3分で関節リウマチを解説!生物学的製剤(bDMARD)のフォローアップはどうする?

- 「生物学的製剤」って何? 薬剤師はその構造をどう考える?
- 「生物学的製剤」って注射? 注射の説明って何を話したらいいの?
- 「生物学的製剤」ってどんなことを気にしてフォローアップしていけばいいの?
メトトレキサート(MTX)で効果不十分の際に、関節リウマチ治療で使用される「生物学的製剤(bDMARD)」。ただし、自己注射の指導や多岐に渡る副作用への対応など、継続には多くの壁があります。本記事では、薬剤師として患者さんと共にそれらを乗り越えるにはどうすべきかを考えます。特に、副作用の初期症状と初期対応、フォローアップ方法について解説します。
「生物学的製剤(bDMARD)」って何?
「生物学的製剤(bDMARD)」は、メトトレキサート(MTX)単剤で効果不十分な関節リウマチ(RA)治療において中心的な役割を果たす薬です。
生物学的製剤(bDMARD)は高分子化合物であり、標的は「生理活性物質(サイトカインや細胞表面抗原)」であり、受容体そのものではない点も特徴です。
つまり、メトトレキサート(MTX)など一般的な低分子医薬品(内服薬)が作用する「酵素」「受容体」の内部活性物質とは異なることをはじめに理解しておくことは大変重要です。
患者のフォローアップに役立つ「生物学的製剤(bDMARD)」の薬物動態
「生物学的製剤(bDMARD)」は内服すると消化されてしまうため、点滴または皮下注射で投与されます。
自己注射後の患者さんのフォローアップには、以下の「生物学的製剤(bDMARD)」の薬物動態を知っておくと役立ちます。
① 薬の作用時間について
皮下投与された生物学的製剤は皮下組織から吸収され、リンパの流れに入った後に全身循環に到達します。最高血中濃度は1~8日後となります。皮下投与は静脈内投与に比べ、長期間一定の濃度を維持しやすいという利点があります。また、半減期は一般的に1~3週間(インフリキシマブで9.5日)です。月一回の投与も納得ですね。
② 肝機能の影響について
生物学的製剤(bDMARD)は、体内でタンパク分解酵素によってアミノ酸に分解されます。薬物代謝酵素(CYP)による影響はあまり考えずに済むため、脂肪肝などの基礎疾患を有する患者さんでも、厳密な用量調節は不要と考えられます。
③ 腎機能の影響について
生物学的製剤(bDMARD)は分解後のアミノ酸が再利用されるため、腎排泄はほぼありません。メトトレキサート(MTX)では腎機能に注意しながら投与を考える必要がありますが、生物学的製剤(bDMARD)ではこうした影響も少ないと考えられます。
「生物学的製剤(bDMARD)」の患者指導
「生物学的製剤(bDMARD)」は保険薬局で扱う注射剤の一つです。保険薬局で薬剤師が注射剤に対して説明・対応すべき内容を整理してお伝えします。
1)製剤の保管方法
前述のとおり、高分子タンパク質なので要冷蔵(2~8℃)での保管が必須です。