ホメオパシーの是非をめぐる論争-疑似科学におけるプラセボ効果

プラセボ効果は、暗示による健康状態の変化と考えている方も多いかもしれない。つまり、プラセボを服用する人が本物の薬だと信じこむことによって生じる効果というわけだ。しかし一方で、「事前にプラセボであることを明かしてプラセボを投与」しても何らかの効果が期待できることが知られている。第4回はホメオパシーと呼ばれる医学体系を例に、科学と疑似科学の論争を医療の文脈で考察しながら、疑似科学におけるプラセボ効果の取り扱いについて論じてみたい。
前回はオープンラベルプラセボと、その臨床的な効果について考察を加え、プラセボ効果の解釈や意味付けの仕方によっては、医療行為を非科学的なものに変貌させてしまう可能性を指摘した。とはいえ、「科学的である」とはどういうことだろうか。科学性を謳ってはいるものの、科学的方法と相容れない主張や信念を疑似科学と呼ぶが、科学と疑似科学の線引きは長きにわたり論争の的なっており、現在においても明確な回答は与えられていない1)。今回はホメオパシーと呼ばれる医学体系を例に、科学と疑似科学の論争を医療の文脈で考察しながら、疑似科学におけるプラセボ効果の取り扱いについて論じてみたい。