「狭間研至氏が考える、次世代薬局の姿」
コロナ禍によって激動の変化を遂げつつある社会。
新しい年を迎え、医療従事者の一員として期待されているのが薬剤師のお仕事です。
未来の医療を担う薬剤師にとって、さらなる飛躍の年に向かうなか、医師、経営者、教育者など、最前線で活躍する狭間研至氏にインタビューを行いました。
今回は全2回のうち前半となります。
かねてより調剤薬局のビジネスモデルの転換を提起され、独自の「薬局3.0」という概念を提唱されてきました。「薬局3.0」とはどういうものなのか、改めて概要を説明していただけますでしょうか。
「薬局3.0」とは、調剤薬局のビジネスモデルの第3世代という意味です。第1世代(薬局1.0)は昔ながらの町の小売業としての薬局。時代区分でいうと1945年から70年代初頭です。第2世代(薬局2.0)は現在の一般的な調剤薬局で、医薬分業が急速に進む1970年代半ば頃から普及してきました。
一方で、2000年代に入り、日本が超高齢化社会へ突入していく中で、急性疾患から慢性疾患へと医療ニーズが変化し、治療・療養の場も病院から在宅医療へと移行してきました。実際、医療機関の外来患者数は減少傾向にあり、その門前に店を構えて処方箋を応需していた「門前薬局」も影響を受け始めました。薬局に来ない患者さんが増え、私自身も在宅医療に携わる中でそれは実感していました。「薬局2.0」ではこれからの超高齢社会には対応できないと、医師としての立場だけでなく薬局の経営者としての危機感を感じ、2003年頃から新しいタイプの薬局の必要性を考え、2006年に「薬局3.0」を提唱しました。
「薬局3.0」では従来の門前に店舗を構える「立地依存型のビジネス」ではなく、「人材依存型のビジネス」への転換をすべきだと提起しています。つまり「薬局がどこにあるか」ではなく、「誰がいるか」が重要になります。薬剤師は投薬後の経過や結果を確認し、それらを薬学的に評価した上で、次回の処方へつなげる。そう…