大人のADHDを知ろう.1-そもそもADHDってどんな疾患?
ADHDとはどのような疾患なのか?
ADHDとは「注意欠如・多動症(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)」のことであり、「不注意」「多動性」「衝動性」という3つの症状が並外れて高いことが特徴です。このうち、「不注意」は独立したものとして扱われ、「多動性」と「衝動性」は関連の深い特性として、「不注意」「多動・衝動性」2領域のそれぞれに9個の症状を診断の根拠としています。
「自閉症」や「アスペルガー症候群」と同じように、ADHDは「発達障害」として発達障害者支援法1)で定義されています。”親のしつけ”や”子育ての環境”が原因であると言われることがありますが、これは誤解です。親がADHDの特性を持っていれば子どもがADHDである確率が高いという遺伝的要素や、妊娠中の喫煙が子どものADHDに関連するなどの後天的な影響も関係していることが分かっています。
ADHDは発達障害に含まれますが、”発達障害”という言葉にも多くの誤解があります。例えば、代表的なものに「発達障害の方は能力が欠如していて成長することがない」というものがあります。確かに、発達障害のある人は、健常者に比べると”苦手なこと”は多いかもしれません。しかし、物事を工夫したり周りが支援したりすることで課題を克服できることも多く、それによって成長することはいくらでもあります。むしろ、”物事に過度に集中する”という特性を活かして研究や芸術の分野で活躍したり、”落ち着きがない”という特性を行動力があると捉えて営業職として活躍したり…といったケースは珍しくありません。誰しもが様々な特性を持っているので、その人の特性を理解しようという姿勢が重要です。