零売薬局のリアルを聞く! 日本初のチェーン展開で規模化を目指す目的とは?
コロナ禍においてセルフメディケーションへの関心が高まるなか、注目されつつある「零売(れいばい)薬局」。零売薬局とは、どのように運営されているのでしょうか? 零売薬局で働く薬剤師の感想は? 全国初の零売薬局チェーン店「セルフケア薬局」を運営するセルフケア薬局株式会社の取締役COO 小瀨文彰氏に、零売薬局の現状を聞きました。
【編集部解説】零売薬局の零売とは?
零売とは別名、分割販売とも呼ばれ一般消費者である購入者が自分自身で自分の症状を把握できる際、薬剤師がカウンセリングをおこなったうえで、最低限度の医療用医薬品を処方箋なしで販売できる方法のことを言います。医薬品の販売は、原則として医師の処方箋が必要です。そのため、この零売という方法には一定の条件が必要となります。
【編集部解説】零売薬局のメリット
メリットは様々あります。購入できる医薬品は処方箋医薬品以外の医薬品の中の一部であり、実は病院で使用されている医療用医薬品の約半数がこれにあたります。処方箋がなくてもよいため、様々なメリットがあります。
例えば、受診料がかからないなどです。通常であれば、医療用医薬品を購入する時には、病院での受診が必要となります。医師に診てもらい、処方箋を書いてもらうというステップが必要だからです。
それに対し、零売薬局では薬剤師のカウンセリングを受けることで医療用医薬品を対面販売で購入できるため、病院で受診する必要がありません。受診をしないため、受診料を節約することができます。
また、それは時間を短縮できることに繋がります。病院への待ち時間や診療や通院にかかる時間を無くすことができます。お忙しい方は、受診のために時間を割かなくてはならないことが障害となり、服薬治療に遅れが出てしまう可能性があります。そういう方は零売薬局を利用することで、受診にかかる一連の時間を減らせることが可能となるのです。
さらにいつでも購入ができるメリットもあります。一般的には処方箋には有効期限があり、医師が処方箋を発行した日から4日以内に薬局などで薬を購入しなくてはなりません。この制約から解放されるのも大きなメリットになります。
チェーン展開の目的は何ですか?
小瀨:「セルフケア薬局」は、最初は池袋でやっていたのですが、認知度が低いながら知っていただいた方は遠くても駆け込み寺的に来ていただける方が多くいらっしゃいました。零売は、薬剤師による対面販売が必要なので、少し遠くても足を延ばして来てくださるのですが、「困ってるんです」「近くに出してもらえませんか」というお声をいただいておりました。
このように受診ができなくて困っている方が非常に多くいらっしゃるという現状を目の当たりにし、個人的に一店舗二店舗やるという話ではなく、より多くの方にご利用いただけるようなサービスをつくっていきたいというのが、チェーン展開の理由のひとつです。
理由のふたつめは、セルフケア薬局が目指しているものとして、「医療費の削減」をミッションとして掲げておりますが、一店舗だけでできる貢献度はごくごくわずかなので、より大きなインパクトを出していくためにチェーン展開をしたいなと思って取り組んでいます。
日本初の零売薬局チェーン店「セルフケア薬局」
「セルフケア薬局」とは、どのような薬局ですか?
小瀨(以下、敬称略):「セルフケア薬局」は、零売をメインに行っている薬局です。
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