患者対応に役立つ、今押さえておきたい新型コロナウイルスに関するTIPs2
2022年が始まり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との闘いもとうとう3年目に突入しましたが、2021年終盤からは「オミクロン株」の登場によって、またその戦況は大きく変わりつつあります。そこで今回は、この第6波を乗り越える際の患者対応に役立ちそうな情報を紹介します。
- 「オミクロン株」には、ワクチンは有効なのですか?
- 2回接種でも重症化はそれなりに、3回接種(ブースター接種)をすれば改めて感染や重症化を大きく防ぐことができそうです
(参考になるデータ)
「オミクロン株(Omicron VOC-21NOV-01(B.1.1.529))」に対するワクチンの有効性も、まだ豊富なデータがあるわけではありませんが、前回同様に2021年末にイギリス保健安全保障庁(UK Health Security Agency)が公開したデータは、全体的な方向性を確認する上で役立ちます。
まず「オミクロン株」に対するワクチンの「発症予防の効果」については、ファイザー社製やモデルナ社製のmRNAワクチンを2回接種した直後は65~70%近い効果が発揮されていますが、20週以降になると10~15%程度と大幅に弱まっています(☞p.11:Figure 2(B)を参照)。このことから、今後日本では2回接種から半年ほどが経過した人が増えてくることを踏まえると、“このままでは発症予防の効果はあまり期待できない”と考えるのが妥当です。
一方で、「入院(重症化)予防の効果」については、2回接種から25週が経過しても51%ほどの効果が維持されている(☞p.12:Table 5を参照)ため、“重症化はそれなりに防いでくれる”と言えそうです。