エンシュアを栄養保持目的で使うと保険給付の対象外に…ただし例外規定あり
「薬局のアンテナ」のてっちゃんです!
今回の2026(令和8)年度調剤報酬改定では、エンシュア・リキッドやラコールの保険給付が議題に上がっています。
令和8年1月23日の個別改定項目(いわゆる短冊)において、栄養保持を目的とした医薬品の保険給付の取り扱いについて明確になりましたので、その背景や対応について私見を交えて解説します。
経腸栄養剤の現状
経腸栄養剤の代表例としてはエンシュア・リキッドやラコール、エネーボ、エンシュア・H、イノラスなどが挙げられます。
再確認ですが、添付文書上、経口投与は手術後に限られています。
よって経腸栄養剤は、基本的には胃ろうなどの経管投与に使用する医薬品であり、栄養保持目的での投与は適用外処方となります。
引用元:中医協総-2 7.12.12個別事項(その15)/食品に類似した医薬品の効能又は効果について
/厚生労働省
ただ一方で、実態として、これら経腸栄養剤を継続的に経口投与されている患者もいます。
その理由は様々ですが、中には栄養保持を目的として経口投与されている患者もいるのが現状です。
そこで、栄養保持が目的であれば、代替可能な食品も市販されていることから、保険給付の見直しについて議題に上がっていました。
引用元:中医協総-2 7.12.12個別事項(その15)/食品に類似した医薬品と市販されている食品の比較①
/厚生労働省
2026改定における経腸栄養剤の保険給付の見直し内容
そのような現状を踏まえて、紆余曲折を経て、経腸栄養剤の処方について以下の通り見直しがされることになりました。
①原則、栄養保持を目的とした医薬品の保険給付は行わない(各種点数算定不可)
②「手術後の患者、経管投与の患者」の場合はその旨を処方箋とレセプトに記載する
③その他、「医師が栄養保持を目的とした投与が必要と判断する患者」の場合はその理由を処方箋とレセプトに記載する
つまり今後は、処方理由が処方箋に記載されるということです。
薬局において、処方箋に記載された理由を調剤レセプトに記載する必要があるかどうかはこれから明らかになりますが、エンシュア等の経腸栄養剤が処方された際に、処方箋にその理由等の記載があるかを忘れずにチェックすることが必要になります。
それでは、③の「医師が栄養保持を目的とした投与が必要と判断する患者」とはどのような患者でしょうか。
恐らくですが、以下のような患者になるものと思われます。
③「医師が栄養保持を目的とした投与が必要と判断する患者」の定義は?
- 低栄養状態の患者(単なる低栄養は除く?)
- 終末期の患者
- クローン病やベーチェット病などで腸管の負担を減らして、炎症を抑える必要がある患者
参照:2025年12月12日 中央社会保険医療協議会 総会 第635回議事録
薬局においては、これらの理由を確認すると共に、処方箋に理由の記載が無いなどの際には疑義照会を検討しましょう。
また、別の見方として「医師が栄養保持を目的とした投与が必要と判断する患者」については、その理由を処方箋とレセプトに記載すれば保険給付になりえることが明確化された、とも言えます。
これまで、栄養保持目的での投与については、審査支払機関において厳しいチェックがされていたところですが、適切な理由があれば保険給付されることが明確になったということであり、医師にとっても朗報かと思います。
今後、経腸栄養剤の処方控えは起こるのか?
今後、経腸栄養剤の処方控えが起こるのか、という点が気になります。