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ファーマシストの流儀

更新日: 2022年4月3日 烏田 千洋

海外での薬剤師キャリア形成~カナダでの薬剤師の働き方

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森本 紀子(もりもと・のりこ)先生
薬剤師/Pharmacist
経歴:近畿大学薬学部卒。日本国内で病院薬剤師として約3年間勤務後、2004年にカナダ・バンクーバーへ留学。PCU漢方医学学校(PCU College of Holistic Medicine)卒業。2010年、カナダの薬剤師免許を取得し、現地の薬局薬剤師として勤務開始。現在に至る。2019年、北米で薬剤師として働くためのコンサルティングを行うKUSURI CONSULTING LTD. 設立。

「ファーマシストの流儀」第14回は、カナダで薬局薬剤師として働く森本紀子先生です。薬剤師にとって、日本国内だけでなく海外で仕事をするという選択肢もあることを知ってほしいと、ご自身の経験やカナダの薬局・薬剤師事情についてお話してくださいました。

短期間で帰国のつもりが、気付けばカナダで18年

はじめに森本先生の経歴と現在のお仕事について教えてください。

森本先生(以下、敬称略):近畿大学を卒業後、病院薬剤師として3年ほど勤務したところで、自分の中で今後どうしていきたいのか分からなくなってしまいました。多くの若い薬剤師さんもぶつかる壁だったのではないかと思います。

そこで以前から興味のあった海外にいってみようと思い、離職してカナダ ブリティッシュコロンビア州のバンクーバーへ語学留学をすることにしました。

バンクーバーを選んだのは、英語圏で安全であること、そして日本から比較的近い外国の都市であることが大きな理由です。また、大学時代に交換留学で来日していたカナダの友人を訪ねたことがあり、その際の好印象もありました。

当初はESL(English as a Second Language)のコースで学んで短期間で帰る予定だったのですが、英語と漢方を学べる学校を見つけて、ただ英語だけ学ぶよりも薬剤師としてエクストラの知識を習得できるほうが良いと思いまして、そちらに入学しました。

それが3~4年のコースで、そもそも短期のつもりの計画がすでに怪しくなっていました(笑)

そして、在学中にたまたま出会った薬剤師の方から、カナダの薬剤師は待遇・報酬が良いという話を聞いて、カナダでの薬剤師免許の取得(免許の書き換え)をすることにしました。
免許の書き換えはものすごく大変で、3年半ほどかかりました。まず私の場合は日本で薬学部を卒業していることを証明する書類審査のためのシラバスが必要だったのですが、それを英語で大学の教授のヘルプを得ながらまとめるのに苦労しました。

そして、現在は制度が変わっているようですが、当時は薬局でのインターンを500時間する必要があり、そのインターン先を探すのも一苦労でした。100件くらい履歴書を配り歩いても決まらずまいりました。

試験自体は、筆記と口頭試験があり、どの試験も4回までしか受けられない規定でした。4回受けても合格できなければ終わりです。口頭試験は、患者役の役者と採点官がいて、泣いている患者の対応をしたり、ドクターへの疑義照会をしたりといった実践的なものでした。

なんとか2010年にカナダの薬剤師免許を取得し、現地のコミュニティ・ファーマシーいわゆる調剤薬局で働き始め、現在に至ります。短期間のつもりが、気付けば18年間カナダに暮らしています。

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烏田 千洋
からすだ ちひろ

編集 / ライター お茶の水女子大学文教育学部卒。文系脳ながら医療従事者を目指して挫折した過去あり。少しでも医療現場のお役に立てればと、みなさんの声を届けるべく奮闘中。趣味は、園芸・着物。日本のアップデートを応援するWebメディア『japonism』編集長

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