40代の薬剤師は転職で年収が下がる?失敗しないためのポイントを解説


薬剤師として働いて40代になると、実務の面ではベテランの域になり、現場ではマネジメントを任される方や、経営面を任される方もいることでしょう。
しかし、40代に多いお悩みは、介護と育児とのワークライフバランスの問題や、体力的に衰えてくる問題から、いまの職場で、同じ立場で働き続けることに、不安を感じる人も増えてくる年代です。
より自分に合った職場に転職したいと思ったときに心配なことの一つが、収入です。
40代で転職すると、年収は下がってしまうのでしょうか?
この記事では、40代薬剤師の転職事情や年収、希望の転職をかなえるポイントについて解説します。
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40代薬剤師の転職状況

現場での豊富な経験と知識がある40代薬剤師は、転職市場においては魅力的な人材です。しかし、年齢やこれまでのキャリアによって、転職活動は若年層とは異なる側面を持つことも事実です。
まず、現在の薬剤師の求人状況を確認してみましょう。
薬剤師の求人状況
現在の薬剤師の求人状況について、データから確認してみましょう。
2024年9月の医師や薬剤師の有効求人倍率は2.20倍となっています。
同じ月の全体の有効求人倍率は1.11 です。それに比べると、薬剤師の求人倍率は高いと言えます。
ただ、薬剤師の有効求人倍率は、近年低下傾向にあります。
2016年9月の有効求人倍率は5.92でしたが、コロナ禍の2020年9月には2.01まで急落し、それ以降は2倍前後で推移しています。
昔は薬剤師は売り手市場で転職先に困らないと言われていましたが、現在は条件のよい転職は厳しくなっているのが現状です。
40代の転職状況は?
薬剤師は資格職ですし、仕事の内容は調剤を基本としてどの職場でも共通する部分は大きいといえます。40代は経験豊富で、調剤スキルだけでなく患者さんとの接し方などにも長けているので、実務面では非常に重宝される人材です。
一方で、採用においては難しい面があります。ただルーティンワークを任せるだけなら、より若くて長く働いてもらえる20〜30代の薬剤師を採用しようと考えるからです。
40代は給与の水準が高くなっています。そのため、現場スタッフとして日々の業務を行うだけでなく、職場をまとめて売上を管理する管理職的なはたらきが求められるようになります。
40代となると定年までの時間も短くなり、もともといるスタッフとの年齢構成的な面でも難しいことがあるかもしれません。
同じ条件の求職者がいれば、より若いほうを採用しようという流れになってしまうのです。
40代薬剤師は転職すると年収は下がる?

40代薬剤師が転職すると、必ずしも年収が下がるわけではありません。経験やスキルを活かして、より高い年収を実現できるケースもあります。
しかし、20〜30代がポテンシャルを見込まれて、ステップアップの転職が基本となるのに対して、40代では年収が下がる可能性も出てきます。
以下、詳しく見ていきましょう。
40代薬剤師の平均年収
厚生労働省のデータをもとにすると、40代の薬剤師の平均年収は636万円です。
詳しいデータは、以下の表の通りです。
年代別 | 男女計 | 男 | 女 |
40~44歳 | 630万円 | 726万円 | 577万円 |
45~49歳 | 641万円 | 719万円 | 608万円 |
40代平均 | 636万円 | 723万円 | 593万円 |
※平均年収は、厚生労働省「賃金構造基本統計調査/ 令和4年賃金構造基本統計調査」の、「きまって支給する現金給与額」12か月分に、「年間賞与その他特別給与額」を足した金額を平均年収として算出
実際の40代薬剤師の平均年収は、勤務先や経験年数、役職などによって大きく異なりますが、一般的なサラリーマンと比べると、年収は男女ともに高いと言えます。
40代薬剤師は転職すると年収はどうなる?
では、40代薬剤師が転職すると、転職後の年収はどうなるのでしょうか。
管理薬剤師などでキャリアアップ型の転職をした場合、年収も高くなります。管理薬剤師や医局長などの管理職に就いた場合、年収は一般薬剤師に比べると100万円以上増えるでしょう。
また、規模の小さい薬局や、一人薬剤師、地方の薬局などに転職した場合も転職アップが期待できます。
一方で、残念ながら年収が下がってしまうケースもあります。とくに、前職の勤続年数が長くて年収が高かった場合、転職先で同等の年収を得ることは難しいことがあるかもしれません。
次に、40代薬剤師が転職して年収が下がるケースについて、詳しく見ていきましょう。
40代薬剤師が転職して年収が下がる理由

