在宅薬剤師のためのフィジカルアセスメント

更新日: 2023年3月17日 田中 嘉尚

薬剤師紗希と学ぶフィジカルアセスメント ~高齢者糖尿病➀~

薬剤師紗希と学ぶ低血糖を防ぐためのお薬選択メインの画像1

薬剤師は薬の専門家としてベッドサイドで患者さんの適正な薬物療法に貢献することが求められます。患者さんに最適な薬物療法を実践するなかで、薬剤師が患者さんの状態を把握することは、特にリスクの高い薬剤を中心に副作用の防止、あるいは早期に発見し重篤化を防止することが重要と考えられます。そのためには、症状や必要に応じて脈拍や血圧などのバイタルサインの測定や、触診、視診といったフィジカルアセスメントによって患者さんから直接的に情報を得る行為が不可欠となります。

※薬剤師によるフィジカルアセスメントはどこまで許されるのか?については、こちらを参照して下さい。

高齢者Ⅱ型糖尿病と現病歴

軽度認知障害、手段的ADL※1低下(基本的ADL※2は自立)、高血圧

※1 手段的ADL(日常生活能力);買い物、食事の準備、服薬管理、金銭管理など
※2 基本的ADL;着衣、移動、入浴、トイレの使用など

高齢者Ⅱ型糖尿病の症例

78歳の男性、約20年前に健康診断にて糖尿病を指摘され近医受診、通院を開始、その後内服薬が開始。3年後にHbA1cが9.6%と悪化し、大学病院へ紹介受診し、精査加療のため入院。入院中にインスリン併用を開始、退院後も継続。

インスリン投与は70歳頃まで継続していたが、徐々に軽度認知症障害とADL低下が現れ、妻との高齢者世帯であり、コンプライアンスを考慮し現在内服のみで継続中。自己血糖測定は行っていない。内服薬の管理は妻が行っている。以前低血糖症状の経験はあるが、ここ数年はない。腎機能低下の指摘を受け、他院で腎臓外来も受診している。

妻によると、急に空腹感を催す食事摂取量のバラツキが認められ、いまひとつ活気がない、時々ふらついていることがあるという。

現在の検査所見
身長165cm、体重60kg、BMI22.04、腹囲78cm、血圧130/55mmHg、脈拍 65回/分 、空腹時血糖値 92mg/dL、HbA1c6.4%、空腹時血中CPR 3.2ng/ml(インスリン自己分泌あり※3eGFR 50mL/分/1.73m2、SCr 1.2mg/dL

※3血中CPRを測定して糖尿病のタイプを推測(糖尿病ガイドラインより引用)


在宅薬剤師のためのフィジカルアセスメントの画像1

高齢者Ⅱ型糖尿病と現病歴の処方薬

グリメピリド錠1mg 1錠 分1 朝食後
メトホルミン塩酸塩錠250mg 3錠 分3 毎食後
シタグリプチンリン酸塩水和物錠100mg 1錠 分1 朝食後
オルメサルタン メドキソミル口腔内崩壊錠 10mg 1錠 分1 朝食後
ピタバスタチンカルシウム水和物錠2mg 1錠 分1 朝食後

薬剤師紗希による高齢者糖尿病の症例Point

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田中 嘉尚
たなか かなお

1999年3月徳島文理大学薬学部卒業後、臨床治験モニター、医療ライター、病院薬剤師、保険薬局薬剤師を経験。現在病院薬剤師をしながら、フリーライターをしています。
ITに興味があり、前職の病院で恩師との出会いにより「副作用発現リスク精査表」を開発し、特許を取得。現在も共同研究中です。
フリーライターになろうと思ったきかっけは、恩師が現役著者で論文や学会誌などの文書の書き方をご指導頂いたことが影響しています。

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