バイオ医薬品の一般名処方が解禁!具体的な薬剤名で変更可否を解説します
「薬局のアンテナ」のてっちゃんです。
2026(令和8)年度診療報酬・調剤報酬改定で、バイオ医薬品の一般名処方が解禁されました。
また、バイオ後続品の調剤に対する点数としてバイオ後続品調剤体制加算が、バイオ後続品の説明に対する点数として特定薬剤管理指導加算3-ロが算定できるようになりました。
今回の改定により、バイオ後続品の更なる使用促進が期待されています。
一方で、バイオ医薬品の一般名処方については、何を何に変更してよいのかが分からず、不安を覚えている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、バイオ医薬品の一般名処方について、具体的な薬剤名を取り上げながら、変更の可否を解説していきます。
なお、バイオ後続品に関する各種加算の取り扱いについては別のコラムで取り上げていますので、ぜひご参考ください。
バイオ医薬品の変更調剤の原則
大前提として、バイオ医薬品の一般名処方は解禁されましたが、バイオ医薬品の銘柄名処方を別銘柄へ変更することは、これまでどおりできません。
ご存じのとおり、先発医薬品から後発医薬品への変更はできますが、バイオ先行品からバイオ後続品への変更は引き続きできません。
この点については、以下の図で整理していますのでご参考ください。
バイオ医薬品の変更調剤の原則/薬局のアンテナ作成
今回解禁されたのは、あくまでバイオ医薬品の一般名処方です(変更調剤の際は使い方や適応症などを要確認)。
バイオ医薬品の銘柄名処方を別銘柄のバイオ医薬品へ変更することは引き続きできません。
混同しやすいので気をつけましょう。
なお、バイオ先行品とバイオ後続品を調べる際は、一般社団法人日本バイオシミラー協議会が公表しているリスト が参考になります。
一般名処方されるバイオ医薬品の種類
すべてのバイオ医薬品が一般名処方されるわけではなく、原則として、一般名処方マスタがあるバイオ医薬品が一般名処方される可能性がある点を押さえておきましょう。
具体的には、「テリパラチド」「インスリンリスプロ」「インスリンアスパルト」「フィルグラスチム」「アダリムマブ」「エタネルセプト」の6種類です。
一方、薬局で取り扱う可能性のあるバイオ医薬品は、これら6種類に「インスリングラルギン」「ソマトロピン」を加えた8種類です(バイオ後続品調剤体制加算の対象薬剤より)。
つまり、インスリングラルギン(ランタス等)とソマトロピン(ジェノトロピン等)は、薬局で取り扱うことがあっても一般名処方マスタが設定されていないため、一般名処方される可能性は低いということです。
引用元:「処方箋に記載する一般名処方の標準的な記載(一般名処方マスタ)について(令和8年4月1日適用) /厚生労働省」を元に薬局のアンテナ作成
インスリンアスパルトの変更調剤
インスリンアスパルトは、さまざまなバイオ先行品とバイオ後続品が発売されているものの、一般名処方マスタ上は「【般】インスリンアスパルト注射用ペン型キット300単位:NR」しか登録されておらず、その一般名に紐づく品目も「ノボラピッド注 フレックスタッチ」と「インスリンアスパルトBS注ソロスターNR『サノフィ』」の2品目しかありません。
引用元:処方箋に記載する一般名処方の標準的な記載(一般名処方マスタ)について(令和8年4月1日適用)/厚生労働省
つまり、インスリンアスパルトについて一般名処方されるのは「【般】インスリンアスパルト注射用ペン型キット300単位:NR」のみであり、一般名処方された場合に変更できるのは「ノボラピッド注 フレックスタッチ」と「インスリンアスパルトBS注ソロスターNR『サノフィ』」に限られると考えておいた方が良いと言うことです。
「同成分であるノボラピッド注フレックスペンには変更できないのか?」という疑問もあると思いますが、一般名処方マスタに載っていない以上、変更は避けた方がよいと考えています。
変更する場合は、疑義照会のうえで処方医の意図を確認してから対応してはいかがでしょうか。
なお、インスリンアスパルトのバイオ先行品とバイオ後続品の一覧も以下に掲載しますので、ご参考になれば幸いです。
色線部分は、一般名処方マスタと紐づいている品目です。
