ひとり薬剤師はつらいよ.3~得られるもの
ここまでの2回でお話してきたように、「ひとり薬剤師」になると、薬局の全ての業務を一人で行う必要があります。それは、患者さんが薬局に来られた際の受付対応から始まり、処方箋入力、調剤、監査、服薬指導、会計、備品や医薬品の在庫管理、薬局内の清掃、ゴミ捨てなどなど多岐に渡り、大変さもなかなかのものです。しかし、すべてを自分一人で行うことで、薬剤師としてまた一つ異なる角度から薬物治療にアプローチすることができるようにもなります。
ひとり薬剤師で得られるもの~保険情報に注目したアプローチ
たとえば、処方箋入力を事務さんに任せきりの場合、薬剤師は患者さんの「保険情報」に注目する機会はあまりありません。しかし、「ひとり薬剤師」では処方箋入力から行うため、患者さんの「保険情報」には必ず毎回注目することになります。すると、”現役並み”の負担から”一般”に区分が変更になった患者さん、指定難病などの負担金額が変更になった患者さん、社会保険から退職の保険への変更になった患者さん、後期高齢者の保険に変更になった患者さんなど、保険情報からもその患者さんの生活状況や社会的変化についての情報を得ることができるようになります。この情報は服薬指導においても意外と重要で、色々な”声掛け”のきっかけにできます。