日本スポーツ界に貢献したい! アンチ・ドーピングを担うスポーツファーマシストの流儀
吉田 哲朗(よしだ・てつろう)先生
一般社団法人ドーピング0会 代表理事
薬剤師/JADA公認スポーツファーマシスト
「ファーマシストの流儀」第18回は、JADA公認スポーツファーマシストとしてアンチ・ドーピングを推進されている吉田哲朗先生です。資格認定後、想定外の“塩漬け”期間を経て、活躍の道を切り拓いていった吉田先生。一筋縄ではいかない現実とどう向き合っていったのか? ヒントにあふれた先生の流儀を伺いました。
アンチ・ドーピングと薬の専門家『スポーツファーマシスト』
まず、『JADA公認スポーツファーマシスト』(以下、スポーツファーマシスト)とは、どのような資格か教えてください。
吉田先生(以下、敬称略):
スポーツファーマシストは、最新のアンチ・ドーピング規則に関する知識を持つと認定された薬剤師です。
公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構(JADA:Japan Anti-Doping Agency)と公益社団法人日本薬剤師会の連携で2009年に発足した資格制度で、薬剤師を資格対象者として、JADAが定めるアンチ・ドーピングに関する課程終了後に認定されます。
先生がスポーツファーマシストを目指された理由とは?
吉田:
私がスポーツファーマシストを目指したのは、スポーツが好きというのはもちろんありましたが、薬剤師としての幅を広げたいと思ったことが理由でした。
でも資格をとっても、期待していたようにスポーツファーマシストとしての仕事が転がり込んでくるような展開にはなりませんでした。資格をとるだけでは活動の幅は広がらない。どうしたら使えるかを模索し続けた、資格の“塩漬け”期間が2年ほどありました。
スポーツ現場とのつながり作りからスタート
資格が活動に結びつかない状況を、どのように打開されたのですか?
吉田:
「受け身だったら使えない」と一念発起して、自分からスポーツ現場につながりを求めて出て行くことにしました。アスリートに近い人たちとつながるために、スポーツファーマシストと肩書を刷った名刺を作って、トレーナーやスポーツ医療関係者の勉強会・学会などに参加して配りました。
当初は、言ってしまえば“不純”な動機からです(笑)。資格認定に認定料などお金がかかっていますから、「元を取ろう」という思いがありました。それから、「スポーツ選手とつながりたい」というスポーツファンとしての気持ちもありました。
機会を見つけて公言していることですが、私はハンマー投げの室伏広治・スポーツ庁長官の大ファンです。アスリートとしての業績はもちろん、そのトップアスリートとしての超一流の考え方をすごく尊敬しています。ぜひいつか、実際にお会いしたい。私の夢の一つです。