零売できる薬とは? 薬剤師の疑問に答えます!「零売薬局」Q&A
新たな薬局の在り方として注目を集める「零売薬局」。セルフメディケーション拡大への貢献や薬剤師の専門性活用などが期待される一方、安心・安全なサービス運営が求められるなど様々な意見があります。とはいえ、まだ認知度が低いのも事実。聞いたことはあるけれど、よくわからないという方も多いのではないでしょうか。
そこで、m3.com薬剤師会員のみなさんから零売薬局に関する疑問・質問を募集。なかでも多く寄せられた零売薬局運営上の疑問について、日本初の零売薬局のチェーン展開を行うGOOD AID株式会社さんに回答いただきました。
GOOD AID株式会社
2016年3月1日設立。子会社のセルフケア薬局株式会社が運営する都内4店舗の零売専門薬局「セルフケア薬局」ならびに調剤兼零売薬局を全国17店舗、合計21店舗を展開する零売薬局チェーン。子会社のセルフケア薬局は「JR東日本スタートアッププログラム2020」の共創パートナーに採択され、JR西国分寺駅プラットホーム上に零売薬局を出店する実証実験などを行ってきた。代表取締役薬剤師 服部雄太氏は、一般社団法人日本零売薬局協会(2020年3月26日設立)の理事長も務める。
【編集部解説】零売薬局の課題とは?
2020年3月に一般社団法人日本零売薬局協会が発足しました。協会が発足することで処方箋がなくても医療用医薬品が購入できるという点で、安全性への懸念点に対する環境整備が進んでいっているのが現状です。
そんな中、現状の課題としてあげられるのは以下になります。
まずは安全性への懸念です。零売と聞くと、処方箋なしで医療用医薬品を購入できるというイメージがあるため、安全性への懸念がありました。事実、販売する薬剤師の判断に委ねる部分も大きいため、安全性への懸念は完全に払拭できている状態ではありません。
さらに零売は「医薬品副作用被害救済制度」の対象外であり補償外になる可能性があるため、購入者への説明や十分な相談体制、その後の病院への受診勧奨を含む対応などが求められます。
また、薬を使用する方への対面販売が零売の条件なので、購入前のカウンセリングにおいては、個人売買を目的とした購入をされないよう十分な聞き取りや判断を薬剤師としておこなっていくことが大変重要です。
通販などでは購入ができないのも大事なポイントです。医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律や一般社団法人日本零売薬局協会が定めたガイドラインでも、対面販売をおこなうことが実際に零売を実施する条件となっています。
つまり、通信販売やEC、在宅や施設などでの販売も禁止しています。なぜなら購入する方の健康状態をきちんとカウンセリングし、その方の理解度に合わせた服薬指導などをするためです。さらにその後の相談窓口を設ける必要もあるためです。
Q1.零売薬局で扱える薬の分別、基準などはどうなっているのでしょうか?
A1.医療用医薬品は、必ず医師の診察が必要な「処方箋医薬品」と、必ずしも処方箋は必要ない「処方箋医薬品以外の医薬品」の区分に分かれています。約15000種類の医療用医薬品うち7000から7500種類が「処方箋医薬品以外の医薬品」といわれます。
零売薬局では、この処方箋なしでの販売が認められた「処方箋医薬品以外の医薬品」を、薬剤師のカウンセリングのもと販売しています。
GOOD AID株式会社の子会社で、
零売専門薬局を運営するセルフケア薬局の場合
Q2.医療法各法の規制外とならないのか、グレーゾーンではないのか?
A2.2005年以降、厚生労働省より通知として零売を行う際の条件が定められており、その条件を満たすことでグレーではなく、対応することが可能です。
Q3.どのくらいの日数分の量、湿布枚数を渡せるのか?規定などがあるのか?
A3.販売量は原則最小量の販売となっています。お客様の状況にもよりますので、都度薬剤師がヒアリングの上、最小限の量を決定しております。一律に販売量を決定することは零売の位置づけとしては不適切であるため、プロとして薬剤師が都度お客様の状況や背景をお伺いし対応しています。
Q4.値段はどのように決めているのか?
A4.零売薬局での販売は、保険適用外となり自費であるため当社オリジナルの価格を設定しております。高すぎることで購入できる方が制限されてしまうこと、また安くしすぎて価格を訴求するような形にならない価格としております。
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