40代薬剤師が転職して年収が下がるのには、以下のような理由があります。これらにあてはまる場合は、事前に対策を考えておきましょう。
未経験の仕事に転職した
これまでの経験を活かせる仕事ではなく、まったく新しい分野に転職した場合、それまでのキャリアが考慮されないので給与が低くなることがあります。
たとえば、調剤未経験で調剤のある職場へ転職した、病院から調剤薬局へ転職した、というような場合は、同じ40代で同じ職場でも、キャリアを積んだベテランスタッフと同じ給与をもらうことは難しいでしょう。経験を積むまでの間は年収が抑えられる可能性があります。
管理職としてのスキルがない
40代は管理職となって職場をまとめていくことが期待される年代です。
前職で管理職を経験していなかったり、マネジメントスキルが不足したりしている場合は、転職先で管理職としてのポジションを得ることが難しく、年収は頭打ちになる可能性があります。
また、家庭とのかねあいなどで管理職への昇進を望まない場合も、給与の伸びは期待できないかもしれません。
働く時間が減った
体力的に厳しくなったり、ワークライフバランスのことを考えたりして、身体に負担のかからない職場へと転職するのが増えるのが40代です。
ただ、夜勤や宿直のある職場からそうでない職場へ転職したり、残業の多い職場から少ない職場へ変わったりすると、働く時間が減少するため、年収が少なくなることがあります。
大手企業で、激務だけれども給与はいい、というような職場から転職する際も、給与ダウンは避けられないかもしれません。
また、正社員からパートやアルバイトなどへと働き方が変わった場合も年収は減少するでしょう。
40代薬剤師が転職を成功させるポイント

ここまで見てきたように、40代薬剤師の転職にはプラス面だけでなくマイナスに感じられることも増えてきます。
では、40代薬剤師が転職を成功させるにはどうすればいいのでしょうか。
自分はどういう働き方をしたいのかを確認する
40代ともなると、自分が仕事に求めるものが明確になってくるのではないでしょうか。
転職活動の成功には、自分は転職によって何を得たいのかを明確にすることが不可欠です。
たとえば、以下の項目について、自分はどうしたいのかを整理してみましょう。
- ワークライフバランス 残業時間や休日数など、仕事とプライベートのバランスをどうしたいのか
- キャリアアップ マネジメントに挑戦したいのか、安定して働きたいのかなどのキャリアパス
- 勤務地 通勤時間のほか、都市部、地方など、勤務地へのこだわりの有無
- 職場環境 人数の多さ、大企業か個人薬局か、処方箋の数、関わる診療科など
- 給与 希望する年収や待遇
これらの要素を総合的に考慮し、自分にとって理想の働き方を具体的にイメージすることで、転職活動の方針をはっきりさせることができます。
たとえば、生活面で時間のゆとりができれば給与ダウンは受け入れるのか、それはどの程度なら許容できるか、またはあくまでも給与水準は落としたくないのかなど、自分のなかでの方針をきちんと決めてから転職活動に臨みましょう。
管理職経験を積んでおく
管理職経験は、40代薬剤師が転職活動でアピールできる大きな強みのひとつです。特にキャリアアップ、給与アップを求めて転職する場合は、できるだけ現在の職場で管理職につながる経験を積んでおきましょう。
リーダーシップ、チームワーク、問題解決能力など、多岐にわたるスキルが求められる管理職を経験することで、より幅広い業務に対応できる能力を示すことができます。
資格を取っておく
薬剤師として働くには日々の勉強が欠かせませんが、それに加えて、認定薬剤師や専門薬剤師などの資格を取得すれば、転職時のアピールポイントとなります。
資格を取得することで、専門性が高く、即戦力となる人材として評価される可能性が高まります。
かかりつけ薬剤師に必要な研修認定薬剤師や、管理薬剤師に必要な認定薬剤師の資格を取っておくと、転職後に安定して働くベースになるでしょう。新しい職場にどのくらい貢献できるかを示すことができます。
地方で働くことも考える
地方では人材不足が深刻なため、高待遇の求人が増えています。
薬剤師が多い都市部では、条件のよい求人はより若い薬剤師を採用する傾向がありますが、応募の少ない地方であれば、よりよい条件で働ける可能性があります。
転居を伴うため実行するのは難しい面がありますが、もし地元へのUターンを考えていたり、少し範囲を広げればそのような求人があったりする場合には、考慮してみてもよいかもしれません。
転職エージェントを利用する
転職活動が厳しくなる40代には、薬剤師専門の転職エージェントが強い味方になります。転職エージェントは、求人の紹介だけでなく、履歴書の書き方や面接対策など、転職活動全般をサポートしてくれます。転職エージェントは非公開求人も持っているので、一般公開されていない求人を紹介してもらえることもあります。
また、現在は年齢を理由にした採用は原則として禁止されていますが、実際は採用する側も自分の希望に沿った人物を採用しようと考えています。
もし若い人材しか採用を予定していない求人に40代薬剤師が応募したとしても、採用されることはなく、時間と労力の無駄になっていまいます。
転職エージェントは採用元の意向も把握しているので、そのようなミスマッチを防ぐことができます。
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まとめ

いろいろなことが見えてくる40代薬剤師の転職は、年齢や経験を活かして新たなキャリアを築くチャンスです。
しかし、若いころに比べて採用が厳しくなるのも事実です。自分の希望する条件によっては、年収が下がることもあるかもしれません。
そのような事態を防ぐためには、自分の状況や採用元の考えなどのさまざまな要素を考慮する必要があります。
転職を成功させるためには、事前の準備をしっかりと行い、場合によっては転職エージェントの助けを借りるなどして、自分に合った転職先を見つけることが重要です。
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