2025年にパンデミックが懸念される「心不全」。今、薬剤師が学ぶべきことは?
心不全による入院患者の約8%は入院中に亡くなります。また心不全患者の5年生存率は約50%との報告も。心不全の原因疾患は多岐にわたりますが、日本での心不全入院患者の原因疾患として、虚血性心疾患、高血圧、弁膜症の順に多いことが示されています。
今回は薬剤師横山紗希先生が、慢性心不全患者への服薬指導に大切なポイントについて、症例を使用し解説します。
慢性心不全と現病歴
子宮頸がん、心房細動、高血圧
慢性心不全の症例
78歳、女性。在宅での服薬指導中に「目がチカチカする」との訴えあり。検脈すると遅い傾向があり、脈拍数の推移を確認すると徐々に徐脈傾向が認められた。
現在の検査所見
血圧126/76mmHg、脈拍 58回/分 、体重37.8kg、eGFR(推算糸球体濾過量)35mL/min、血清Cr;0.85mL/min、左室駆出率(LVEF)32%、K 2.5 mEq/L、PT-INR 2.0
訪問時所見
心不全症状チェックを以下の項目で行った。
- □ 息切れ、だるさの自覚→なし
- □ 体を横にすると呼吸困難感が生じ、座ると軽減する(起坐呼吸) →なし
- □ 自覚症状を伴う低血圧 【血圧の値と自覚症状:126 /76mmHg】→なし
- □ 脈拍が120回/分以上 【 58 回/分】 →なし
- □ 尿量の減少→なし
- □ 浮腫みの悪化→なし
- □ 体重の急激な増加がある(3日間で2kg以上など) 【具体的にどのくらいの増加か(例:1か月で5kgなど): 】 →なし
- □ 食欲低下→なし
慢性心不全と現病歴の処方薬
メチルジゴキシン錠0.1mg 1錠分1朝食後
エナラプリルマレイン酸塩錠5mg 1錠分1朝食後
スピロノラクトン錠25mg 1錠分1朝食後
アゾセミド錠60mg 1錠分1朝食後
ワルファリンカリウム 錠1mg 1錠分1夕食後
カルベジロール錠1.25mg 1錠分1朝食後
エンパグリフロジン錠10mg 1錠分1朝食後