2026年度調剤報酬改定の見通し解説・薬学管理料はどうなる?
「薬局のアンテナ」のてっちゃんです!
2026(令和8)年度の調剤報酬改定の見通しについて、連載形式でお届けしています。
今回は、これまでの議論を踏まえて、2026年度調剤報酬改定の見通しを徹底解説します。
1.調剤管理料はどうなる?
調剤管理料については、現在の日数による点数区分が大きく見直される可能性があります。
以前は調剤料という区分がありましたが、調剤料の中には対物業務と対人業務のそれぞれに対する点数が混在しているということで、令和4年度改定で対物業務を評価する点数として薬剤調製料が、対人業務を評価する点数として調剤管理料が新設されました。
そして、旧:調剤料も含めて平成28年から徐々に点数が下がってきた経緯があります。(以下の表、グラフ参照)
引用元:中医協 総-3 5. 11. 8 調剤について(その2)「調剤料の見直し経緯」 /厚生労働省
現在は調剤管理料について、「調剤日数による点数区分を設けることの妥当性」を問われている状況です。
去る2025年11月28日の中医協資料(調剤その2)では、調剤管理料の現状と課題、そして論点を以下の様に整理されています。
中医協 総-2 7. 11. 28 調剤について(その2)「現状と課題②」より筆者まとめ
注目したいのは、現在は旧調剤料時の日数による点数区分を引き継いでいるのは「激変緩和の観点から」であると示している点です。
素直に考えると、急に一律の点数にすると影響が大きいため、「激変緩和の観点から」、一時的に日数による点数区分にしているように読み取れます。
その上で、今回論点として「どのように考えるか」とされています。
そう考えると、2026(令和8)年度調剤報酬改定から、一律点数にするというのはさすがに難しいと思いますが、一律点数に向けて少しずつ見なおされる可能性は念頭においた方が良いかもしれません。
2.調剤管理加算はどうなる?
調剤管理加算は、多くの薬を服用する患者に対する薬学的管理を評価した点数です。(以下図参照)
調剤管理加算説明資料/筆者作成
調剤管理加算は、多くの薬を服用されている患者が算定対象となることから、「ポリファーマシーの是正に逆行するのではないか」という指摘があります。
去る2025年11月28日の中医協(調剤その2)でも取り上げられており、調剤管理加算は見直し、もしくは廃止の可能性があるものと考えています。
3.重複投薬・相互作用等防止加算はどうなる?
重複投薬・相互作用等防止加算については、現在2つの視点で見直しが行われる可能性があります。
1つ目の視点は、電子処方箋の普及です。
現在は、電子処方箋が薬局に広く普及しており、重複投薬や禁忌薬剤の使用が自動でチェックできる環境が整ってきています。
以前に比べて、効率的にチェックができるので点数を見直してはどうかという視点です。
ただし、全てが自動でチェックされるわけではなく、チェックの内容を精査する必要もあるので、本点数の廃止までは想定しにくいところです。
2つ目の視点は、調剤報酬の簡素化です。
調剤報酬の簡素化は以前から課題とされていますが、2025年11月28日の中医協の資料では簡素化について以下のスライドを示しています。
引用元:中医協 総-2 7. 11. 28 調剤について(その2)「調剤報酬の簡素化」
/厚生労働省(※赤枠は筆者追記)
このスライドからは、調剤報酬の簡素化の候補として、重複投薬・相互作用等防止加算が挙げられていることが想定できます。
外来患者と在宅患者のそれぞれで点数が設けられているところですが、少し整理される可能性があります。
これら2つの視点(電子処方箋、簡素化)を踏まえると、例えば、残薬調整かどうか、外来患者か在宅患者かに関わらず、重複投薬・相互作用等防止加算として、一律で●点といった方向性が考えられます。
4.吸入薬指導加算はどうなる?
吸入薬指導加算は、現在喘息とCOPD患者が算定対象ですが、インフルエンザの患者も対象になると思われます。
2025年11月28日の中医協では以下のスライドが示されています。
引用元:中医協 総-2 7. 11. 28 調剤について(その2)「吸入薬指導加算について」
/厚生労働省(※赤枠は筆者追記)
つまり、喘息患者やCOPD患者に加え、インフルエンザ患者への吸入指導についても評価することを促すスライドです。
薬局現場としても、この部分は評価して欲しいところではないでしょうか。
吸入薬指導加算の対象に、インフルエンザ患者も加わる可能性は高そうです。
5.調剤後薬剤管理指導料や服薬情報等提供料はどうなる?
患者へのフォローアップを評価する点数として、調剤後薬剤管理指導料や服薬情報等提供料があります。
2025年11月28日の中医協では、服薬指導後の患者フォローアップにより副作用検出率が上昇することが示されました。
引用元:中医協 総-2 7. 11. 28 調剤について(その2)「服薬指導のフォローアップについて」
/厚生労働省(※赤枠は筆者追記)
つまり、患者へのフォローアップは副作用検出に役立っており、フォローアップを評価する点数である調剤後薬剤管理指導料や服薬情報等提供料の更なる評価が期待されます。
特に調剤後薬剤管理指導料については、これまで加算から指導料への格上げ、対象疾患の拡大、点数の引き上げなどが続いています。
2026年度調剤報酬改定でもプラスの方向で見直されることが想定されます。
6.かかりつけ薬剤師指導料はどうなる?
かかりつけ薬剤師指導料については、現段階で方向性が見えないところですが、算定回数のノルマ化が問題視されています。以下、解説します。