向きで柔軟な姿勢を示し、人生経験を仕事に活かす意識を持つことが、30代新卒薬剤師に求められる資質と言えるでしょう。
キャリアとワークライフバランス
30代から薬剤師としてキャリアを築くなら、計画的に経験を積んでいくことが大切です。
20代から始めた人に比べて実務経験のスタートが遅い分、意識的にスキルアップの機会を活用しましょう。具体的には、職場での研修や社外の勉強会に積極的に参加し、知識と技術を磨き続けることが重要です。年齢に関係なく学び続ける姿勢があれば、遅れを取り戻しつつ着実にキャリアアップできます。
同時に、30代だからこそワークライフバランスも意識したいところです。家庭を持っていたり今後のライフイベントを控えていたりする人も多い年代のため、無理のない働き方を選ぶと長期的に薬剤師として活躍できます。
薬剤師の職場は病院、調剤薬局、ドラッグストアなど選択肢が豊富で、時短勤務やパートなど柔軟な働き方も可能です。自分のライフスタイルに合った勤務先や勤務形態を選べば、キャリアと私生活の両立が図りやすくなるでしょう。
30代新卒薬剤師の年収は?

結論から言えば、30代で新卒として就職した場合の初任給・年収は、基本的に20代新卒と同じ水準になります。年齢よりも「経験年数」が給与に反映されるため、未経験からのスタートである以上、給与体系も新人扱いとなるからです。
具体的な金額は勤務先にもよりますが、新卒薬剤師の年収は概ね300万〜400万円台前半が一つの目安です。月給ベースだと、20〜30万円程度。
たとえば、調剤薬局で約300〜420万円、病院で300〜350万円、ドラッグストアでは350〜450万円程度が初年度年収の目安です。地域や企業規模によって差はありますが、大卒新卒の初任給としてはほぼこの範囲に収まります。
このように、30代であっても新卒1年目の年収相場はおおむね300〜400万円程度です。ちなみに、薬剤師全体の平均年収は30代前半で約564万円、30代後半で約614万円というデータがあります。経験を積んだ薬剤師と比べるとギャップを感じるかもしれませんが、あくまでスタート時点の数字です。
※平均年収は、厚生労働省「賃金構造基本統計調査/ 令和6年賃金構造基本統計調査」の、「きまって支給する現金給与額」12か月分に、「年間賞与その他特別給与額」を足した金額を平均年収として算出
次の項目では、30代薬剤師として年収を上げていく方法について考えてみましょう。
30代薬剤師の平均年収に近づけるには?
新卒時の年収は一時的に低くても、経験を積むと将来的に30代薬剤師の平均年収に近づけていくことは十分可能です。そのためには、計画的にキャリアを積み重ねて収入アップの機会を逃さないことが大切になります。
まずは、現場で着実に実績を積みましょう。新人のうちは目の前の業務に慣れ、スキルを高めることが優先ですが、数年経験を積んだら次のステップを意識します。
昇進や役職へのチャレンジを視野に入れ、自ら手を挙げていきましょう。勤務先で管理薬剤師に昇格できれば役職手当がつき、確実に年収が上がります。
他にも、資格を取得して資格手当を得ることや、経験を武器に転職してより高い条件の職場へ移ることが選択肢となります。
努力を重ねると、遅れてスタートした分を取り戻し、30代の平均年収に近づけるでしょう。
資格取得や休日出勤も
年収アップのために活用できるものとして、資格と手当も大切になります。
実務経験を積んで管理薬剤師に就任すれば、役職手当分だけ年収が上乗せされます。さらに、各種認定薬剤師(研修認定薬剤師や専門薬剤師など)の資格取得もおすすめです。資格を取得すれば資格手当がプラスされますし、人事評価でも高評価となり昇進・昇給につながる可能性があります。
また、休日出勤や夜間勤務の手当も収入アップに直結します。職場によっては日曜日や祝日に出勤したり、病院薬剤師で当直勤務が発生したりする場合がありますが、割増賃金が支払われるのです。
実際、病院薬剤師では夜勤や休日出勤の手当を含めると、基本給ベースの年収300万円台よりも実際の収入が大きく上回るケースもあります。無理のない範囲で手当のつく勤務を引き受ければ、その分年収を底上げできるでしょう。
もちろん、頑張りすぎて燃え尽きてしまっては本末転倒です。体調管理やプライベートとの両立にも配慮しながら、制度を活用して着実に年収アップを目指しましょう。
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まとめ

30代から新卒薬剤師としてキャリアをスタートさせることは、決して遅すぎではありません。年齢に関係なく挑戦できる分野であり、実際に多くの30代薬剤師が活躍しています。
大切なのは年齢にとらわれず前向きに取り組むこと。20代との違いを正しく理解し、社会人経験やコミュニケーション力といった自分の強みを武器にしましょう。
スタート時の年収が低めでも、努力次第でキャリアアップと年収アップを十分に実現できます。常に学ぶ姿勢で資格取得やスキル向上に努め、チャンスを掴んでください。
人生100年時代、30代からの挑戦はまだまだこれからです。遅れてスタートした分は情熱と計画性でカバーし、理想の薬剤師への道を歩んでいきましょう。
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