50代~60代の派遣薬剤師求人はほとんど無く、パート求人なら比較的ある


60歳で定年を迎えたあとに、派遣薬剤師として働きたいと考える人もいるのではないでしょうか。
若いころに派遣薬剤師として働いたことがあり、そのときに高時給で働きやすかったイメージを持っている人もいるかもしれません。
しかし、60歳以上で派遣薬剤師として働くことはできるのでしょうか。
ここでは、派遣という働き方について紹介し、60代で働くことができるのかを解説します。併せて、定年後に薬剤師がどのような働き方をすればいいのかについても考えていきます。
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派遣薬剤師とは

派遣薬剤師はパートと同じような仕事として捉えられることもありますが、契約のかたちはかなり異なります。
まず、派遣薬剤師とはどのようなしくみになっているのかを紹介します。
派遣薬剤師のしくみ
正社員やパートは薬剤師本人が勤務先と雇用契約を結んで働きます。
それに対して、派遣薬剤師とは、派遣会社と雇用契約を結び、派遣先の調剤薬局やドラッグストアで働く薬剤師のことです。給与は派遣会社から支払われ、通常ボーナスはありません。
派遣薬剤師の時給は高い
派遣薬剤師の時給は、パートに比べて高いことが多いのが特徴です。
薬キャリエージェント調べでは、パート薬剤師の平均時給が2079円であるのに対して、派遣薬剤師の平均時給は3341円です。
パート薬剤師の時給は一般のパートに比べて高いですが、派遣薬剤師の時給はそのパート薬剤師の1.5倍となっています。
派遣薬剤師が高時給なのには、派遣薬剤師が必要とされる職場の事情が関係しています。
派遣薬剤師は、急に人が辞めてしまって次の人が決まるまでのつなぎや、人手不足で忙しい職場のヘルプとして要請されます。
派遣薬剤師は、派遣されてすぐに職場のことを理解して、即戦力として働くことが期待されています。
そのため、派遣薬剤師には高い時給が設定されているのです。
人手不足が深刻な地方では、より高い時給が提示されることもあります。
派遣薬剤師は長く働くことはできない
派遣社員は、働く期間が定められた有期雇用です。最初に働く期間を決め、長く働く場合は契約が更新されるというかたちになります。
ひとつの派遣先に対する契約期間が終了すると、次はほかの派遣先で働くことになります。
派遣薬剤師が同じ職場で働けるのは最長で3年と定められています。しかし、そこまで長くなるケースはまれです。派遣先にとっても、コストが高い派遣を長く使うことは避けたいのです。
60代で派遣で働くのは難しい

正社員やパートとは違う派遣のしくみがおわかりいただけたでしょうか。
このようなしくみのため、60代の薬剤師が派遣として働くのは難しくなっています。
その理由について詳しくみていきましょう。
60代の派遣求人は非常に少ない
60代の薬剤師に対する派遣の求人は非常に少ないのが現状です。
パート薬剤師であれば、「60歳以上可」という求人も普通に見られます。
しかし、派遣薬剤師で「60歳以上可」と条件を入れると、求人サイトで表示される件数はぐっと少なくなります。また、求人も地方や僻地のものが多く、あまり現実的に応募可能なものではありません。
50代の派遣求人も少ない
実は、60代だけでなく、50代の派遣求人も少ない傾向にあります。
それまで派遣として働いてきた人ならば、派遣として働くことはできるかもしれません。
しかし、同じ条件で50代薬剤師とより若い薬剤師が派遣登録している場合、若い薬剤師が派遣されることが多くなります。
また、先ほど説明したように、60代になると派遣の求人は激減します。
50代で派遣薬剤師を続けていても将来につながるものではないのが現実なのです。
50代〜60代の派遣求人が少ない理由
このように50代〜60代の派遣求人が少なくなるのは、先ほど説明した派遣のしくみが影響しています。
派遣薬剤師は、派遣先に入ってすぐに即戦力として働くことが期待されています。また、派遣先は忙しい職場が多く、仕事はハードなことが多くなっています。
50代〜60代の薬剤師は、経験やスキルは豊富でも、新しい職場に対応することが難しいのではないかと思われています。また、体力的にも無理がきかないと考えられているため、その年齢の派遣薬剤師を受け入れようと考える派遣先は多くありません。
先ほど見たように、派遣の時給はパートと比べて高く、正社員と同じレベルとなっています。そのぶん派遣薬剤師を見る目はシビアなのです。
同じ時給を払うのならば、より若くて順応力の高い薬剤師に来てもらいたいというのが派遣先の職場の本音です。
また、50代〜60代の薬剤師にとっても、派遣薬剤師は魅力的な働き方とは言えません。
確かに時給は高く、短い時間でサクッと稼ぐことはできるのですが、派遣先が一定期間で変わることを受け入れなければなりません。
派遣先によって、仕事の内容も違えば、使っている機器も違います。
派遣期間の間のブランクも長くなってしまうので、心身ともにストレスが多くなってしまうでしょう。
60代薬剤師がパートとして働くのはどう?

