【50代、60代も必見】40代から考えたい、薬剤師はいつまで働ける?


薬剤師は長く働けるイメージがあります。確かに、個人薬局ではいつまでも働けそうですが、どこかに勤務する薬剤師は実際のところ何歳まで働けるのでしょうか。
また、60代以降も安心して働き続けるために、40代や50代から考えておくべきことはあるのでしょうか。
ここでは、薬剤師がいつまで働けるのか、そのために40代から準備しておくとよいことについて解説します。
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薬剤師はいつまで働けるのか?

薬剤師の職場には、定年が決まっている職場だけでなく、とくに定年が決まっていない職場もあります。
では、薬剤師はいつまで働くことができるのでしょうか。
薬剤師の定年は60〜65歳
高齢化社会の進展に従って、政府によって定年は引き上げられる流れにあります。薬剤師も同じように、定年がどんどん延長されています。
「高年齢者雇用安定法」は60歳未満の定年を禁止しており、60歳を超えた従業員が就労を希望する場合、65歳まで働けるよう雇用機会を提供する義務があると規定されています。
また、定年が65歳未満の場合には、以下のいずれかの高年齢者雇用確保措置を講じなければならないとされています。
- 定年を65歳まで引き上げる
- 65歳までの継続雇用制度(再雇用制度や勤務延長制度)の導入
- 定年の廃止
この法律に従って、勤務先によって違いはありますが、薬剤師の定年年齢は60歳から65歳となっています。
また、政府はさらなる定年の引き上げの意向を持っており、直近では「70歳までの就業機会の確保」が努力義務とされました。
薬剤師の定年も延長傾向にあることは確かだと言えるでしょう。
薬剤師には実質的に定年はない?
このように、社会は定年延長の流れにあります。しかし、その流れとは別に、薬剤師には実質的に定年がない職業です。
なぜなら、医療職の国家資格である薬剤師は、たとえ定年を迎えたとしても、別の職場で働くことが比較的容易だからです。
また、自分の薬局を開業していれば、年齢は関係なく働き続けることができます。
このように、薬剤師は高齢になっても働ける仕事だと言えます。
薬剤師が働き続けると年収はどうなる?

では、薬剤師が定年後も働き続けた場合、年収はどうなるのでしょうか。
まず、40代からの薬剤師の年収について確認してみましょう。
40代・50代・60代の年収は?
厚生労働省のデータによると、40代、50代、60代の薬剤師の平均年収は以下のようになっています。
男女計 | 男 | 女 | |
40~49歳 | 636万円 | 723万円 | 593万円 |
50~59歳 | 692万円 | 797万円 | 611万円 |
60~69歳 | 550万円 | 543万円 | 577万円 |
※平均年収は、厚生労働省「賃金構造基本統計調査/ 令和4年賃金構造基本統計調査」の、「きまって支給する現金給与額」12か月分に、「年間賞与その他特別給与額」を足した金額を平均年収として算出
薬剤師の年収は、年齢、経験、勤務先、職位などによって大きく異なりますが、一般的に40代から50代にかけてキャリアが築かれ、年収もピークを迎えます。
上のデータを見ても、平均年収は40代の636万円から50代で692万円へと増加しますが、60代になると550万円へと減少しています。
ただ、定年を迎えた人が増える60代でも平均年収が550万円というのは十分高年収と言えるのではないでしょうか。
やはり薬剤師免許は心強い存在だと言えるでしょう。
70代以上の年収は?
男女計 | 男 | 女 | |
70歳〜 | 558万円 | 544万円 | 585万円 |
同じ厚生労働省のデータでは、70代以降の平均年収は上のようになっています。
70代以降でも平均年収が550万円を超えているのは驚きですが、70歳以降も雇用を続けている企業は多くないため、これは主に個人薬局の年収を反映したものだと考えられます。
【年齢別】働き続けるための注意ポイント

