M&Aした薬局の資金計画はどう立てた?運転資金、返済計画、売上予想などを赤裸々に語る!
こんにちは!薬剤師キクオです。私は島根県にある離島。隠岐の島で薬局経営をしているアラサーの薬剤師です。昔ながらの地域の健康薬局として経営されていた薬局を引き継いで現在に至ります。また「地方創生」をキーワードに薬局経営以外の取り組みもしています。今回は実際に隠岐の島の薬局に関する資金計画、そして運転・返済計画、薬局の売上予想を考えた時の状況を赤裸々にお伝えします。独立を目指す薬剤師に少しでも役立てたら幸いです。それではいきましょう。
薬局の資金計画は、運転資金、設備資金の2種類
資金計画とはいったいなんでしょうか?資金計画とは事業(薬局)に必要な資金をどこから調達をして、どのように運用していくかという計画のことです。
大きく運転資金と設備資金の2つに分かれます。
運転資金
- 商品の仕入れ(薬剤費用)
- 人件費
- 薬局の家賃
- 水道光熱費
- インターネット関連費用
主な運転資金は上記のものとなります。ウエイトを占めるのは薬剤費用、人件費になります。
設備資金
- 敷金・保証金
- 分包機などの機器の購入費
- 電話機や複合機の購入費
- 調剤棚などの購入費
- HPなどの作成費用
開業当初、分包機などは中古品を検討しても良いでしょう。薬局を経営する上で、運転資金と設備資金の違いを理解して資金計画を立てられると良いですね。
薬局の運転資金の実例をチェック
実際に隠岐の島で薬局を運営している弊社・株式会社yakuromaの1つの店舗を見てみましょう。
まず運転資金として重要なのは薬剤購入費です。
弊社の場合は、M&Aして引き継いだので既に医療用医薬品が200万円前後、一般薬は100万円単位でありました。新規の場合は100万円から200万円ほどの資金を準備しておくと良いと思います。もちろん患者さんがどのくらい来る見込みなのかを把握することが前提です。
隠岐の島の薬局では毎月の薬剤費が250万円から300万円ほどです。医薬品卸への支払いは2カ月後もしくは3カ月後が多いので、少なくとも3カ月分の資金を持っていると運転資金として余力が出ると思います。
また人件費は利益の60%以下に抑えるのが得策であると経営の本で読んだことがあります。仮に技術料が100万円/月だとすると60万円以上人件費に当てると経営が苦しくなっていきます。個人的には50%前後に設定をする必要があると考えています。
薬局の設備資金の実例を示します
薬局の設備で大きなお金がかかるところは内装費用、外装費用、分包機、レセプトコンピューターです。これも弊社の例を挙げてみます。
内装・外装
内装・外装の費用は、坪数によりますが、薬局の坪数が仮に30坪だとすると1坪50万円ほどかかるとみてください。計算をすると1500万円かかってしまう計算になってしまいます。もちろん坪単価35万円や40万円で実施してくれる施工会社さんもあります。内装・外装の相見積もりは絶対にしておくべきでしょう。
また今後、私は隠岐の島の薬局のフローリングの張替えをするのですが、合計で50万円程度もかかることが判明しました。薬局の店舗が広すぎても予算がかかってしまう恐れがあるので計画的に予算を組み立ててください。
分包機
分包機に関しては簡易的なものであると中古で50万円程度、新品のものは200万円程度かかります。分包機はリースをすることで融資してもらうことも可能です。予算に合わせて検討してみましょう。特に大きな買い物をする必要がないケースもあるので、予算感だけでも知っておくと良いでしょう。もちろん値切りは経営者として必要になるので、大きな買い物の際は、交渉もしてみてくださいね。
レセプトコンピューター
安くて100万円/1台と考えてください。リースが終わっているのか、終わっていないかの確認が必要です。隠岐の島の薬局ではリースが終わっていたので、保守料金だけのお金になりました。予算として毎月3万円ほど、年間約36万円かかります。
個人的には大きな支出かもと思いますが、もっと高いレセプトコンピューターもありますし、新規でスタートさせると初期費用で100万円以上コストがかかるので、IT導入補助金制度などうまく取り入れるなど事前に情報収集をしておく必要があると思います。
薬局の返済計画はどうやって考えた?
返済計画に関して、私は固定で飛んでいくお金(支出)をまずは考えました。隠岐の島の薬局の場合を見てみましょう。
- 薬代は毎月300万円(多く試算)
- 人件費は毎月80万円(多めに試算)
- 税理士の費用(3万円/月)
- 光熱費(5万円/月)
- レセプトコンピューター保守代金(3万円/月)
- 紙やトナーなど販管費(5万円/月)
- 薬局の家賃(10万円/月)(多めに試算)
- 駐車場台(3万円/月)
固定で出ていくお金は多めに試算しておくと良いと思います。変動はありますが、金額が変わったときに、多めの支出として計画を立てることが大切だと考えています。
こちらに加えて日本政策金融公庫や信用金庫などから融資を受けている場合は毎月どのくらい返済の支出があるのかを必ず把握しておく必要があります。返済を考える前にどれだけ「固定の支出」があるのかを把握しておきましょう。
薬局の売上予想はどうやって考えた?
M&Aした薬局の場合は売上予想を立てるのが簡単です。実際に過去3年分の調剤報酬の一覧を見ればどれだけ薬局が回っているのかを見ることができるでしょう。隠岐の島の薬局の場合は売上予想、売上の推移を自分で可視化しました。売上の上げ下げに関してはそれはなぜなのか?他の競合ができた、ヒット商品があったなど不安要因を1つ1つ明確にしていく必要があるでしょう。
院内処方から院外処方への切り替えでの新規薬局開業に関してはクリニックの処方せん枚数がわかれば、どのくらい薬局に流れてくるのか把握することができるでしょう。ちなみに、マンツーマンでの新規開業は3年ほどで黒字になると聞いたことがあります。
資金計画の見直しをしてみよう
資金の計画を立ててもその通りに進むことはないと思います。軌道修正をするためにも毎月の支出と売上を管理できる仕組みを考えて実践してみましょう。保険収入、保険収入外は毎月どのくらいあるのかを分けて考えます。
単月で赤字になるようなら、どのくらい我慢(会社が倒産しない)できるのかを計算し直します。運転資金の準備もすぐできるように書類の準備を事前にしたり、銀行とのやり取りも小まめに行っておくと良いと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?現在は、経営者でありプレイヤーの薬剤師も多いと思います。私もまだまだ経営者に毛が生えたレベルですが、他の薬局経営者との繋がりができたりと経営者になって良かったなと思えることが増えて来ました。
資金計画はなんど組みなおしても良いでしょう。そして現役の薬局オーナーに相談をしたりと「経験者」に話してみることもおすすめです。経営者の方は時間を気にする方が多いので、ただ聞くだけでなく、すぐに経営に向かう姿勢を見せて、新しい一歩を踏み出してほしいと思います。少しでもこれから開業をする薬剤師のためになれたらうれしいです。それでは、また!