在宅医療・居宅療養管理指導の算定要件とは?間違えやすい点を復習
薬剤師の在宅医療に関する診療報酬の中で「(介護予防)居宅療養管理指導費用」と「在宅患者訪問薬剤管理指導料」では利用する保険が違います。前者が介護保険、後者は医療保険で算定します。ここでは薬局事務さんに頼られる薬剤師となるために診療報酬について詳しく解説をします。
患者対応や処方箋内容のレセコンへの入力など、普段から薬局事務さんは私たち薬剤師の業務を助けてくれています。私たちが薬剤師業務に集中して取り組むことが出来るのも薬局事務さんのおかげであると言えます。
しかし、日々色々な処方箋や保険情報を見ている事務さんでも、取り扱ったことのない、初めて見る保険の処方箋が持ち込まれることもあります。そんな時に、私たち薬剤師がしっかりと教えてあげることができれば薬局事務さんの信頼を得ること間違いありません。そのために知っておきたい医療保険のハナシを紹介します。
居宅療養管理指導とは
そもそも居宅療養管理指導とは、高齢者介護施設などで日常生活を送っている方のお住まいや通院が困難な患者さんのご自宅に医療従事者が訪問して提供する在宅医療の業務のうち、介護保険を利用する場合を言います。
患者さんの心身の状況や置かれている環境など社会生活面にも目を向け、医師、歯科医師、薬剤師、管理栄養士又は歯科衛生士等が担い、ケアマネージャーなどの介護支援専門員が連携して行います。必要性があれば地域社会にあるさまざまな介護支援サービスにつなげられるように相互に情報共有し、療養上の管理、指導するものです。
どうしたら居宅で自立したより良い日常生活を送ることができるかを、患者さんやご家族のご意向を踏まえ、包括的に考えた在宅医療を行います。
居宅療養管理指導の対象者
通院が困難で医師が必要と認めた患者さんを在宅医療の対象者とみなします。そのうち居宅療養管理指導の対象者は、基本は介護保険サービスの利用できる65歳以上で要介護1~5と認定されている患者さんが対象です。しかし在宅医療が必要な方は高齢者だけではありません。介護保険に加入している40歳以上で、がんや神経疾患などを含む16種類の特定疾病と診断され、医師が在宅医療の必要性を認めた場合は、65歳未満でも介護保険が利用でき居宅療養管理指導の対象となります。
職種ごとに要件や報酬の基本単位が、居宅療養管理指導を行った際に算定できる費用が決められています。薬局の薬剤師の場合は医師又は歯科医師の指示により薬剤師が作成した薬学的管理指導計画に基づき、患者さんの居宅を訪問し薬学的な管理指導を行います。その際に介護支援専門員に対して居宅サービス計画の作成に必要な情報提供を行った場合には1ヵ月に4回まで算定出来ます。
(介護予防)居宅療養管理指導費と在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定要件とは
まずは基本的な内容をおさえておきましょう。「(介護予防)居宅療養管理指導費用」と「在宅患者訪問薬剤管理指導料」とでは、利用する保険が異なります。在宅医療において、薬局の薬剤師が患者の居宅で服薬指導やその他薬の管理などを行った場合、介護保険を利用するのであれば「(介護予防)居宅療養管理指導費」が、医療保険を利用するのであれば「在宅患者訪問薬剤管理指導料」が算定できます。在宅医療の対象となる患者さんが介護保険を持っていれば、医療保険よりも優先して利用されるので「(介護予防)居宅療養管理指導費」を算定することになります。
「在宅患者訪問薬剤管理指導料」や「(介護予防)居宅療養管理指導費」を算定している月に「薬剤服用歴管理指導料」は算定できませんが、薬学的管理指導計画に係る別の疾病などの臨時の場合は算定できます1)2)。その他、各種加算や外来服薬支援料などの算定については資料1)2)を確認ください。
なお、「(介護予防)居宅療養管理指導費」や「在宅患者訪問薬剤管理指導料」を月に2回以上算定する場合は6日以上の間隔をあける必要があります。調剤した薬剤の服用期間内に患者の同意を得て実施すれば良いため、処方が出た日だけではなく、別日にも訪問して薬剤を管理などする必要があれば算定が可能です。また、調剤を行っていない月に在宅患者訪問薬剤管理指導を実施した場合は、当該調剤年月日と投薬日数を調剤報酬明細書の摘要欄に記入する必要があります2)。
☞頼られポイント
- 「(介護予防)居宅療養管理指導費」は介護保険、「在宅患者訪問薬剤管理指導料」は医療保険