薬剤師真希子と学ぶ フィジカルアセスメント~せん妄の誘発因子~
薬剤師は薬の専門家としてベッドサイドで患者さんの適正な薬物療法に貢献することが求められます。患者さんに最適な薬物療法を実践するなかで、薬剤師が患者さんの状態を把握することは、特にリスクの高い薬剤を中心に副作用の防止、あるいは早期に発見し重篤化を防止することが重要と考えられます。そのためには、症状や必要に応じて脈拍や血圧などのバイタルサインの測定や、触診、視診といったフィジカルアセスメントによって患者さんから直接的に情報を得る行為が不可欠となります。
※薬剤師によるフィジカルアセスメントはどこまで許されるのか?についてはこちらを参照して下さい。
せん妄の誘発因子となる現病歴
アルツハイマー型認知症、不眠(夜間覚醒)の疑い、慢性便秘
せん妄の誘発因子と考えられる症例
94歳女性、元気で朗らかな性格、過去に住み慣れた土地を離れて息子家族と同居開始。その後実際にいない虫が部屋にいるから眠れないと突然怒り出す、誰かがお財布を盗んだと喚くなどまるで人格が変わったような感情の変動が起こりせん妄と診断され入院経験がある。現在はせん妄症状は改善しているという。
薬剤師が訪問時、息子家族によると患者さんは夜間眠れず家の中をうろちょろすることが時々ある(夜間覚醒)という。また不自然な言葉の途切れ、浅い呼吸、頻脈(脈拍100以上/分)、靴下の跡がくっきりとついているむくみを認める。
せん妄を引き起こす薬剤と現病歴の処方薬
シロスタゾール口腔内崩壊錠100mg 2錠 分2朝夕食後
ゾルピデム口腔内崩壊錠5mg 1錠 分眠前
デュロキセチンカプセル40mg 1C 分1夕食後
センノシド錠12 mg 1錠 分1眠前
エチゾラム錠0.5mg 3錠 分3 毎食後
酸化マグネシウム錠330mg 3錠 分3毎食後
チザニジン錠1mg 3錠 分3毎食後
ドネペジル塩酸塩口腔内崩壊錠10mg 1錠 分1 朝食後