60代の薬剤師にとって、派遣が現実的な選択肢でないことがわかりました。
では、60代薬剤師がパートとして働くのはどうなのでしょうか。
パート薬剤師の平均時給
パート薬剤師の平均時給は、先ほど紹介したように2079円です。実際の金額は、仕事の内容のほかに、勤務する地域や経験、スキルによって異なります。
派遣薬剤師の時給と比べると安く感じられますが、薬剤師以外の一般パートに比べると約2倍の高時給です。
もしフルタイムで働いたとすると、月給32万円、年収は384万円となります。
60代薬剤師のパート求人は安定してある
派遣に比べると、パートの薬剤師の求人は一般的で、安定して募集されています。
パートでも若いほうが採用されやすいという面はありますが、勤務時間が限られていたり、あまり忙しくない職場だったりすると、そこまで年齢に対してシビアではありません。
それまでのキャリアやスキルが評価されやすいのがパートです。
また、人手不足の職場や地域では、年齢は関係なく採用される可能性が高いです。
「60歳以上歓迎」という求人ならば、それまでに60代薬剤師を採用した実績があることも多く、安心して働くことができます。
60代薬剤師がパートで働くメリット
60代の薬剤師にとって、パートで働くのは現実的な選択肢です。
そして、60代薬剤師がパートで働くことには、いろいろなメリットがあります。
まず、自分のペースで働きやすいことが第一のメリットです。
パートは必ずしもフルタイムで働かなくていいので、勤務時間や曜日などを調整しやすく、自分のライフスタイルに合わせて働くことができます。
そのため、現役時代と比べて体力的な負担を少なくして働くことができます。自宅の近くで仕事を探しやすいので、通勤の負担も減るかもしれません。
また、パートとして割り切って働くことができれば、職場での人間関係にもプラスに働きます。
もし即戦力として期待される派遣で入ると、現在いるスタッフからの期待も高くなります。実際には自分よりも年下のスタッフからの指示で動くことになるので、お互いにやりにくさを感じるかもしれません。
パートとして時間や職域が限定されたたかたちで職場に入れば、お互いに対する期待値は低くなります。パートとして一歩引いたところポジションでいるほうが、人間関係もスムーズでしょう。
60代薬剤師が仕事を選ぶポイント

ここからは、定年後の薬剤師が新しい仕事に転職する際に大切なポイントについて説明します。
給与が下がることを受け入れる
定年後にパートの仕事に転職すると、現役時代に比べて給与は低くなります。これまでの経験やスキルがあるだけに、仕事内容に対して給与が低すぎると感じることがあるかもしれません。
ただ、60代でストレスなく働くためには、給与に対するこだわりは捨てたほうがいいでしょう。現役時代と比べると低く感じられるかもしれませんが、一般の人と比べると高収入なのが薬剤師です。
あまり高い給与を要求すると、いつまでも仕事が決まらないということにもなりかねません。
生活面で不安がないならば、給与に対しては割り切ってしまうことをおすすめします。
仕事における優先順位を整理する
60代でパート勤務となると、給与は低くなるかもしれませんが、時間的な余裕はでき、仕事面での負担も軽くなります。
これまで仕事に費やしていた時間やエネルギーを仕事以外のものに向ける余裕が生まれます。
また、60代になると、体力や健康面に気を配る必要が出てきます。人生で残された時間も見えてくるころです。
これからの人生で実現したいことを考え、そのなかでの仕事の位置づけを改めて確認してみましょう。
また、仕事で得られるのはお金だけではありません。専門職としてのやりがいや、社会とのつながり、同僚との人間関係など、さまざまなものを得ることができます。
そのような面にも目を向けて、現役時代とは違う働きがいを感じてみてはいかがでしょうか。
人気のない時間帯をねらう
パートでシフトを組むときに人気の時間帯は午前中から午後3時くらいです。これは、子育て中のママ薬剤師が希望する時間だからです。また、子どもが小さい場合、土日も休みたいという希望が多くなります。
そのため、午後から夜にかけての時間や土日も働けることをアピールすれば、子育てが終わった世代であることがメリットとなり、採用されやすくなります。
職場でシフトを組むときにも感謝されるでしょう。
可能ならば地方で働くことも考える
薬剤師は都市部に多く、地方では人手不足に悩んでいます。
もし可能であれば、地方で働くほうが採用されやすくなっています。
また、採用後も年齢関係なく長く働くことができます。
謙虚な気持ちで新しい職場に入る
新しい職場に入る際は、自分が年上であっても、謙虚な気持ちを持つことが大切です。
新しい職場で自分は新人であり、新しい機器に関しては若い人のほうがベテランであるという意識を持って、自分のほうから積極的にコミュニケーションを取るようにしましょう。
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まとめ

60代の薬剤師が派遣として働くことは非常に難しいです。
また、そのような状況があるので、50代の薬剤師が派遣を続けることもおすすめしません。
定年後も長く働こうと思えば、早いうちから準備して、現実的な選択肢のなかから自分に合った仕事を選ぶことが大切です。
薬剤師であればパートの仕事でも必要なだけ稼ぐことはできますし、自分のペースで働きながらやりがいを見つけることも可能です。
充実したセカンドライフのために、自分に合った働き方について考えてみてはいかがでしょうか。
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