ちょっと注意が必要な薬の調剤・服薬指導④~『ファムビル』のPIT処方が来たら
『ファムビル』の処方が来たら…?
『ファムビルの有効成分であるファムシクロビル」は、肝臓で「ペンシクロビル」に代謝され、抗ウイルス活性を示すプロドラッグです 。「ペンシクロビル」は、単純ヘルペスウイルス(HSV)及び水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)に対して増殖抑制作用を有することが認められていますが、腸管からの吸収率が低いことから、その改善を目的としてジアセチル-6-デオキシ誘導体である「ファムシクロビル」が合成され、経口の抗ヘルペスウイルス薬として開発されました。本剤の作用機序はアシクロビルと類似しており、ペンシクロビルは HSV 及び VZV 感染細胞内で活性型となり、ウイルスの DNA 合成を阻害し、増殖を抑制します。
通常、成人に対して「単純疱疹」の場合は1回250mgを1日3回、「帯状疱疹」の場は1回500mgを1日3回経口投与します。ところが、この薬には1回1000mg、1日2回 1日分という処方が存在します。これを見ると、「用量の記載ミス?」「投与日数の入力ミス?」とつい思ってしまうのですが、実はそうではない可能性があります。それが、「再発性の単純疱疹」に対する処方です。
ファムビル®添付文書より
「ファムシクロビル」が「1回1000mg、1日2回、1日分」とか「1回1000mg、2回分」といったかたちで処方されている場合は、再発性の単純疱疹に対する「ファムシクロビルのPatient Initiated Therapy(PIT)」による短期間投与であることに気が付かなければなりません。