関節リウマチ治療の選択肢を広げるBS(バイオシミラー)の実践ガイド

- バイオシミラー(BS)の定義と先発品との違い
- 日本と海外におけるBS(特に抗リウマチ薬領域での)の普及状況
- 薬剤師が果たすべき役割と患者対応の実践ポイント
今回は、前回お伝えしきれなかった「バイオシミラー」について取り上げます。一見すると薬物療法の中心からは少し外れたテーマかもしれませんが、リウマチ患者さんの治療に薬剤師として寄り添っていくうえで、知っておきたい重要な内容です。
関節リウマチ(RA)の治療では、生物学的製剤が高い効果を示す一方で、長期使用による医療費の負担が大きな課題となっています。
そこで注目されているのが、先発品と同等/同質の有効性と安全性が科学的に確認された「バイオシミラー(BS)」です。
近年、バイオシミラー(BS)の普及を支援する目的で新たな診療報酬が新設され、制度面からの後押しも強まっています。
ただし、導入を円滑に進められるかどうかは、医師や薬剤師を含む医療スタッフの理解と説明力、そして患者への丁寧な対応にかかっていると言っても過言ではありません。
本コラムでは、バイオシミラーの基本から実際の関わり方まで、少しでも伝わるようにお話しできればと思います。
BS(バイオシミラー)とは?
バイオシミラー(BS)は、先発バイオ医薬品と品質・有効性・安全性が科学的に同等/同質であると評価されたバイオ後続品です。
バイオ医薬品は、生体由来の高分子タンパク質などで構成されており、一般的な化学合成医薬品のように完全なコピーはできません。このためBSは「類似性」に基づく厳格な審査を経て承認されます。

(図1)
「バイオ医薬品の特徴」(日本バイオシミラー協議会『バイオ医薬品とは』より抜粋)
承認に必要な要件としては(1)物理化学的構造の比較、(2)薬物動態・薬力学(PK/PD)の同等性試験、(3)臨床試験における有効性・安全性・免疫原性の比較が挙げられます。
関節リウマチ(RA)領域では、「アダリムマブBS」、「エタネルセプトBS」、「インフリキシマブBS」が既に日本でも使用されており、治療選択肢の一つとして定着しつつあります。

(図2)
「バイオシミラーと先行バイオ医薬品の承認データ・臨床試験の位置づけの違い」
(日本バイオシミラー協議会『バイオ医薬品とは』より抜粋)