【7月1日適用】ラゲブリオの薬価8.2%引き下げの意味は?
参考記事:新薬10成分・15品目の薬価承認、8成分が新薬創出加算ラゲブリオの薬価8%引き下げも承認、7月から
費用対効果評価により、H1(市場規模が100億円以上)に該当する2成分の薬価引き下げも承認。新型コロナウイルス感染症の治療薬であるラゲブリオ(モルヌピラビル)は8.2%(2357.8円から2164.9円に)、2型糖尿病を合併する慢性腎臓病の治療薬であるケレンディア錠(フィネレノン)は2.7%(10mg1錠は147.9円から143.9円、20mg1錠は211.6円から205.8円に)それぞれ下げる。いずれも2024年7月1日から(資料は、厚生労働省のホームページ )。
費用対効果評価については過去の記事も参考にしてください。
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1、価格調整の概要
費用対効果評価制度の対象となるのは、革新性が高く、財政影響が大きいと予想される医薬品・医療機器で、薬価収載時に対象となることが決められています。今回、費用対効果評価による価格調整を受けることが決定したラゲブリオカプセルとケレンディア錠は、いずれも区分H1(ピーク時史上規模の予測が100億円以上)に該当します。
今回費用対効果評価による価格調整を受ける2剤についてまとめてみます。
銘柄名 | 成分名 | 調整前薬価 | 調整後薬価 | 適用日 |
---|---|---|---|---|
ラゲブリオカプセル200mg | モルヌピラビル | 2,357.80円/cap | 2,164.90円/cap | 令和6年7月1日 |
ケレンディア錠10mg ケレンディア錠20mg |
フェイネレノン | 147.90円/錠 211.60円/錠 |
143.90円/錠 205.80円/錠 |
令和6年7月1日 |
ラゲブリオカプセル200mgは1カプセルあたり192.90円安くなり、1日あたりマイナス1.543.20円(18,862.40円→17,319.20円)、1治療ではマイナス7,716円(94,312円→86,596円)になります。
2、費用対効果評価による薬価引き下げ
費用対効果評価による価格調整は薬価全体ではなく、主に有用性加算部分を対象としています。
薬価算定方式 | 価格調整の対象範囲 | |
---|---|---|
類似薬効比較方式 | 有用性系加算部分 | |
原価計算方式 | 開示度50%未満 | 営業利益+有用性系加算部分 |
開示度50%以上 | 有用性系加算部分 |
ラゲブリオカプセルは類似薬効比較方式(Ⅰ)(比較薬:ベクルリー点滴静注液)で算定され、補正加算として有用性加算(Ⅱ)(A=10%)の対象となっており、その加算部分は214.4円です。
つまり、ラゲブリオカプセルで費用対効果評価の対象となるのは214.4円で、今回の価格調整ではそのうち192.90円、約90%が差し引かれるということになります。
3、ラゲブリオの費用対効果評価の総合的評価
ラゲブリオの公的分析は保健医療経済評価研究センターが担当しており、費用効果分析の結果は以下ようになっています。