患者も家族も高齢者…。薬剤師も積極的に申し送りノートに参加してほしい

高齢化が進むにつれて、服薬コンプライアンス不良な患者が急激に増加しています。理由としては本人の病識の無さや認知機能の問題、家族の理解などが挙げられます。
私は内科医として、そういった背景を考慮しつつ、薬剤師と相談し、いかにして内服していただくか、処方を調整することがあります。また一包化や服薬カレンダーを用いて内服忘れや過剰内服を防ぐ指導もしています。
本シリーズでは、クリニックの副院長として働く内科医の私が、日々、診療の現場で考える「服薬コンプライアンスの課題」と、薬剤師に期待することをお伝えします。
前回は「患者さんの家族の服薬コンプライアンス」についてでしたが、今回は私が病院勤務時代に体験した老老介護のエピソードと在宅医療での申し送りノートについて紹介します。
薬剤師が老老介護の危険を察知できる
厚生労働省の推計によると、2025年には高齢者人口が約3,500万人に達するとされています。急激なスピードで高齢者が増加していることは臨床をしていると、日々実感します。今回の事例は、そんな超高齢化社会を体感した出来事です。
とある冬の日、救急外来の当直をしていたときのことです。救急隊より「102歳女性の意識障害」で受け入れ要請がありました。「もともとどのくらい動けたのか?」などいろいろな思いを抱きながら待っていると、救急車が到着しました。救急車の扉が開くと、見た目は80代くらいの女性が降りてきました。「あれ?102歳にしては若いな…。しかも意識障害という話だったけど歩けているじゃないか…」というのが第一印象でした。ところがその方から言われた「先生、母をなんとかお願いいたします」のひと言に私は驚きました。なんと、私が患者と思っていた方は娘さんだったのです!そしてストレッチャーにはたしかに見た目が100歳くらいの患者さんが乗っていました。その患者さんは検査の結果、重症の脳梗塞と判明し緊急入院になりました。…