6月調剤報酬改定に向けて、今から出来ることは?診療報酬改定2024
「薬局のアンテナ」のてっちゃんです。先日の3月5日(火)に官報告示が出ましたね。
これから、2024年度の調剤報酬改定スタートの6月にむけて、具体的な取り組みを行っていく薬局・薬剤師の方が多いかと思います。
私は、たくさんの薬局・薬剤師さんからのご質問に、日々対応をしております。最近、特に多く頂く質問が、「6月の調剤報酬改定に向けて、何をしたらいいでしょうか?」というものです。
基本的に、新設点数は、すぐに算定できないことが多いです。薬局での日々の取り組みが、たまたま(?)算定要件を全て満たすとは限らないからです。
今回は、6月の調剤報酬改定に向けて「算定漏れがないように取り組む」ための準備をご提案します。
まず、2024年度の改定の点数を3つに分けよう
例えば、今回の改定では、調剤後薬剤管理指導加算「2」が新設されました。
算定対象の患者さんは、「心疾患による入院歴のある、複数の作用機序の異なる循環器疾患に係る治療薬の処方を受けている慢性心不全の患者」とされています。
6月からさっそく算定できる薬局もある一方で、地域支援体制加算を未算定の薬局・現時点で対象患者さんがいない薬局にとっては、算定のハードルは非常に高くなります。
また、仮に対象患者さんがいたとしても、例えば「調剤後の電話等でのフォローアップ」を行っていない場合は算定ができないため、本点数の算定を目指すには、追加の取り組みが必要となります。
このように、点数や薬局毎に算定のハードルが異なるという点を改めて認識した上で、調剤報酬の1つ1つの点数を、以下の3つのハードルに分けてみましょう。もちろん、まずは主観でかまいません。
ハードル | 分け方 |
低い | 6月から算定できる点数 |
普通 | 算定に向けて、取り組み内容がイメージできる点数 |
高い | 算定に向けて、取り組み内容がイメージできない点数 |
ハードル【低い】「6月から算定できる点数」は、薬局内共有を
ここに分類される点数については、6月から算定可能となります。
具体的には、かかりつけ薬剤師指導料の加算として新設された「吸入薬指導加算」、算定要件が変更になった「特定薬剤管理指導加算1」、医薬品の供給が不安定なため別銘柄へ変更する際に算定ができる「特定薬剤管理指導加算3」といった点数は、6月から算定可能な薬局も多いかと思います。
ただし、薬局内で一緒に働くメンバーも「6月から算定できる」と考えているかどうかは、分かりません。算定要件の理解度や認識は、人それぞれだからです。
そこで、まずは薬局内のメンバーで、6月から算定できる点数であることをお互いに確認し合うことが大切です。
それぞれの点数について、薬局内で具体的にどういった患者さんに、どういったことを行い算定するかを共有しましょう。
算定要件の認識を合わせることで、6月からのスムーズな算定につなげることができます。
ハードル【普通】「取り組み内容がイメージできる点数」は、行動目標設定を
ここに分類される点数は、算定に向けた追加の取り組みが必要な点数となります。
ここでは、調剤後薬剤管理指導加算「2」を例に考えてみましょう。
例えば、地域支援体制加算を届け出ている薬局で、対象となる慢性心不全の患者さんがすでに継続して来局されている場合、薬局の取り組みによっては算定可能となり得ます。
もちろん、薬局にもよりますが算定要件を満たすためには:
- 患者さんの心疾患の入院歴を確認する
- 調剤後に患者さんに電話等で継続的にフォローアップする
- 処方医へ必要な情報提供を行う
といった取り組みが新たに必要となります。
そこで、具体的に「どの患者さんに、どのようにアプローチし、算定につなげるのか」というレベルまで落とし込んで検討してみましょう。
そこまで検討して、初めて、実際に算定に向けた取り組みを開始できるようになります。
ぜひ、薬局内のメンバーで、検討する時間を取ってみてください。
取り組みを開始するに当たっては、行動目標設定をすることもお勧めします。
算定率といった数値目標だけだと、ノルマのように感じるスタッフもいると思いますので、「〇月までに慢性心不全の患者さんの〇%に心疾患の入院歴を確認する」といった行動目標も併せて設定してはどうでしょうか?
今回の改定に限らず、近年の調剤報酬点数は、薬局全体で取り組む必要がある点数が多いです。チームが活発になる仕掛けを常に意識して、算定に向けて取り組んでいきましょう。
ハードル【高い】「取り組み内容がイメージできない点数」は、一つ一つの算定要件に着目を
ここに分類される点数は、算定を諦めてしまうケースも多い点数となります。
ここでは、地域支援体制加算を例に考えてみましょう。
例えば、地域支援体制加算1では、10項目の実績要件のうち、かかりつけ薬剤師指導料を含む、3項目をクリアする必要があります。
仮に、かかりつけ薬剤師指導料の実績は、なんとかクリアできるとしても、他の2項目は難しかったり、その他の体制要件(例:要指導医薬品の販売等)が難しかったりするケースもあると思います。
基本的に、調剤報酬点数は、算定要件が厳格化の方向ですので、算定に向けた取り組みをストップすると、改定のたびに算定が遠のくばかりになる可能性があります。
よって、今すぐに算定が難しい点数であっても、まずは、算定要件を1つ1つクリアしていくという姿勢が望まれます。
例えば、今回改定では、加算2の実績要件の算定回数が大幅に下がりました。
(例:かかりつけ薬剤師指導料等は年間40回→20回へ、外来服薬支援料1は年間12回→1回へ ※1万回あたり)
その結果、現在、地域支援体制加算1の薬局からは「加算2の算定は難しくても、一つ一つの要件に取り組んで来た。そのため、今回から加算2を算定できるようになる」という声も多く聞かれます。
一方で、加算2の算定を諦めて(様子を見て)取り組んでこなかった薬局の中には、加算1を継続できたとしても、今回改定で7点も下がってしまい、実質マイナスとなってしまったケースもあると思われます。
取り組み内容がイメージできない点数については、算定を目指す前段階として、一つ一つの算定要件のクリアを目指す、というスタンスで取り組んでみてはいかがでしょうか。
その行動が、将来的に地域支援体制加算の算定につながったり、そのほかの点数の算定につながったりする可能性もあります。
今回の記事では、最近特に多く受けるご質問「6月の調剤報酬改定に向けて、何をしたらいいでしょうか?」にお答えしました。
薬局の状況によって、各点数の算定のハードルが異なると思います。
ご自身が運営・勤務している薬局の状況は、ご自身が最もよくご存じだと思いますので、薬局のメンバーが主体となって「それぞれの点数をハードル毎に分ける、対応を検討する、取り組みを行う」というサイクルを回してみてはいかがでしょうか。
>>2024年の診療報酬改定に関する記事をまとめました。
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