薬剤師真希子によるフィジカルアセスメント~アルツハイマー型認知症~
薬剤師は薬の専門家としてベッドサイドで患者さんの適正な薬物療法に貢献することが求められます。患者さんに最適な薬物療法を実践するなかで、薬剤師が患者さんの状態を把握することは、特にリスクの高い薬剤を中心に副作用の防止、あるいは早期に発見し重篤化を防止することが重要と考えられます。そのためには、症状や必要に応じて脈拍や血圧などのバイタルサインの測定や、触診、視診といったフィジカルアセスメントによって患者さんから直接的に情報を得る行為が不可欠となります。
※薬剤師によるフィジカルアセスメントはどこまで許されるのか?については、こちらを参照して下さい。
アルツハイマー型認知症と現病歴
狭心症・高血圧
アルツハイマー型認知症と診断された経緯
80代女性。1年ほど前から前日のことを忘れるようになった。通帳や大切なものをしまい忘れが目立つようになり、ものが見つからない時に夫のせいにする。結婚した娘さんのところに何度も電話してくるが、前にかけてきた内容を覚えていない。
買い物へは行くが、同じものを大量に買い冷蔵庫内で腐らせてしまう。料理もレパートリーが減り3日続けて同じ料理を作った。最近好きで通っていた絵画教室に色々な理由をつけて行かなくなった。
認知症スクリーニング検査(MMSE):23/30
時間の見当識1/5、場所の見当識5/5、記銘3/3、集中・計算5/5
再生0/3、言語8/8、構成1/1
診察場面では、今日は何月何日ですか?の問いに対し、「えーっと何月でしたっけ?」と夫のほうを振り返って尋ねる。今日は新聞もテレビも見てこなかったからと言い訳する。
アルツハイマー型認知症の症例
夫によると、訳もなく叩く、引っ掻く、かみつく、物を投げるといった行動を起こす。また夜間に「しんどい」と訴えるが、本人は認知症のため、次の日になると忘れているという。訪問時の血圧は120/70mmHgと正常であったが、血圧手帳を確認すると、85/55mmHgと夜間低血圧の疑い。
アルツハイマー型認知症の処方薬
ドネペジル塩酸塩口腔内崩壊錠5mg 1錠 分1 朝食後
オルメサルタン メドキソミル口腔内崩壊錠10mg 2錠 分2 朝夕食後
ファモチジン口腔内崩壊錠10mg 2錠 分2朝夕食後
アスピリン腸溶錠100mg 1錠 分1朝食後
アムロジピンベシル酸塩錠5mg 1錠 分1 朝食後
セレコキシブ錠100 mg 2錠 分2 朝夕食後
レバミピド錠100 mg 2錠 分2 朝夕食後
センノシド錠12 mg 2錠 分1眠前
酪酸菌配合剤錠 3錠 分3毎食後