成功させよう!60歳定年後の薬剤師の再就職、職場別の定年年齢も解説


薬剤師の定年は、一般的に60歳とされていましたが、近年では定年延長制度を導入する企業が増え、長く働き続けることが可能になってきました。
定年後の働き方は、企業規模や勤務先によって違いがあります。また、薬剤師側にも、再就職を考える際にはさまざまな選択肢があります。
本記事では、薬剤師の定年後の再就職について、具体的な方法や注意点、おすすめの職場などを詳しく解説します。
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薬剤師の定年の現状

まず、薬剤師の定年は現在どのような状況にあるかを確認しておきましょう。
薬剤師の定年は60〜65歳
厚生労働省の調査から、薬剤師が働いている医療・福祉分野の職場の定年の状況について見ていきましょう。
医療・福祉分野では、定年を定めている職場の割合は96.5%で、そのうち60歳を定年としているのは66.1%、次いで65歳が25.6%となっています。
基本は60歳が定年ですが、65歳まで無条件で働ける職場も4分の1あるということです。
少子高齢化が進むなか、今後も定年が延長される流れは続くと言えるでしょう。
参照:令和4年就労条件総合調査 /厚生労働省
定年延長する企業は増えている
近年、多くの企業が定年を延長し、従業員が長く働ける環境を整えています。
これは年金の支給が65歳に引き上げられたことに対応するためで、企業にとっては65歳までの雇用が義務となっているからです。
「高年齢者雇用安定法」は60歳未満の定年を禁止しており、60歳を超えた従業員が就労を希望する場合、65歳まで働けるよう雇用機会を提供する義務があると規定されています。
また、定年が65歳未満の場合には、定年の引き上げや65歳までの継続雇用制度などの高年齢者雇用確保措置を講じなければならないとされています。
薬剤師自身も、「60歳で退職してあとは悠々自適にすごそう」と考えている人は少数派なのではないでしょうか。
年金が原則として65歳まで支給されないこともあり、65歳まではとりあえず働きたいと思う人が増えています。
また、定年は第二の人生のスタート、定年を機に新しい職場で働きたいと考えている人もいるでしょう。
薬剤師の定年は職場によって違う

薬剤師の定年は、勤務先によって大きく異なります。これは、企業規模や雇用の状態に違いがあるためです。
大きな企業・病院
大手のドラッグストアや調剤薬局チェーンは、一般企業の面が強いので、定年についても就業規則で明確に規定されています。社会的な要請に従って定年延長制度や再雇用制度が導入されています。
また、大規模な医療機関も働いているスタッフの数が多いため、定年についても就業規則で規定されています。
ただ、人手不足に悩む地方の病院では、定年後も長く働けたり、定年を廃止したりといった流れも出てきています。
個人薬局
一方、個人薬局では経営の状況が多様で、定年制度も柔軟です。オーナー自身は定年関係なく働くので、従業員についてもとくに規定がないこともあります。
法律により60歳より早く定年になることはありませんが、いつまで働くかについてはオーナーと相談しながら決めるケースも多いでしょう。
大手企業では定年を延長しても65歳ということが多いので、それよりも長く働き続けたい場合は個人薬局を選ぶほうがいいとも言えます。
定年後の薬剤師が再就職する方法

定年退職後の薬剤師が再就職するには、大きく分けて以下の2つの方法があります。
それぞれについて詳しく見てみましょう。
現在の職場で再雇用される
まず基本となるのは、現在働いている職場で引き続いて再雇用されることです。
再雇用制度の内容は、企業や医療機関によって異なります。
現在働いている条件と同じ条件で雇用が延長されることもありますが、正社員としてはいったん退職となり、嘱託社員として再雇用されるケースも多いでしょう。
その場合は、それまで管理職だった人はその任を解かれ、一般薬剤師として働くことになります。仕事内容はそれほど変わらなくても、給与が下がったり、仕事内容が限定されたりすることもあります。
同じ職場で働き続けることは、スタッフも気心が知れていますし、仕事内容もよく知っているので働きやすいといえます。
しかし、同じ職場であるからこそ、同じ仕事をしているのに給与が下がったり、それまで管理職としてバリバリ働いていたのにその権限がなくなったりすることをストレスに感じることも。
その場合は違う職場に転職したほうが気持ちよく働けるかもしれません。
定年後にどのような選択をするにせよ、現在の職場での待遇が判断基準となります。
スムーズに対応するためにも、職場の定年に関する制度については早めに把握しておきましょう。
違う職場に転職する
長く働いていたとしても、いまの職場に満足している人ばかりではないでしょう。
いままでいろいろがまんしてきたけれど、定年を機にいまの職場を辞めたい、そう思っている人も多いのではないでしょうか。
また、仕事に大きな不満があるわけではないけれど、せっかくの機会なので違う職場で働いてみたいと考えることもあるでしょう。
資格職である薬剤師は、転職しやすい職種です。
定年後に新しい職場に再就職することもひとつの選択肢です。
転職することによって、新たな知識やスキルを得たり、新しい人と知り合って世界を広げたりすることができます。
定年後の薬剤師におすすめの職場と注意点

