ちょっと注意が必要な薬の調剤・服薬指導②~「タダラフィル」の処方がきたら
「タダラフィル」製剤の処方がきたら?
ヒトの尿道・前立腺・膀胱頸部平滑筋では、多くの一酸化窒素(NO)が産生されており、一酸化窒素(NO)は平滑筋を弛緩させるサイクリックGMP(cGMP)を産生します。しかし、平滑筋を弛緩させるcGMPは、ホスホジエステラーゼ5(PDE5)によって分解され不活性化されてしまいます。
「タダラフィル」は、この長時間型のPDE5を阻害することで、cGMPの分解を防ぎ、平滑筋を弛緩させる薬です。
通常、「タダラフィル」は1日1回2.5mg~5mgの用量で、前立腺肥大症の治療に使われる際に使用する機会が多いと思います。その際の先発医薬品は『ザルティア』という商品名で知られていますね。ところが、この薬は1日1回40mgという高用量で処方されることがあります。
このとき、「40mgか。うちは5mg規格だから1回8錠で飲むんだな。大変だなあ。」と思っていると少しまずいです!5mgと40mgの規格はそもそも適応症が異なる別の商品だからです。
先発品 | ザルティア 2.5/5mg | アドシルカ 20mg | シアリス5/10/20mg |
後発品 | タダラフィル〇mg「ZA」 | タダラフィル〇mg 「AD」 | タダラフィル〇mg「CI」 |
適応症 | 前立腺肥大症に伴う排尿障害 | 肺動脈性肺高血圧症 | 勃起不全 |
通常用量 | 1日1回5mg | 1日1回40mg | 1日1回10mg 最大20mg |
…つまり、今回のように1回用量が40mgで処方されている場合は、「前立腺肥大症」ではなく「肺動脈性肺高血圧症(PAH)」の治療を目的に使用されている、ということに気づかなければならない、ということです。