関節リウマチ「抗リウマチ薬(csDMARDs)」の使い分けと注意点
- 「抗リウマチ薬(csDMARD)」の種類と特徴、使い分けの要点について考えよう
- 「抗リウマチ薬(csDMARD)」の副作用の初期症状と適切な対応方法について考えよう
- 妊娠・授乳期の「抗リウマチ薬(csDMARD)」と関節リウマチの最新研究について考えよう
関節リウマチ(RA)の予後は「早期からの寛解・低疾患活動性の維持」によって大きく変わります1)。治療の中心は「抗リウマチ薬(csDMARD)」で、標準治療はメトトレキサート(MTX)です。しかし、不耐・禁忌や併用目的では、メトトレキサート(MTX)以外の「抗リウマチ薬(csDMARD)」が選択されます(図1)。
代替薬は多くの選択肢がありますが、薬効は似ていても、代謝臓器・半減期・相互作用・妊娠や授乳への配慮は薬剤ごとに異なります2)3)4)5)6)7)。本コラムでは、抗リウマチ薬(csDMARD)ごとの注意点について、改めて整理します。
「抗リウマチ薬(csDMARD)」とは?
図1:「抗リウマチ薬(csDMARD)」を用いた治療アルゴリズム
(関節リウマチ診療ガイドライン2024改訂を参考に筆者が作成)
「抗リウマチ薬(csDMARD)」は1980年代頃から使用されている「従来型免疫調整薬」の総称で、炎症性サイトカイン産生やT/B細胞活性化、核酸合成の抑制などを介して作用します2)3)4)5)6)7)。
メトトレキサート(MTX)が第1選択ですが、肝障害・腎障害・高齢・妊娠計画・肺合併症などでは代替や併用が必要になります1)。
代替薬にはレフルノミド(LEF)、サラゾスルファピリジン(SASP)の2剤に加え8)、イグラチモド(IGU)、タクロリムス(TAC)、ブシラミン(BUC)、ミゾリビン(MZR)があり、日本で使用可能です(図2)2)3)4)5)6)7)。
使い分けは臓器機能、併用薬(ワルファリンなど)、妊娠・授乳、合併症、患者の生活習慣(サプリメントやグレープフルーツジュースなど)を基準に行います10)。モニタリングは血算・肝腎機能・尿蛋白を導入初期は2~4週ごと、維持期は4~12週ごとに行います2)3)4)5)6)7)。
csDMARDはJAK阻害薬や生物学的製剤と比べて古い薬と思われがちです。しかし、2022年に国内でMTX皮下注(メトジェクト®)が販売開始されました9)。MTX皮下注は消化器症状の軽減が期待されており、継続率向上に有効な選択肢の一つです11)。