このように長く働ける薬剤師ですが、年齢が上がると転職が難しくなるのも事実です。定年後にいきなり転職しようと思っても、自分の希望をかなえるのは難しいでしょう。
60代以降も満足できる働き方をするためには、40代や50代のころから将来を見据えて準備しておく必要があります。
40代:管理職経験をする
40代の薬剤師は、キャリアのピークを迎える時期であり、年収も高くなる傾向にあります。この年代では、現場での実務能力だけでなく、マネジメント能力も求められるようになります。
40代以降にキャリアアップ、給与アップを希望する人は、積極的に管理職にチャレンジしましょう。管理職になれば、部下を指導し、薬局全体の運営に携わることになり、責任とやりがいが大きく増します。役職手当がつくため、給与も大幅にアップするでしょう。
50代以降に条件の下がらない転職をするためには、早めに管理職を経験しておくことが必要となります。
また、現在の職場では60歳以降に年収が下がったりして希望通りの働き方ができそうにない場合は、早めに転職しておくことも一つの選択肢です。
50代や定年後に転職しようとすると難易度が一気に上がるので、よいと思う転職先がある場合は、40代のうちに転職活動をしたほうが成功率は高いと言えます。早く動き始めればチャレンジの回数を増やせるのもメリットです。
50代:定年後を見据えて働き方を考える
50代になると、キャリアも年収も最高となる一方で、定年が近づき、今後のキャリアについて真剣に考える時期になります。
現在の職場で定年後はどのような制度になっているのかは早めに確認しておきましょう。
もしこのまま働き続けていては不利になる場合は、新しい職場への転職も考えられます。ただ、定年間近で正社員への転職は難しいのも事実です。年収も下がることが一般的なので、進路の選択は慎重に行いましょう。
60代:優先順位を意識する
60代になるといったん定年を迎える人も多いでしょう。定年後の再雇用では、同じ職場で続ける場合も働き方を選べることがあります。これまでと同じフルタイムで働く選択肢もありますが、仕事の比重を減らして、私生活のほうを充実させたいと思う人もいるでしょう。
現役時代と変わらず仕事をやりたいと思えば、60代はまだまだ働ける年齢です。職場でもこれまでのキャリアが必要とされ、後輩へのアドバイスが求められることも多いでしょう。
一方で、体力的な衰えを感じたり、やりたいことが変わったりする年代でもあります。
60代以降は、無理のない範囲で働き続けることが重要です。たとえば、週に数日だけ働く、特定の業務を担当するなど、自分のペースで働くという選択もいいでしょう。
自分の人生を見通して、これからやりたいこと、大切にしたいことは何かを、仕事も私生活も含めてリストアップしましょう。60代は、優先順位を意識することが、仕事だけでなく人生の満足度を高める秘訣です。
長く働き続けるために準備しておくこと

定年後も長く働くためには40代や50代からの準備が大切です。
ここでは、40代から意識しておきたいことについて解説します。
1. 再雇用制度を確認する
40代、50代の人がこれからのキャリアを考える際には、まず勤務先の再雇用制度について知っておくことが非常に重要です。
自分の職場では、定年は何歳なのか、定年後の再雇用制度はどのようになっているのか、給与はどのくらいになるかなどを確認しておきましょう。
今後も法律の変更に伴って、職場での制度は変わることが予想されます。その変化についても押さえていくことが大切です。
定年間際になって慌てることのないよう、現在の仕事を続けた場合の未来についてはきちんと把握しておきましょう。
2. 働きやすい職場に転職しておく
もし、現在の職場では定年後は不安だという場合は、定年前に働きやすい職場に転職しておくことも、長く働き続けるための有効な手段のひとつです。現在の職場に不満がある場合や、より良い条件で働きたいと考えている場合は、早いうちに転職活動を行うことをおすすめします。
40代以降は、年齢を重ねれば重ねるほど転職は難しくなります。もし転職したいと考えたときは、早めに行動を起こしましょう。
3. 調剤経験を積んでおく
調剤は、薬剤師として基本的なスキルです。また、さまざまな診療科の経験がある、在宅医療に携わっていたというように調剤経験が豊富な人は、転職市場でもニーズが高いと言えます。年齢を重ねたとしても、転職しやすいと言えるでしょう。
逆に、どんなに大企業で働いていたとしても、調剤経験がないと、50代、60代で調剤薬局へ転職するのは難しいでしょう。
もし年齢に関係なく長く働きたいなら、できれば40代のうちに調剤のスキルをきちんと身につけておくことをおすすめします。
4. 新しい機器などには積極的にチャレンジする
現在は、社会全体のIT化やデジタル化の流れのなかで、医療現場でも新しい機器やシステムの導入が進んでいます。全自動分包機のような調剤機器や電子薬歴システムを利用している職場も増えているでしょう。
このような新しい機器を難しく感じて、自分はなんとか使わずに逃げ切りたいと感じている人もいるのではないでしょうか。
しかし、これからも長く仕事を続けたいと思うなら、これらの新しい機器やシステムに積極的にチャレンジしていきましょう。これからの時代は、このような機器をうまく使いながら効率的に業務を進めることが必要となります。
また、新しいことに前向きな姿勢を見せれば、一緒に働くスタッフにもよい印象を持ってもらうことができるでしょう。
5. 定年後の再就職は条件にこだわらない
定年後に新しい職場に再就職するときは、条件にこだわりすぎないことがスムーズに進めるポイントです。
自分のなかで大切なことを明確にして、それ以外のことは必要に応じて譲歩する余裕を持ちましょう。
定年後の再就職では、現役時代と同じ水準の給与は難しくなります。逆に、給与にこだわらなければ転職先の選択肢は広がります。
自分はどのようにセカンドライフを送りたいのか、そのなかで仕事はどのように位置づけるのかを考え、柔軟に再就職先を探していくとよいでしょう。
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まとめ

薬剤師は、その専門性を活かして、長く働き続けることができます。そして、薬剤師が長く働き続けるためには、定年前にしっかりと準備しておくことが重要です。
再雇用制度の確認や、働きやすい職場への転職、調剤経験をしておく、新しい機器へのチャレンジなど、必要に応じて行っていきましょう。
また、現在の職場で働き続ける場合は、スタッフとよい人間関係を作っておくことも大切です。
人生100年時代とも言われています。充実したセカンドライフのためにも、無理のない働き方について考えていきましょう。
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