薬剤師のライフプランから考える薬局の独立開業

今回の特集では、薬剤師が歩む多くのキャリアの中から、薬局の独立開業を紹介します。私が実際に薬局開業を目指して経験した内容を含めて、どのような方法があり、どんな知識やスキルが必要なのかをお伝えします。
薬剤師国家試験に合格し、薬学部を卒業した後に続く長い薬剤師人生について皆さんはどのようなライフプランを考えていますか?薬剤師として就職したとしても、職場の雰囲気が合わない、給与や待遇などの条件面で自分の理想とギャップがうまれてきた、などの理由で転職を考える機会もあると思います。
しかし、転職は働く『場所』を変えるだけで『働き方』そのものを変えるわけではありません。今回の特集では、その『働き方』に注目して、薬剤師のワークライフバランスを考えながら、自身で薬局を独立開業するというプランとその方法について、私の体験をお伝えしながらご紹介します。
薬剤師の活躍する場所と働き方
薬剤師として活躍する職場は皆さんもご存知の通り多種多様です。薬剤師の中でも働く割合の多い調剤薬局・ドラッグストア(58%)をはじめ、病院・診療所などの医療機関(19%)、製薬会社、官公庁など他にもまだまだたくさんあります2)。
このように薬剤師の働き場所は多岐に渡りますが、これらの職場には共通していることがあります。それは労使関係において『労』、つまり労働者であるということです。労働者とは、組織に属することで、組織の一員として仕事をするということです。
この『労』とは反対に『使』、経営者側として活躍する方法もあります。自らが組織の代表となり、自分自身の判断や責任において仕事をこなす働き方です。
自身で会社を作り、独立するというライフプランを考えている薬剤師はごく少数であると感じています。私は薬局経営及びコンサルタント業務の中で日々多くの薬剤師と面談しますが、将来のプランとして薬局の独立開業を考えている薬剤師は10%未満しかいません。さらに、その10%の中で独立を実現するために何か行動を起こしている薬剤師は1%未満となってしまいます。