特別調剤基本料Bが新設された意味【2024(令和6)年診療報酬改定】
参考記事:敷地内薬局、薬局と医療機関双方へのペナルティー強化特別調剤基本料5点、処方箋料は68点から42点に激減
薬局の「調剤基本料」は、処方箋の集中率と受付回数で算定できる点数が決まる(下表を参照)。「特別調剤基本料A」が「敷地内薬局」を想定した点数で、調剤基本料の施設基準の届け出があり、不動産取引等その他の「特別な関係」がある医療機関に係る処方箋の調剤割合が5割を超える場合だ(「特別調剤基本料B」は施設基準の届け出がない場合)。薬局のかかりつけ機能を評価する「地域支援体制加算」のほか、「後発医薬品調剤体制加算」「在宅薬学総合体制加算」がそれぞれ100分の10しか算定できないなどの制限も加わる。
2024(令和6)年度診療報酬改定では、改定前は一つだった特別調剤基本料が、敷地内薬局に対する特別調剤基本料Aと、施設基準の届出を行っていない場合の特別調剤基本料Bの2つに分けられました。今回は、特別調剤基本料Bが新設された意味を考えます。
1.調剤基本料の施設基準にかかる届出を提出しない薬局に対する評価
前回の記事の復習になりますが、2024(令和6)年度の診療報酬改定における、調剤基本料について整理します。
2022(令和4)年度改定では、敷地内薬局と届出未提出の薬局は、両方とも「特別調剤基本料(7点)」で評価されていましたが、今回の改定では、特別調剤基本料はAとBの2つに分けられます。
- 特別調剤基本料A(5点):いわゆる敷地内薬局
- 特別調剤基本料B(3点):届出未提出の薬局
届出未提出の薬局(特別調剤基本料B)は、2022(令和4)年度の改定(特別調剤基本料)と比較して、マイナス4点という形になりました。
2.敷地内薬局よりもさらに厳しい各種加算の減算
今回の改定では、特別調剤基本料A・Bを算定する薬局に対して、調剤基本料の加算の取り扱いについて、厳しい変更が行われています。
調剤基本料の加算 | 特別調剤基本料 | |||
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2022(令和4)年度 | 2024(令和6)年度 | |||
A | B | |||
地域支援体制加算 | 80% (減算) |
10% (減算) |
算定不可 | |
後発医薬品調剤体制加算 | 80% (減算) |
10% (減算) |
算定不可 | |
在宅薬学総合体制加算 (新設) |
ー | 10% (減算) |
算定不可 | |
医療DX推進体制整備加算 (新設) |
ー | 100% (算定可能) |
算定不可 | |
連携強化加算 | ー | 算定不可※ | 算定不可 |
※「特別な関係がある医療機関」が「外来感染対策向上加算」または「感染対策向上加算」の届出を行なっている場合
3.届出を出さない薬局の薬学管理料
2024(令和6)年度改定では、特別調剤基本料Aを算定する薬局で、「特別な関係がある医療機関」に対して情報提供を行なった場合、その点数は算定不可、という形に見直されました。
特別調剤基本料Bを算定する場合、さらに厳しくなっており、情報提供先等の条件はなく、以下の点数がすべて算定不可になります。
特別調剤基本料Bを算定する保険薬局が算定不可となる点数 |
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調剤管理料、服薬管理指導料、かかりつけ薬剤師指導料、かかりつけ薬剤師包括管理料、 外来服薬支援料、服用薬剤調整支援料、在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問 薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料、退院時共同指導料、服薬情報等提供料、 調剤後薬剤管理指導料、経管投薬支援料、在宅移行初期管理料 |
また、特別調剤基本料Aと同様に、使用薬剤料の減算も行われます。
使用薬剤料(特別調剤基本料B) |
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区分番号00に掲げる調剤基本料の注2に規定する特別調剤基本料Bを算定する薬局において、 処方につき7種類以上の内服薬(特に規定するものを除く。)の調剤を行った場合には、 所定点数の100分の90に相当する点数により算定する。 |