医師と薬剤師で意見相違。「対人業務」の評価軸
少子高齢化が進む日本の医療の基盤再編のため、地域包括ケアシステムを根底に厚生労働省が掲げた「患者のための薬局ビジョン」。この方針にのっとって、2年に一度の診療報酬改定が行われています。薬剤師業務の見直し、評価制度の検討、薬局経営の変化など、日々改定に関するニュースを気にしている薬剤師も多いと思います。今後、薬局や薬剤師のあり方はどう変わっていくのか。今年の報酬改定の最新動向についてまとめました。
「薬局の薬剤師が専門性を発揮して、患者の服薬情報の一元的・継続的な把握と薬学的管理・指導を実施する」。このような、調剤報酬における「対物業務」から「対人業務」への転換は、調剤報酬改定の大きな流れと言えます。厚生労働省は、薬剤師による薬学的管理、服薬指導、情報提供などの「対人業務」を評価する案を提示。一定の要件を定め、これらの業務を行った場合の点数を新設することを考えていると説明しました。
① 丁寧な服薬指導を推進する観点から、喘息患者およびCOPD患者について、医師の求めがあった場合や患者等の申し出があって医師に了解を得た場合に、デモ機等を⽤いて吸⼊指導を⾏った場合を評価してはどうか(お薬手帳や文書等により結果を処方医に報告)。
② 退院後に簡易懸濁法を新たに開始する患者に対して、医師の求めがあった場合や家族等の申し出があって医師に了解を得た場合に、薬局において薬剤選択の提案、家族等に対し簡易懸濁法の説明・指導を⾏った場合を評価してはどうか。
③ 重症低血糖の原因薬剤がインスリンやSU剤であるとの報告を踏まえ、これらの薬剤の適正使用を推進する観点から、医師が必要と認め、当該医師の指示があった場合や患者等の申し出があって医師に了解を得た場合に、調剤後に電話等により服⽤上の注意等について改めて指導等を⾏った場合について評価することとしてはどうか(お薬手帳や文書等により処方医にフィードバック)。
④ 医療機関と薬局が連携しつつ、複数の医療機関を受診する患者の⾎液検査等の結果を処⽅医に共有し、処⽅薬の⽤法・⽤量を最適化する取組を推進する観点から、患者の意識調査の結果も踏まえつつ、⾎液検査値等の活⽤により処⽅内容が変更となった場合の評価を拡充することとしてはどうか。
かかりつけ薬剤師・薬局の評価を含む「対人業務」について、調剤基本料の見直しについては、診療側と支払側ともに意見は一致しています。一方で、診療側では医師の委員から「対人業務」への転換を着実に進める必要があるとしつつも、「薬剤師だけで業務を完結しようとしている」との意見も。例えば先述の①で挙げられた吸入指導は、服薬指導の一環で行われているものであり、そもそも糖尿病の患者への指導等は医療機関が行うべきであるとの見解を示しました。また、「薬剤師が、調剤後に電話等により改めて指導等」を行うことにも疑問があるとしました。
(薬局の「対人業務」評価、医師と薬剤師で意見相違より引用)
詳細は、以下より本記事をお読みください。
薬局の「対人業務」評価、医師と薬剤師で意見相違
2019年12月4日 (水)配信橋本佳子
(m3.com編集長)