チーム医療で薬剤師が活躍する「NST専門療法士」という働き方
KOUTY先生
薬剤師/NST専門療法士
経歴:2009年に薬剤師国家試験合格、同年CRC(治験コーディネーター)として働き始める。2年間の勤務後、某総合病院の薬剤師に転職し、現在も勤務中。SNS(Twitter、Instagram)では、「KOUTY」名義で薬学情報を発信。座右の銘は「楽しく気軽に薬学を勉強する」。
「ファーマシストの流儀」第13回は、シリーズ初の匿名でのご登場となるKOUTY先生です。病院薬剤師としての通常業務に加え、NST専門療法士としても忙しい勤務の傍ら、SNSでの薬学に関する情報発信を積極的に行っています。NST専門療法士の仕事とは? なぜSNSでの情報発信を行うのか? 根底には、静かに燃える薬剤師魂がありました。
チーム医療で、薬剤師としての知見を活かす
勤務されている総合病院では、病院薬剤師としての通常業務に加え、NST専門療法士として入院患者の治療にも携わっておられるとのこと。まずは、NST専門療法士としての仕事について教えてください。
KOUTY先生(以下、敬称略):NST専門療法士とは、NST(Nutrition Support Team/栄養サポートチーム)の一員として患者さんの栄養管理を行う専門家です。
一般社団法人日本臨床栄養代謝学会(JSPEN)が認定する資格で、薬剤師のほか管理栄養士、看護師、臨床検査技師、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士、歯科衛生士、診療放射線技師いずれかの日本の国家資格を持っていることが認定条件のひとつです。
認定には、国家資格のほかに、医療・福祉施設での5年以上の栄養サポート業務経験や、規定の学会やセミナーへの定められた単位の参加、認定試験合格などが必要です。
なお資格認定を受けていなくても、NST教育認定施設の研修会単位をクリアした薬剤師がチームに参加することにより、診療報酬で栄養サポートチーム加算(NST加算)が可能になります。
私自身は、5年前に資格を取得し、資格認定前の5年間の実務経験とあわせてトータルで10年間、NSTに携わっています。
業務内容は、特に栄養状態の悪い入院患者さんに対して、多職種の医療スタッフと協力して行う栄養管理です。
薬剤師としては、主に輸液の内容のバランス、電解質・ナトリウム・カリウムなどの割合が適切か、心臓・腎機能に応じた内容になっているかなどについて検討し提案、調剤を行います。
また、患者さんが下痢が続いて食欲がわかないような場合に、薬の副作用を検討したり、食欲増進・便秘解消につながる漢方薬を提案したりというところでも薬剤師としての知識が活きてきます。
チームとしては、薬剤師のほかに、看護師は鼻から栄養を入れるチューブの入れ方が正しいかをチェックしたり、理学療法士は患者の嚥下の能力、歯科医師は噛む力をチェックするなど、それぞれの専門性を活かしたチーム医療で患者の栄養サポートを行っていきます。
患者さんの健康の基礎は、栄養にあり
なぜNSTを志したのですか?