特定薬剤管理指導加算1「イ」「ロ」の算定要件は?質問にわかりやすく回答
「薬局のアンテナ」のてっちゃんです!
今回も引き続き特定薬剤管理指導加算1を取り上げます。
本点数は以前のコラムでも取り上げているのですが、算定頻度が高いためでしょうか。その後も多くのご質問を頂いております。
そこで、今回のコラムでは、特に多く頂くご質問を取り上げて、できるだけわかりやすく回答していきます。
(参考:特定薬剤管理指導加算1の算定要件概要)
ハイリスク薬が処方された以下の患者に適切な指導を行った場合に算定。
イ 新たに処方された患者 10点
ロ 用法又は用量の変更、副作用の発現状況・服薬状況等の変化があった患者 5点
Q1:パロキセチン(先発品名:パキシル)のように、添付文書通りに徐々に用量を増やしていく場合でも算定区分「ロ」は算定可能?
算定可能と考えます。
例えばパロキセチンは、用量の増加に伴って、副作用の発現リスク等も変わっていくことが想定されます。ということは、服薬指導も、その都度患者さんの状態を勘案して行うことになりますので、薬剤師の専門性を発揮する機会といえます。
もちろん、画一的な指導では要件を満たせないと考えますが、添付文書に沿って用法や用量が変更になった場合でも、適切な指導を行うことで、算定可能と考えます。
Q2:バイアスピリン錠(単剤)からキャブピリン錠(合剤)への変更の場合、算定区分は「イ」「ロ」のどちら?
そもそも算定が出来ないと考えます。
特定薬剤管理指導加算1は、特に安全管理が必要な医薬品が対象となります。
特に安全管理が必要な理由は様々ですが、例えばバイアスピリン錠であれば、アスピリン100mgという成分に対しての安全管理が求められていると考えることができます。
キャブピリン錠は、アスピリン100mgとボノプラザン10mgの合剤です。
アスピリン錠(単剤)からキャブピリン錠(合剤)に変更になったとしても、成分としてはアスピリン100mgを服用することには変わりがなく、 アスピリン100mgに対する適切な指導内容は同様と考えます。
また、2024年度診療報酬改定の疑義解釈(その1)(※)においても、「同一成分の異なる銘柄の医薬品に変更された場合は算定不可」とされており、単剤から合剤へ変更(ハイリスク薬としては同一成分)も算定不可と考えることが出来ます。
もちろん、用法または用量の変更、副作用の発現状況等の変化があれば算定出来るケースもありえますが、同一成分である以上、相応の理由がなければ算定が出来ないものと考えます。
(※)厚生労働省保険局医療課 事務連絡「疑義解釈資料の送付について(その1)」
Q3:新たにハイリスク薬(A錠)が処方され、かつ、服用中のハイリスク薬(B錠)の用量が変わった場合、算定区分は「イ」「ロ」のどちら?
2024年度診療報酬改定の疑義解釈(その1)(※)において、特定薬剤管理指導加算1は、1回の処方あたり「イ」又は「ロ」のどちらかのみ算定、とされています。
算定区分「イ」「ロ」どちらも満たした場合は、点数の高い「イ(10点)」を算定することになるかと思います。
この点については、改定前も、1回の処方あたり、特定薬剤管理指導加算は1回しか算定出来ませんでしたので、これまで通りの考え方で算定を行って頂ければと存じます。
なお、本点数は「特に安全管理が必要な医薬品であることを伝えた上で、これまでの指導内容等も踏まえて、適切な指導を行った場合に算定出来る点数」となります。
ハイリスク薬が、新たに処方、用量等の変更があっただけで算定出来るものではないことは、改めて押さえておきましょう。