離島薬局の独立資金はどれくらい必要?資金の集め方もリアルに記載!
こんにちは!薬剤師キクオです。
私は島根県にある離島。隠岐の島で薬局経営をしているアラサーの薬剤師です。昔ながらの地域の健康薬局として経営されていた薬局を引き継いで現在に至ります。「地方創生」をキーワードに薬局経営以外の取り組みもしています。今回は離島薬局の独立資金は一体どれくらい必要で、どのように資金の集めたのかを語ります。まだまだ経営者としては若輩者ですが、どうぞ温かい目で見てくれたらと思います。それでは、いってみましょう!
薬局をM&Aするには営業権の価値が重要
私はM&Aで薬局を継承しました。そのときのM&Aの担当者は「近年団塊の世代が事業を切り離すことが多い」と言っていました。たしかに、後期高齢者の薬局オーナーはみなさんの周りにもいるのではないでしょうか?私が引き継いだ薬局の元オーナーは御年80歳越え。ずっとこの地域医療を守ってきた薬剤師でした。
そんなストーリーは置いておいて、みなさんが気になるのは「一体いくらあれば薬局を持ち独立できるのだろう?」「引継ぎだの、継承など言ってもお金はどれぐらいかかるの?」ということでしょう。
その答えには薬局の営業権(企業が有する無形の資産)が関わります。
私が継承をした薬局を例にして、見ていきましょう。
実はこの薬局。継承する前オーナーの都合で9カ月間休業していました。休業する前は最大技術料が240万円/月のポテンシャルを持つ薬局でした。
ここで技術料240万円をわかりやすく伝えます。技術料は薬局の儲けのイメージでOK。ざっくりですがその240万円から人件費や家賃、プリンターのインクや分包紙など必要経費を引いて残った分が営業利益という見解で良いでしょう。薬局の価値となる部分です。
この技術料が大きければ薬局としての価値はある程度あるんだなぁと覚えておいてください。
個人の薬剤師向けにはこの技術料が100万円/月以下のM&A案件が流れるケースが多いです。
9カ月間閉めていた薬局の価値は正直ありません。売上が立っていない状態なのでそうですよね。技術料がゼロ円の薬局とは、ゲームの『ポケモン』で例えると出発の街・マサラタウンの主人公状態の薬局なのです。
薬局で独立するためにはいくら貯金が必要なのだろう?
実際にかかったお金を一覧にしてみました。チェックしてみてください。
細かな数字は取引規約上との関係からぼかしていますが、おおよその数字はあっています。
薬局としての価値 (営業権) |
薬の在庫 | OTC | 紹介料 | |
元の販売価格 | 0円 | 350万円 | 150万円 | 500万円 |
実際に購入した値段 | なし | 0万円 | 0万円 | 500万円 |
割引交渉 | なし | あり | あり | なし |
私が結果として薬局を継承した金額は合計500万円ほどでした。
スモールスタートで薬局経営をしたいと考えている方の前例になればうれしいです。
参考までに売上が立っている場合には合計で1000万以上することが多いです。例外はありますが、2000万円~3000万円の価格帯で経営をスタートするのが普通です。
私の場合、在庫としてあった医療用医薬品代+OTC代を計算。
その価格が約500万円でした。そしてそれをほぼ無料にできたことが、かなり大きかったです。また調剤棚、分包機2台、プリンターなどの機材に関してもそのまま現状維持で引継ぎになりました。分包機は商品によりますが新品で300万円ほどしますので、これもお得感がありましたね。
正直かなりのスモールスタートです。M&Aの会社からの紹介料はありますが、そのまま薬代と考えると「まぁいいか」と妥協できる金額でした。
離島薬局の運転資金は融資が決め手!!
ゲームの『ポケモン』でもマサラタウンをスタートする前に準備することがあります。薬局経営では、それが融資です。
500万円で薬局をスタートさせても、運転資金がないと数カ月で薬局が倒産してしまいます。私の場合は日本政策金融公庫に500万円を融資の依頼をして、運転資金を自己資金でまかないました。なお私の貯金は内緒です(笑)。
薬局経営を考えたときに、最初の融資の相談先となるのが日本政策金融公庫です。日本政策金融公庫は政府系金融機関のこと。日本公庫とも呼びます。
今の時代はインターネットから融資相談と面談日の調整をすることが可能です。
融資をする際に、私はある問題にぶつかりました。面談をしたときに、担当者から「本社は愛知県なのになんで次の薬局は島根なの?」「売上が立っていないけど大丈夫なのか?」と突っ込まれることがありました。
私は、嘘を付かず、1つ1つ調べて誠実に回答をするほかなかったです。
資金集めはサラリーマン時代にがっつり働いて貯金をするという方法もあります。給料から定期的にお金を移動する定期預金を目標、期間を決め利用するとよいと思います。
今だったら思いますが、薬局開業をするなら、自己資金を1000万円ほどは持っておくべきだなぁと感じます。今回はしつこいくらいに『ポケモン』のマサラタウンネタを使いますが、マサラタウンから冒険するまでに事前準備が必要なのです。
資金を集めることの大切さと3つの約束
経営者になって会社を潰さないために、3つの約束を守ることを意識しています。
- 利益をしっかりと残すこと
- 計画を立ててしっかりと実際に遂行すること
- 無駄な買い物はしないこと
その上で資金力を高めておくことが必要だと学びました。
実は地方銀行には10社ほど足を運びました。銀行へ具体的な数字を見せにいったり、今後の事業計画も考えています。
そこで、本社と事業所が異なると銀行が融資をしたくても、できない場合もあるのだと知りました。こういったことは学校では教えてくれません。薬局が忙しくなってもお金を貸してくれるところにはしっかりと顔を出すことをしてくださいね。
まとめ
私の経営スタイルは決して真似しないようにして下さい。きっと少数派なはず。
多くの薬剤師は2000万円程度の融資を利用して、自己資金1000万円で安定した薬局を継承したり、新規開業を目指すのだと思います。私の場合は、離島だから安く薬局ができたのか?と言われると、もしかすると、そうかもしれません。でも誰も手を出さないところにお宝は眠っていると私は考えてしまうのです。(良い子は真似しないでください)。
会社というコミュニティはいろんな方に支えられていますが、私は特に周りに助けてもらうことが多いと感じます。いろんな方に「離島の薬局経営反対!!」と言われましたが、今私は幸せです。辛いこともありますが、自分の目指す理想の薬局を経営できるのは最高なことです。薬局以外でも事業をしているので頑張ります。そろそろ薬局経営初心者用のマサラタウンからはさよならバイバイ。