ICT活用によって薬局はこう変わる!
少子高齢化が進む日本の医療の基盤再編のため、地域包括ケアシステムを根底に厚生労働省が掲げた「患者のための薬局ビジョン」。この方針にのっとって、2年に一度の診療報酬改定が行われています。薬剤師業務の見直し、評価制度の検討、薬局経営の変化など、日々改定に関するニュースを気にしている薬剤師も多いと思います。今後、薬局や薬剤師のあり方はどう変わっていくのか。今年の報酬改定の最新動向についてまとめました。
ICT(Information and Communication Technology)とは日本語で「情報通信技術」のこと。総合的な薬物治療管理から健康支援まで、超高齢社会を支える幅広い役割を果たすには、これまで以上にICTの活用による業務効率化が必須です。
昨今、頻繁に見聞きする「ICT」ですが、薬局や薬剤師とどのように関連するかイメージできる人は少ないのではないでしょうか?
2019年11月27日成立の改正薬機法でオンライン服薬指導が認められたことを受け、さらに拡大が予想される薬剤管理のICT活用。
今回は、ICTを活用した「かかりつけ薬局」のポイントについて、薬剤師・患者双方のメリットをまとめました。
ICT化のメリット1: 服薬指導の業務効率化
服薬指導のオンライン化により、以下のような指導、相談、管理の各フェーズにおいて薬剤師業務の効率改善が期待できます。処方箋の電子化と合わせ、服薬指導に必要な患者の情報などもオンラインで医師と共有できます。
①オンライン服薬指導
調剤後の患者宅での服薬のフォローをする。
処方箋に基づく処方内容の確認など。
②オンライン服薬相談
患者からの求めに応じた自宅での服薬指導をする。
また、薬に関する相談の受付なども。
③オンライン服薬管理
服薬管理が必要な患者に対する薬剤師による定期リマイ ンドやフォローの実施をする。
ICT化のメリット2: 気軽な服薬相談による付加価値の提供
オンライン化に伴い、患者はいつでも薬剤師に相談できます。副作用などについても自身の症状に照らして気軽に相談でき、薬剤治療における不安が解消。安心して治療に専念できます。
①「かかりつけ薬局」のオンライン管理
オンライン上でかかりつけ薬局を登録・管理できる。
②服薬指導・相談
患者は時間を気にせず相談できる。
あらかじめ問診で相談内容を確認することでスムーズに対応。
③ 残薬管理
オンラインで自宅での薬の保管状況や残薬を確認。
服薬管理の方法などをオンラインで相談でき、アドヒアランスが向上。
ICT化のメリット3: 薬剤師業務の効率化と専門性の発揮
患者から送信される情報や副作用に関する問診回答結果をもとに、総合的な判断が可能になります。情報があらかじめ整理されるため、ビデオチャットで計画的に対応ができるため業務への負担が少なくて済みます。
①患者管理
担当患者をオンラインで管理
オンラインを通じてフォローの連絡
②業務効率化
ビデオチャットで状況を把握し、訪問の頻度を最小化
相談内容を問診や写真等で共有することで、情報共有を効率化
③労務管理
患者からの相談をオンラインで管理
相談への対応状況は、ビデオチャット やメッセージの履歴で管理
このようにICTを活用した医薬連携により 服薬アドヒアランスの向上や重症化予防が期待されています。また、患者への付加価値を向上していくことに加え 薬剤師の働き方改革につなげていけないかというのも、ICT活用における重要な論点のひとつと言えます。
「規制改革推進会議 医療・介護ワーキング・グループ
ICTの活用による薬局の かかりつけ機能強化の方向性 資料より一部引用」
詳細は、リンクより本記事をお読みください。
オンライン診療、「治療と仕事の両立」踏まえ緩和すべきか?
2019年6月12日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)
外来・在宅患者のオンライン服薬指導「指針に準拠を」
2019年12月20日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)