第6回 かかりつけ薬剤師の「地域活動」を考える(最終回)
2016年度調剤報酬改定が実施されてから、早くも半年が経過しようとしています。中でも変更の目玉であったのが「かかりつけ薬剤師」の評価。薬という「対物」の業務よりも、患者への「対人業務」を評価する、というのが基本的な考え方でした。
連載最終回となる今回は、改めて「かかりつけ薬剤師とは何なのか」「かかりつけ薬剤師として実施すべきことは何なのか」を考えていきたいと思います。
かかりつけるのは「薬局」でなく「薬剤師」
以前から、かかりつけ「薬局」という言葉はしばしば耳にしてきました。正確な定義は別として、イメージとしては、複数の医療機関からの処方せんを一カ所にまとめることで、重複投与や併用禁忌の薬剤使用を未然に防ぐ役割を果たす薬局、というものです。もちろん、これは重要で意味のあることですし、かかりつけ薬局を決めておくことで薬剤性の有害事象から救われた患者さんはたくさんいらっしゃるはずです。
その一方で、1~2年前から急速に「かかりつけ薬剤師」という言葉を耳にする機会が増えました。マスメディアで取り上げられたり、研修会で言及されたりもするようになってきました。この言葉を最初に聞いた時、私はひとつの不安を覚えました。“かかりつけ医を持ちましょう”と提唱してきた医師にとって、この言葉はちょっとひっかかるというか、反対したくなるのではないか、と思ったのです。言ってみれば、「そんなことできるのかな」「大丈夫かな」ということです。
過日、その疑問をある医師にお尋ねしたところ、意外な言葉が返ってきました。「かかりつけるのは、薬局ではなく薬剤師でしょ?だって医者も、かかりつけ医院、かかりつけ病院とは言わずにかかりつけ医と言うよね。そう言っていいた…