薬剤師の気になるトピックをお届け!今月の特集

更新日: 2021年12月4日 青島 周一

薬剤師のための論文活用-情報の取捨選択と薬剤師の専門性(後編)

11月7日にオンライン開催された日本薬局学会のワークショップでは、新型コロナウイルス感染症に対するイベルメクチンの有効性を検討した以下の4つの論文をご紹介しました。

【紹介した論文一覧】

【論文①】イベルメクチンを服用していた人で、新型コロナウイルスの感染リスクが83%低下
 ▶コホート研究[Cureus. 2021 Aug 5;13(8):e16897PMID: 34513470]
【論文②】新型コロナウイルス感染症患者がイベルメクチンを服用すると、死亡リスクが79%低下
 ▶システマティックレビュー・メタ分析[Pharmacol Rep. 2021 Oct;73(5):1473-1479 PMID:33779964])
【論文③】新型コロナウイルス感染症患者がイベルメクチンを服用しても、死亡リスクは低下傾向にあるものの、統計的有意な差を認めない。
 ▶システマティックレビュー・メタ分析[Cochrane Database Syst Rev. 2021 Jul 28; 7(7): CD015017.PMID: 34318930])
【論文④】新型コロナウイルス感染症患者がイベルメクチンを服用しても、プラセボと比べて症状持続期間に、統計的有意な差を認めない
 ▶ランダム化比較試験[JAMA. 2021 Apr 13;325(14):1426-1435.PMID: 33662102]

そのうえで、ワークショップ参加者に「イベルメクチン、効果がありますか?」という質問をチャットで共有し、この質問に対してどの論文情報を活用して答えるか、薬剤師の立場だった場合と、テレビのプロデューサーの立場だった場合で回答してもらいました。その結果はどのようなものだったのでしょう。

薬剤師のための論文活用-情報の取捨選択と薬剤師の専門性(後編)メインの画像1

重視する論文情報は立場や文脈によって大きく異なる!

ワークショップの参加者は753人で、このうち287人から回答が得られました。論文の活用は、薬剤師の立場であった場合は④が最も多く(59%)、次いで③(29%)でした【図1】。一方、テレビのプロデューサーの立場であった場合は①が最も多く(65%)、次いで②(29%)となりました【図2】。

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青島 周一
あおしま しゅういち

2004 年城西大学薬学部卒業。保険薬局勤務を経て2012 年より医療法人社団徳仁会中野病院(栃木県栃木市)勤務。特定非営利活動法人アヘッドマップ共同代表。
主な著書に『OTC医薬品 どんなふうに販売したらイイですか?(金芳堂)』『医療情報を見る、医療情報から見る エビデンスと向き合うための10のスキル(金芳堂)』『医学論文を読んで活用するための10講義(中外医学社)』

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