隠岐の島における薬剤師が知りたい医療情報
こんにちは!薬剤師キクオです。私は島根県にある離島。隠岐の島で薬局経営をしているアラサーの薬剤師です。昔ながらの地域の健康薬局として経営されていた薬局を引き継いで現在に至ります。また「地方創生」をキーワードに薬局経営以外の取り組みもしています。今回はこれから独立を考える薬剤師が知りたい「医療機関の情報収集」を隠岐の島における体験を元にお話していきます。少しでも独立を目指す薬剤師に読んで頂けたらうれしいです。それではいきましょう。
開業する前に医薬品卸の担当と話し合おう
どんな業種でも取引先との関係は大切です。だから、私が薬局を開業する前にあいさつをしたのは医薬品卸さんです。医薬品卸の担当者さんとお会いできるのは週に1回程度なので、事前連絡をして日程を合わせましょう。支店長クラスの方とのあいさつもする方が良いです。近年出荷調整が長く続いていますが、医薬品共有に関してしっかりと融通を利かせられるように行動しておきましょう。
さらに、医薬品卸の営業担当者は周辺のクリニック情報を持っているケースもあります。
例えば隠岐の島のクリニックには院内処方のある、なしがあります。あるとき、医薬品供給不足の影響で院内処方が院外になるお薬がありました。事前に医薬品卸の方と交流をして近隣のクリニックでよく出ているお薬はどんなのか、珍しいお薬はあるのかなどヒアリングをしておくと、不足なくお薬を供給することができます。医薬品卸の方と仲良くなっておくと今後も薬局として情報収集の精度が上がると思います。
エリアの介護施設にあいさつをしよう
私は隠岐の島の介護施設へあいさつ回りをして医療情報を集めました。例えば「処方せんの出所はどこなのか」「施設長や看護師、介護士の方のお悩みごとは何なのか」などを聞いて回りました。私はアポイントを取らずに訪問をしていましたが、施設も暇ではないので電話でアポイントを取って訪問をしてみましょう。
ただ会いに行くのではなく、新規の場合は薬局としての取り組みやアピールポイントを資料にまとめておくのが良いでしょう。情報収集はインターネットで「地名+施設」と検索すると規模や利用者の数などがわかるので、訪問前には一度確認しておくのも吉です。
隠岐の島では介護施設で働く年齢層が高く、人材不足に悩んでいることがわかったので、人脈を繋げるなど薬以外の提案ができると喜ばれます。
医療情報として、看護師さんがどのように薬の服薬をさせているのか、薬の保存方法や定数薬を話題にしても良いと思います。施設によって対応してくれないところもありますが、しっかりと施設に対して薬局が関われることを伝えると対話になりやすいと思います。
薬局としての可能性を広げるために町役場に顔を出そう
役場には医療情報が集まらないのではと思いませんか?しかし隠岐の島の役場では、地域連携で医療関係者とケアマネジャーさんが集まっていました。私は薬剤師として、役場の地域連携課で事情を説明し、在宅を担う薬局として活動していきたい旨を伝えました。するとケアマネジャーの勉強会で居宅療養管理指導の発表をさせてもらえたのです。これで薬局としての可能性を広げることができました。ほかにも町役場は高齢者のサークル活動、認知症予防など医療に関わる情報が集まる場所となっています。役場に関してはインターネットで調べるよりも、直接足を運んで医療情報を収集すると良いでしょう。
自分の薬局の弱点を考えてみよう
以上
- 医薬品卸と仲良くなり医療情報を集める
- 介護施設にあいさつをする
- 役場から医療情報を収集する
を実施してみると意外と自分の薬局の弱みがわかってくると思います。
例えば「外来もあるから薬の配達や管理ができない」「介護施設の人たちは他科の薬をまとめて渡すメリット知らない」などです。医療情報を収集すると同時に自分の薬局で「なにが解決できるのか」を考えてみてください。
あるとき、一包化ができない薬の相談が施設からありました。看護師や介護士の方へ、丁寧に資料を作成してお渡しをすると、とても喜んでくれたことがあります。これも医療情報の価値を薬局が提供できた一例だったと思います。
まとめ
医療情報はインターネットだけ見ても解決できないこともあります。本当に地域が困っている医療情報は何なのか?それを知るためには聞くこと、動くこと、伝えることが大切だと思います。隠岐の島ではまだまだ医療が発展をしていないと感じます。引き続き、地域の医療を守れるように若い薬剤師も育てながら地方創生のお手伝いをしていけたらと思います。それでは、また!