| バイオ先行品 | バイオ後続品 |
| ノボラピッド注 100単位/mL ノボラピッド注フレックスタッチ ノボラピッド注 フレックスペン ノボラピッド注 ペンフィル フィアスプ注 100単位/mL※ フィアスプ注 フレックスタッチ ※ フィアスプ注 ペンフィル ※ ※リストに掲載は無かったが参考に記載 |
インスリン アスパルトBS注100単位/mL NR「サノフィ」 インスリンアスパルトBS注ソロスター NR「サノフィ」 インスリン アスパルトBS注カート NR「サノフィ」 |
参照元:日本バイオシミラー協議会(2026年4月24日時点)
インスリンリスプロの変更調剤
ここまでの考え方をもとに、どの一般名にどのバイオ医薬品が紐づいているのかをまとめたものが、以下の表です。
一般名と同じ色のものは、その一般名と紐づいている品目(変更可能な品目)です。
| 一般名 | バイオ先行品 | バイオ後続品 |
| 【般】インスリンリスプロ 注射液100単位/mL :HU |
ヒューマログ注100 単位/mL |
インスリンリスプロ BS注100単位/ mLHU「サノフィ」 |
| ヒューマログ注カート | インスリンリスプロ BS注HU「サノフィ」 |
|
| 【般】インスリンリスプロ 注射用ペン型キット300単位 :HU |
ルムジェブ注カート・ミリ オペン・ミリオペンHD※ ※リストに掲載は無かったが 参考に記載 |
インスリンリスプロ BS注ソロスター HU「サノフィ」 |
参考:処方箋に記載する一般名処方の標準的な記載(一般名処方マスタ)について(令和8年4月1日適用)/厚生労働省、日本バイオシミラー協議会(2026年4月24日時点)
「ヒューマログ注カート」や「インスリンリスプロBS注カートHU『サノフィ』」「ルムジェブ注各種」は一般名処方マスタが設定されていない品目ですので、変更調剤の対象にはなりにくいと考えられます。
アダリムマブの変更調剤
同様に、アダリムマブについての表も作成しましたのでご参考ください。
アダリムマブは種類が非常に多岐にわたりますが、すべて一般名と紐づいているため、変更調剤が可能です。
| 一般名 | バイオ先行品 | バイオ後続品 |
| 【般】アダリムマブ注射用 シリンジ20mg0.4mL |
アダリムマブBS皮下注20mg シリンジ0.4mL「FKB」 アダリムマブBS皮下注20mg シリンジ0.4mL「第一三共」 |
|
| 【般】アダリムマブ注射用 シリンジ20mg0.2mL |
ヒュミラ皮下注20mg シリンジ0.2mL |
アダリムマブBS皮下注20mg シリンジ0.2mL「MA」 アダリムマブBS皮下注20mg シリンジ0.2mL「CTNK」 |
| 【般】アダリムマブ注射用 シリンジ40mg0.8mL |
アダリムマブBS皮下注40mg シリンジ0.8mL「FKB」 アダリムマブBS皮下注40mg シリンジ0.8mL「第一三共」 |
|
| 【般】アダリムマブ注射用 シリンジ40mg0.4mL |
ヒュミラ皮下注40mg シリンジ0.4mL |
アダリムマブBS皮下注40mg シリンジ0.4mL「MA」 アダリムマブBS皮下注40mg シリンジ0.4mL「CTNK」 |
| 【般】アダリムマブ注射用 シリンジ80mg |
ヒュミラ皮下注80mg シリンジ0.8mL |
アダリムマブBS皮下注80mg シリンジ0.8mL「MA」 アダリムマブBS皮下注80mg シリンジ0.8mL「CTNK」 |
| 【般】アダリムマブ注射用 ペン型キット40mg0.8mL |
アダリムマブBS皮下注40mg ペン0.8mL「FKB」 アダリムマブBS皮下注40mg ペン0.8mL「第一三共」 |
|
| 【般】アダリムマブ注射用 ペン型キット40mg0.4mL |
ヒュミラ皮下注40mg ペン0.4mL |
アダリムマブBS皮下注40mg ペン0.4mL「MA」 アダリムマブBS皮下注40mg ペン0.4mL「CTNK」 |
| 【般】アダリムマブ注射用 ペン型キット80mg |
ヒュミラ皮下注80mg ペン0.8mL |
アダリムマブBS皮下注80mg ペン0.8mL「CTNK」 |
エタネルセプトの変更調剤
エタネルセプトも同様に表を作成しております。