資格があればどこでも働けそうな薬剤師ですが、実際は定年後の進路はある程度限られてきます。定年後の薬剤師におすすめの職場と、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。
現在の職場
いままでの環境を変えずに働ける現在の職場は、やはり定年後の薬剤師にとって第一の候補となります。
メリット
仕事内容や職場環境に慣れているため、スムーズに仕事をすることができる。人間関係がすでに築かれているため、安心して働くことができる。
デメリット
給与や待遇が下がる場合、これまでと比べてしまうとストレスに感じることがある。
ドラッグストア
ドラッグストアは店舗数が多いので、定年後でも比較的転職先が見つけやすい職場です。
メリット
調剤業務だけでなく、OTC医薬品の販売や健康相談など、幅広い業務に携わることができる。シフト制なので、自分の都合に合わせた時間で働ける。調剤経験がなくても働ける。
デメリット
長時間営業しているので、夜遅くまで働かなければならない場合がある。品出しなどがあり、体力的に厳しい。
調剤薬局
調剤薬局も店舗数が多いので、転職先が見つけやすいでしょう。調剤スキルがある人にとっては、定年後に転職しても比較的なじみやすい職場だと言えます。
メリット
薬剤師としての調剤スキルを活かせる。長年のキャリアを活かして患者さんとコミュニケーションがとれる。
デメリット
調剤経験がないと転職が難しい。大手チェーンに60代で転職するのは難しい。
薬剤師が定年退職後に再就職するポイント

定年退職後の再就職では、若いときの転職とは気をつけなければならないポイントが違ってきます。どのような点が大切なのかについてみていきましょう。
現役時とは価値観を変える
定年後は「セカンドライフ」とも言われます。
定年後の再就職においては、現役時の価値観を変えることが、ストレスなく成功させるコツです。
現役時は高い給与や昇進を目指して働くことが多いですが、定年後はそのようなレールからは外れることになります。
定年後は、仕事だけでなく自分の生活全体の満足度を考え、体力やライフスタイルに合った働き方を選ぶことが重要です。
給与や待遇が下がることを受け入れる
定年を機にいったん退職して再雇用されると、現役時と比べて給与や待遇が下がることが一般的です。
また、違う職場に転職したとしても、60歳を過ぎると給与は抑えられることが多いでしょう。
一方で、家のローンや子育ては終わっていて、お金も定年前ほどは必要でなくなっています。
まず、年金を受け取るまでの期間に必要なお金はどのくらいかを確認し、そこから最低限欲しい給与の金額を考えましょう。
それが満たせないようならば問題ですが、もし支障がないようであれば、給与がある程度下がることも受け入れたほうが、結果的にストレスが少なくなります。
また、これまで管理職でいた人が一般薬剤師や嘱託社員として指示を受ける側になることはつらいと感じるかも知れません。
ただ、それと引き換えに精神的な重圧や時間的な負担がなくなったのだと割り切って、ポジティブに考えることをおすすめします。
定年後は、一歩引いたところから職場をサポートする立場にいるほうがストレスなくすごすことができます。重要なのは自分の新しいポジションに新しい形で価値を見つけることです。
体力的な負担を考えて職場を選ぶ
現代の60代はまだまだ若いです。ただ、定年後は体力的な負担を考慮して職場を選ぶことが重要です。
特に、立ち仕事や重い物を運ぶ業務が多い場合は、自身の体力を考慮して働き方を決定する必要があります。
定年後に最も大切なのは自分の健康です。無理のない範囲で働くことで、定年後の生活もより充実したものになるでしょう。
未経験へのチャレンジは無理のない範囲で
新しい分野へのチャレンジはこれまでにないやりがいがありますが、無理のない範囲で行うことが重要です。
定年後の再就職では、これまで経験したことのない職種や業務に挑戦することがあるかもしれません。その場合は、自分の体力や能力を考慮しながら進めていきましょう。
無理をせず、自分自身の興味や関心に基づいて新しい挑戦を楽しむことで、充実感と達成感を得ることができるでしょう。
また、仕事中心ではなく、仕事はキープしながら趣味や地域活動などの面で新しいことにチャレンジするのもおすすめです。
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まとめ

これまでずっと働き続けてきた人にとって、定年は大きな節目です。
再就職では、給与や待遇などの条件面はそれまでに比べて厳しくなります。
一方で、仕事の負担は軽くなり、ストレスも少なくなるかもしれません。
定年後の再就職は人生をリフレッシュするチャンスと捉えて、前向きにセカンドライフに踏み出していきましょう。
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